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3-「未来」

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3 2607年08月17日午前9時2分
 突然その場に現れた鉄の機械が静止し、ハッチが開く。
 聖治は、とんでもない光景を目にすることになった。
「これが……500年後だって? 」
 人類がいることには特に驚かない。生き残りがいたのだろう。
 しかし、隕石の衝突から500年しか経っていないのに、整然とした住宅地が広がっていた。
 世帯数が多すぎる。ここまで増えるというのは自然では有り得ない。
 隕石衝突の際の瓦礫なども一切見られない。
 おまけにヘリコプターまで飛んでいる。
「何だこれは……。時代を間違えたのか? 」
タイムマシンに戻り、時代を確認する。
 間違いない。ここは500年後の地球、それも日本だ。
 生き残ったのが一般人なら、こううまくはいかないだろう。
 間違いない。科学者もしくはそれに類するものが生き残っていた……。
 そう考えるのが妥当だろう。
「どうなってやがる……」
 呟きながらも、住人の一人と接触を図る。言語が通じるだろうとは思っていない。
「ちょっと、いいですか? 」
 若い女性に声をかけてみた。別に聖治の趣味で選んだわけではないだろう。
「はい。」
 驚いたことに日本語を喋る。まあいい。
 とりあえず自己紹介からだ。
「驚くかもしれないが、しばらく聞いてくれ。」 
「え? 」
 構わず続ける。
「俺は500年前の世界から来た。隕石が衝突する少し前からだ。」
「え? え? 」
「なんでこんなにも文明が発達しているんだ? 人類は一度滅亡の危機に瀕するほどの大打撃を受けているんだぞ! 」
「ちょっと待ってくださいよ。隕石ってなんですか? 」
「……今、なんて言った? 」
「だから、隕石ってなんなんですか? 世界はあなたの言う500年前に、私たちの神によって作られたんですよ? 」
 自分の耳を疑った。神だと?そんなものがこの世に存在するわけがない。
「神って何だ? あんたは今ここにある世界が神に作られたとでも言うのか? 」
「はい。この町だって、随分前に神様が切り開いて作ったと聞いていますよ。」
 真顔で言わないでくれ。こっちがおかしいみたいだ。
「その神ってのは、どんな奴なんだ? 」
 少し引っかかるところがあったので、聞いてみる。
「えーっと、神話なので、詳しいことは分からないんですが、私たちと同じような形をして、
セイジョウと名乗っていたそうです。」
 ふん、解ったぞ。神か。なるほどな。現人神、そういうわけだろう?
 つまりは生き残りの科学者か何かが、一度無くなった世界を支配した訳か。
 面白くなってきたぞ。
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