今日も空は青くて、綺麗だった。
僕はいつものように、村から少し遠くにある森で
友達のリノと遊んでいた。
「リノー？おかしいな･･･」
けど、はぐれた。
辺りを見回してもリノの姿は見つからない･･･
「うぅ･･･泣きそうだ。」
思えば僕はいつも、リノと一緒だった気がする。
そして、このまま一生リノと会えなかったら、
と考えたら
涙が止まらなかった。
その瞬間、草むらが揺れて音を出した。
熊かもしれない！？
ああ！！神様！！
僕は此処でリノに会えず、そしてもう暖かいご飯にもありつけないのですね
わかります！！！
恐る恐る目を開けると
ピンク色の髪をポニーテールにした、熊がいた。
熊？
あ、顔はリノに似てるな。
少し整った感じだけど、どこか男らしい。
うん、珍しい熊だ。
「リアン！あんた本当に泣き虫っていうか弱虫っていうか･･･」
そのいつものフレーズでリノだと分かった。
「あー良かった･･･てっきり･･･」
止めよう、熊だと思ったとか言ったら、
殴って
蹴って
縛って
そんで吊るされそうな気がする。
「･･･あんた･･･熊と間違えたんじゃないの･･･？」
リノがキッと睨みながら言った。
そんなまさか！！
「なんでわかったの！？」
あわてて口を塞ぐ。
っが、遅かったみたいだ･･･リノが、いい感じの形相を浮かべてる。
僕が最後に覚えてるのはそれくらいだ。
今、僕が木にぶら下がってるのは気のせいじゃないな。
リノは僕を置いて何処かに行ってしまったらしい。
まぁ今回が初めてじゃないし、１～２時間したら戻って来てくれるだろう。
でも、心細くなって、また目から涙がこぼれ落ちた。
その時、下の方から声が聞こえた。
「ん？雨かお？」
まさか、こんな所に誰か通るなんて！！
「た、助けてください！！」
僕は声を張り上げた。
「だ、誰かぶら下がってるお！？」
その瞬間、僕の顔の横になにか来た
あれ？
･･･飛んでる？
鳥？
にしては不細工な･･･こんな顔、初めてみた･･･
目はニコニコしてるけど口は猫？
こんなん→(＾ω＾)？
しゃべってる･･･
もうだめだ･･･頭に血が上ってパンクしそうだ･･･
「あーーー！！もうだめだ！！！」
…僕は叫ぶと共に意識がぼやけていった。
「だ、大丈夫かおーーーー！？」
ぶ、ぶさいくだ･･･
･･･
･･････
･････････
「･･･でさー、ブーンはどっから来たの？」
「それはブーンにも分からないんだお、気づいたらここら辺にいたんだお」
話声に起こされて薄目を開けると、さっきの変な生き物とリノがしゃべっていた。
「あ、起きたっぽい。」
リノが僕の方に気づいた。
「本当かお！？」
そういって変な生き物が僕の方を振り向く。
「良かったなー。ブーンがいなかったら危なかったね。」
諸悪の根源が何を言うか！
怖いから言えないけど。
「あのまま死んでしまったら、どうしようかと思ったお。」
この生き物の所為で気を失ったんだけどな！
怒らせたら怖そうだから言えないけど。
てかブーンって名前なのか･･･
「そうだ、ブーン、飛ぶ奴もう一回見せてよ。」
リノが僕の事はそこそこに、目を輝かせてブーンに頼んだ。
この子はもう少し、僕を気遣ったらいいと思うんだ。
「いいお」
ブーンはそう言うと、宙に浮かんだ。
す、すごい･･･。けど、なんか現実離れしすぎて、なんの実感もわかない･･･
「すごいすごい！！」
リノは惜しみない賞賛の声をブーンに差し出している。
僕なんかよりずっと純真だ。
･･･、いや凶暴だから純真じゃないな、幼いのか？
「ありがとうだお」
ブーンはちょっと照れくさそうに言いながら
降りてきた。
「すごいよ！！空を飛ぶなんて鳥しか見たこと無いよ！！」
リノがブーンを抱きしめながら叫んだ。
豊満な胸にブーンがうずまっている。
ああ、リノがもうちょっと優しかったら羨ましいと思えるんだけど
あれじゃあゴリラに抱きしめられてるのと同じじゃないか。
「こ、この辺には飛行機が無いのかお？」
ブーンが苦しそうに胸から這い出てそう聞いた。
「なに？飛行機って。」
聞きなれない単語に僕がそう聞くと、
ブーンは少し考えた後、
「･･･いや、なんでもないお。」
そう返した。
「そういえばさ、」
リノがそう言いかけた刹那、
ブーンが凄い形相で叫んだ
「･･･ツン！？皆ブーンに掴まるお！！！！」
その気迫に押され、僕とリノはブーンにしがみついた。
目をギュッと閉じた瞬間、身体が地面から離れ、酷い耳鳴りがした。
そして風を感じた。
その後しばらくして、
聞いたことの無いような物凄い轟音が鳴り響き、僕はまた気を失った。
空は、黒かった。