俺はクラスのカースト上位に入るイケメン。
コミュ力もあるから正直、女にモテる(笑)
このあいだもクラスでそこそこ人気の顔の良い女子が俺にライン交換しようと言ってきたんだが、正直女ってめんどくさいから断った。
俺は運動神経も良くて、体育のバスケの時間は皆の注目を浴びる。
そこまで本気で練習したとかって訳じゃないけど、なぜかそれなりにイケちゃうんだよなぁ?なんでだろ…。
週末はひたすら家でゲームをしてる。
友達から遊びに誘われることも多いんだが、まぁ週末くらいは自由に過ごしたいじゃん?(笑)
だから最近は申し訳ないけど断っちゃってるなぁ(--)
積みゲーもまだまだ多いからね。
家族関係も良好で………
そこでノートの文字は途絶えている。
「これ…俺が昨年書いたアファメーションか…はは、なつかしいな」
俺…引きニートの山田てるのぶ(18歳)は現在不登校。
部屋の掃除をしていたら昨年のノートが出てきた。
本屋で偶然見かけた引き寄せの法則にまつわる書籍をみかけて実践していた時期に書いたノートだ。
「かわいいなぁ…俺の夢…俺、かわいい……まるで天使みたいじゃないか…くそ!なんでこんなエンジェルのごとき俺が…だれからもチヤホヤされないんだよ!!!」
俺はこぶしをテーブルにダン!!と叩きつけた。
こぶしがズキズキと痛んだ。
「いい子でノートしてれば人生が好転すると思ったのに…なぜだぁっ!」
俺は心優しい性格なので、反社会的なことは出来ない。
【引き寄せの法則】も…ノートに書くだけなら、だれにも迷惑をかけないしお手頃な開運法だと思って魅かれたんだったっけ。
「もういい!!グレてやる!!俺が得ていた信頼もなにもかも…もう知るもんか!!」
俺はグレた。
自分のセルフイメージも習慣もなにもかも捨て去って
これまでの自分に中指を立てて、反旗を翻した。
「ファ●ク!!!!!!!!!」
その後俺は髪を染め上げてピアスを開けまくった。
そしてプロテインをがぶ飲みして筋トレをした。
日雇いのバイトを嫌々やって、職場でも反抗的な態度でぶーたれたが、誰からも叱られることはなかったし、給料はもらえた。
そんな生活を3ねん続けた後…
俺は愛する妻と出会い、子宝にも恵まれた。
こんな幸福があるだろうか?
「あの日…俺はそれまでの自分に中指を立ててファ●ク!と叫んだんだ…きっとその時にパラレルワールドのゲートが開いたんだ!ファ●クは魔法の呪文なんだ!!!」
そう信じた俺は、ファ●クの法則というタイトルで自叙伝を書いて出版社に持ち込んだのだが…
「タイトルがちょっと過激すぎますね…このままでは出版は…ちょっと…」
「あ…そうですか…すいません」
社会というものを、理解したのだ。