Neetel Inside ニートノベル
表紙

勇者なんかいない
西の大陸

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ソウ「高士官さん、それでまずはどこへ向かうのですか?」

幼「あ、それあたしも知りたーい」

高士官「まずはこの国を出て、西の大陸に向かいます」
「西の大陸には、我々がかつて見つけた古文書があります」
「その古文書に勇者についての記述がありました」
「まずはそれを確認しに行きましょう」
「10年前とは状況が違うので当てになるとは思いませんが」
「全く手掛かりがないとも言えませんからね」

ソウ「西の大陸か……」

幼「ソウ?」

ソウ「西の大陸にはどうやって行くのですか?」

高士官「封印の洞窟を通っていきましょう」

幼「封印の洞窟??」

高士官「封印の洞窟はこの大陸の西側の岬にあります」
「西の大陸とつながっているのです」
「ま、もちろん中に魔物が出てきますが、修行だと思って頑張りましょう」

幼「へっ?魔物?イヤよ!!」

ソウ「幼、大丈夫だよ」
「僕も高士官さんもついてる」
「それに、こんなところで立ち止まっているくらいなら一生勇者には会えないよ」
「行かなきゃダメなんだ」

幼「もーわかったわよー」

高士官「よし、では参りましょうか」ザッザッザッ

――

高士官「いいですか、この中の魔物は毒をもっています」
「まず攻撃をかわして下さい」
「こちらからの攻撃は2の次です」
「まずは攻撃をかわすことに専念して下さい」

幼・ソウ「はい」

魔物「ドドドドドドドドド」グチャッグチャッ

幼「うわっ!きたなーい!」サッ

ソウ「うわっ!」サッ
「こんのー!」ドガッ

魔物「グチャッ」ドロドロドロ

高士官「無理しないでくださいねー」
「さ、どんどん進みましょう」

幼「こんなのがずっと来るのぉ??」

ソウ「まぁ、しょうがないよ」
「さっさと抜けよう」

魔物「グチョ」ベタン

幼「いやあああああああ」ドスッドスッ

ソウ「こいつめっ」ドスッ

魔物「ベチャッ」ドロドロドロ

高士官「おおっ?いいですねー」
「その調子ですよー」

ソウ「くそう、きりがないなぁ」

幼「いやあ、こないでー!!」ドスッドスッ
「ふうー、ふうー!」

ソウ「なかなか進めないな」

――

高士官「大丈夫ですかぁ……??」

ソウ「ハァハァ」コクン

幼「は、はい」コクン

高士官「二人とも、だいぶ疲れていますねー」
「もーちょっとで抜けますからねー」

魔物「グルルルルルッルルルルルルル」ジャリッジャリッ

ソウ「まだ来るっ!……こいつ、でかい!!」

幼「ソウ!大丈夫?」

魔物「グガガガガガガ」ブバァ

ソウ「うわっ!毒だ!」ベチャベチャッ

幼「ソウ!大丈夫?!」

ソウ「幼、来るなっ!」

幼「ソウ!」ベチャッ

ソウ「幼!!」

魔物「グガガガガガ」ブバァ

ソウ「くっ」サッ

幼「ああああ、あついいいいいい」

ソウ「幼っ!!」ダッ

高士官「さあ、幼ちゃんが猛毒になってしまいましたよー」
「ソウ君、どうしますか??」
「もう毒消草もありません」
「君の呪文だけが頼りですよ」

ソウ「くっ!解毒呪文!!」ポウ

魔物「ガガガガガガガガア」ドゴッ

ソウ「うわあ」ドゴッ

高士官「ほらほら、幼ちゃんが死んじゃいますよー」

ソウ「く……くそう」ググッ

高士官「助けてあげましょうか??」

ソウ「いいえっまだ、僕は、戦えます!」

高士官「じゃ、戦って下さい」

魔物「ガガガガガアアア」ドゴッ

ソウ「まずはこいつをかわしてっ!」サッ
「螺旋刃呪文!!!」ドゴッ
「今のうちに!!!」

魔物「ゴガガガガアアアア」ドスン

ソウ「解毒呪文!!」ポウ

幼「う……」ギュッ

魔物「ゴ…・・・ガ……」ドスッ

ソウ「幼、走れる?」

幼「うん」コクン

ソウ「よし、挟み撃ちにして背後から狙って!」
「僕はその隙に頭を狙ってみる!」

幼「このおおおおおお!!!!」ドスッドスッ

魔物「ゴガガアアガガガアアアアア」ドスッ

ソウ「今だっ!!」ドゴァッ

魔物「ガアアアアアアアアアアアアア」ドタッ

ソウ「はぁはぁはぁ」

高士官「よくできましたねー」
「流石です、回復呪文も解毒呪文もできるようになったみたいですね」

ソウ「あ、そういえば」

幼「ソウ、ありがとね」

ソウ「う、うん」
(偶然だったけど、また一個呪文、増えちゃった)

高士官「さあ、すぐそこが洞窟の終わりですよ」
「灯りが見えますね、外へ出ましょう」ザッザッザッ
「ああ、着きましたよ」
「ここが、西の大陸、勇者の古文書が祭られている大陸です」

幼・ソウ「はいっ!」

       

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