Neetel Inside 文芸新都
表紙

第五十三廃棄物最終処分場
マスター&メイド(某性癖アンソロに投稿させて頂いたもの)

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 結構疲れた、と片手にスーツを持って、インターホンを押す。
 安物のスーツと今日の説明会で配布された絶対ゴミになるだろう資料を入れたポーターのバッグを右手にぶらぶらさせて彼女が出てくるのを待った。

「お帰りなさい!っ……って先輩!!スーツ!?」
「あ、今日説明会でさー」

 半同棲に近い形になっている彼女の家に入った。
 彼女は俺の手からスーツと鞄を取って、俺に続いて部屋に入ってくる。
 今日は彼女の家に行きたいとメールをすると、彼女からいらっしゃいませーとエルモが笑って万歳している絵文字の入ったメールが返って来た。
 彼女は夕飯を作って待っていてくれた。
 女の子の部屋にしてはあまり飾り気のないが、整理整頓された部屋のローテーブルに座った。

「ごめん、先風呂入ってもいい?」
「え!?あ、あの!ご飯先食べません!?えっと、あの!そーだ!
 先輩の好きなワイン買っておいたんですよ」
「いや、今日疲れてるからワインとか俺ガチで酔うわ」
「えー……眼福なのに……」
 
 ローテーブルに座ってネクタイを緩める俺を見つめる彼女は心底残念そうな顔をしている。
 テーブルに肘を付いて頬を手で覆っているのはいいが、眉毛がハの字になっていて、面白い。
 もしかして、と彼女の目線に気付く。

「スーツ、好き?」
「大好きです!先輩ちょーカッコいいですよ!!やっぱスーツって二割増ですよ!!」
「ちょっと、俺普段そんなカッコ悪い?」
「そーじゃなくて!男前が増すっていうか!!あーもー、何で脱いじゃうんですかー!」
「だってダルいし、そういう趣味あるとは知らねーし」
「スーツが嫌いな女子なんて居ません!」

 うわ、どっかで聞いたことあるセリフとネクタイを緩める手が止まる。
 彼女が対面の場所から近寄ってきて、俺の頭を抱いてつむじや額にキスをする。
 そのままで居て下さいと呟きながら。彼女のおねだりの手段の一つだ。
 頭から顔に降りてきて、唇にキスをして彼女はにこっと笑った。
 これをされると弱い。
 俺は真っ赤な顔でネクタイを締め直した。流石に上着だけはお許しを貰って脱いだ。
 ワイシャツを汚さないように注意しながら彼女の料理を食べる。
 普通の女の子と同じように髪の毛は茶色でカールしているし、化粧も今風っぽいのに、彼女の作る料理は日本食が多い。
 洋食は誰もが知っているような料理しか作れないらしい。
 俺も最近ご老体なのか、油っぽいものは得意でなくなったから有難い。
 鯖の味噌煮と煮物と卵とほうれん草を合えた物を食べながら、ナメコと豆腐の味噌汁をすする。
 これにワインは似合わないだろうに、よくもワインで誘おうとしたものだ。
 彼女は俺が食べている合間に簡単な洗い物を済ませた。
 目の前でいただきます、と手を合わせる姿は綺麗だ。

「あ、ワインはあれですけど、ビールありますよ?飲みます?」
「飲む飲む」

 彼女は立ち上がってビールを冷蔵庫から取り出すと、俺にビールグラスを渡して注いでくれた。
 俺も彼女のビールグラスに注いだ。そして、乾杯と軽くグラスを合わせた。
 彼女はずっと笑っていて、ある意味スーツで来て正解だなと思った。
 料理が大分無くなった辺りで、彼女はどんどん俺のグラスに注いできた。
 慣れない説明会で疲れきった身体にはビールでも効くようだ。
 食べ終わった食器を流しに持っていった彼女はすぐに戻ってきて、俺の横に座った。

「はい、どーぞ。全然飲んでないじゃないですか?」
「あー、弱くなったな、老体だな、俺」
「えー、寝ないで下さいよぉ」

 彼女は俺の右腕に腕を絡めた。
 左利きだからビールは左で飲めるのだが、右の温かい感覚が興奮するというより、心地よい。
 大分酔っている。
 実際、彼女が一杯飲む間に三杯くらい飲まされている気がする。
 次々と出てくるビールに少し恐れを抱く。半ダース買ったんだろう。
 
 あ、何かすっげー眠い。





 
 目が覚めると、彼女が俺を覗き込んでいた。

「大丈夫ですか、先輩?覚えてますー?」
「いや……」

 頭と視界に靄が掛かっている。いや、でも、額を拭おうとした手が動かない。
 そして、彼女は何故俺の上に乗っかっているのか。
 いや、それより、何故彼女はメイド服を着ているのか。
 目を見開いた。

「うわぁぁぁ!え!?」
「先輩しーーっ!!そんな大声ダメですよ夜中に」
「いや!!てか、何これ!?はぁ!?」

 上体を反らして上を見ると俺の手は手錠でベッドのヘッドボードに繋がっていた。
 この手錠もメイド服も俺が買ったものだ。
 それはわかる。そんな事はわかる。
 ただ、何故俺が繋がれているのか、何も言ってないのに何で彼女がメイド服なのかが全くもって理解出来ないんだ。
 彼女は俺に馬乗りになって、口に手を当ててくすくす笑った。
 少し怖い。

「先輩ごめんなさい、私ー、我慢出来なくてぇー」
「え、ガチで何、酔ってる?」  

 俺の質問に彼女は少しだけーと笑った。
 彼女が俺の腹に手を這わせて、俺のワイシャツが上の方を残してボタンが取れているのに気付いた。
 少し屈むと胸が見えるメイド服のデザインが憎い。
 大きめな胸が下着をしていないようで、重力に従って垂れる。
 相変わらず彼女に似合うメイド服だ。
 白と黒でそれ仕様なミニスカートも胸元も憎い。
 彼女の指がへそから肋骨の辺りまでを撫でる。
 うっと出そうになる声を抑えた。

「すっごい憧れだったんです、スーツ姿のご主人様を拘束して攻めるって。
 でも、先輩スーツなんて全然着ないし。
 私も譲歩はしたんですよ、上着は皺になるから着せませんでしたし、
 ほら、ネクタイも私が持ってる安いやつです!」
「それは、良いんだけど、攻める?」
「私、下克上大好きなんです、ね、ご主人様……」

 彼女は俺のネクタイを掴んで引っ張るとにっこりと笑った。
 さっき見た笑顔と同じだけれど、何か恐ろしい。
 そんな趣味を持っているなんて知らなかった。
 身長も小さめで、童顔だし、俺に対して尽くすようなタイプだから完全にマゾヒスト寄りだと思っていた。
 驚いて固まる俺の顔に、彼女はさっきと同じような順序でキスをした。
 唇のところで舌を絡めた点以外は。
 彼女が顎を掴んできて、少し上に向けさせられて唾液を送られる。
 いつもは控えめな彼女の舌が積極的に動いて、舌を絡め取られたり、歯列をなぞられる。 俺の口から唾液が零れて、顎から首に伝った。

「はぁ、なぁ、これ」

 俺は繋がれている手錠を動かしてガチガチと音を鳴らした。
 外してくれっていう合図だったんだけど、それは聞き入れて貰えず、
 彼女は俺の顔面に胸を押し当てて、繋がれている手首にキスをした。
 一瞬だけ、胸で窒息するのも悪くないかもしれないと思った自分に後悔した。
 続けて、ワイシャツ越しに腕の内側を舐められる。
 直接でないだけ、刺激が弱いのが逆にくすぐったくて、震えた。
 そんな事をされて悦ぶ自分も気持ち悪いのだが、こんなに積極的な彼女を見るのは初めてで少し嬉しい。

「可愛い、ご主人様。でも、恥ずかしくないんですかぁ?」
「っ!恥ずかしいに決まって……うぁ」

 喋っている途中に彼女がワイシャツを捲り上げて乳首を舐めた。
 じゅるじゅると卑猥な音を立てて乳首を舐め上げると、彼女は唾液で濡れた自身の唇を舐めた。
 ふふふ、という小馬鹿にしたような笑い声と共に。

「やっばー乳首立ってますよぉー、あはは、可愛いー」

 そう言いながら人差し指で俺の乳首を緩く押す。
 その刺激でさえも感じてしまって、唇を引き締めた。
 声は漏らしたくない。
 少し涙目になりながら耐える俺に、彼女は笑顔を崩さない。
 彼女は手を胸から脇腹辺りに移動させて撫でる。

「強情だなぁ、でもそこが可愛いですよ。もう、ご主人様大好き」
「え?」
「あ、本気だと思いました?うふふ、騙されやっすーい」

 一気に頭に血が上る。こんなことを言う子じゃなかった。
 こんな風に俺を貶めるような子じゃなかった。
 離せよと、声を張って手錠を揺らした。がちゃんがちゃんと金属音が響く。
 ベッドと手錠の鎖がぶつかる音。
 俺の手首自体は手錠がふわふわの毛で覆われているから被害はない。
 俺が彼女の手首を傷つけないように買ったのだから当然だ。

「まあ落ち着いて下さい。おっぱい触ります?」

 その言葉が俺の手を解除してくれるものだと思ったから、俺は無言で頷いた。
 彼女はそれを見て、メイド服の胸元をぐっと押し下げた。
 胸元レースの白い服の下から白くて少し青い血管が浮き出た胸が出てくる。
 そのまま彼女は身体を俺に密着させて動かした。
 柔らかい物が俺の胸の上に当たる。
 
「なぁ……て、じょ、う……」

 胸を押し付けられて、吐息と共に言葉を出す。
 これは結構ヤバイ。さっきからの刺激と相俟って解放されていない部分が痛い。
 彼女は俺の言葉を無視して、ある程度往復をすると、下に移った。
 スラックスの上から股間を胸で撫でられる。

「閉じ込められて痛いですかー?」
「……痛ぇよ……」
「じゃあ救出してあげましょー」

 そう言ってベルトを外そうとした後に、ぱっとその手を離した。
 ベルトは外れていないのに、離したことに俺が驚いていると、
 彼女が私不器用だから取れないですーと笑った。
 そう言いながらも右手で服の上から股間を擦る。
 
「あれー濡れてきましたよ?」
「マ、ジで……頼むって……」
「何を?」
「…………外して」

 彼女が身体を起こしてぐいとネクタイを引っ張った。
 小さな笑い声を響かせながら、外して下さい、と俺の唇を人差し指で突く。
 その姿が何だか凄く色っぽくて、エロくて、俺は外して下さいと呟いた。
 彼女は俺にキスをすると、股間の方に下りてベルトとチャックを下ろした。
 俺が腰を浮かすと、そのままボクサーパンツごと下ろされる。
 いつもは前を少し浮かして下ろしてくれるのに、今日は何も無く下ろされて、飛び出てくる。
 右手で竿を掴まれて、先端に口付けられる。先走り汁を丁寧に舐め取られた。
 割れ目に舌を入れられて中のも吸い取られる。ちょっと痛い。
 先走り汁を舐め終わると、彼女は竿全体を口に含んだ。
 ぐっという呻きと共に先端が喉元に達する。何度か往復されて、粘着質な水音がした。
 彼女が口の中から出して、再度手で握って裏筋を舐める。

「気持ちいいですか?」
「うん……」
「ふふふ、ホントお気楽ですね」
「ん?」
「男の人ってホント無防備。一番大事な所掌握されてるんですよ?
 ねぇ、ご主人様、私の気が変わったりしたら噛み千切られる危険だってあるんですよ?」
「っ!?」

 笑いながら竿ごと口の中に入れられた。
 そんな恐ろしいセリフを吐かれた後に口の中に入れられると怖くて堪らない。

「なぁ止めろ!!何なんだよ!!おい!!」
「そんな事するわけないじゃないですかー。ふふっ、でも、食べちゃっていいですか?」

 俺が暴れたことで口を離した彼女は身体を起こしてスカートを捲り上げた。
 下着を着けていない。俺が息を飲んでいる間に彼女は俺自身を掴んで位置を調整した。
 俺の返事を聞かずにそのまま彼女の中に俺が入り込む。
 スカートを持ったままで挿入部がモロに見える。
 前戯も何もしていないのに、生暖かく濡れていて、挿入時にお互いに声をあげた。
 ゆっくりと根元まで沈めると、彼女は同じくゆっくりと動き出した。 
 ぎりぎりまで引き抜いて、再度奥まで入れる。
 その緩慢な動きに我慢出来なくて、腰を突き上げると彼女が大きく喘いだ。
 そして同時にネクタイをぐいっと引っ張られた。

「っ……動いちゃ、ダメです」
「何で……?」
「ぁ、ちっ……痛いんですよ……この巨根が……」

 ネクタイを引っ張られながら舌打ちと共に言われて、絶句した。
 褒められているのか、貶されているのか。
 彼女の口から巨根という言葉が出ることにも驚いたし、普段痛かったのかと色々な考えが頭を駆け巡った。
 全身が金縛りに遭った様に動かなくなった。
 彼女はそんな俺を見てにっこりと笑うとネクタイを持ったまま再度ゆっくり動き出した。
 今度はスカートが元に戻って入れられている部分は隠された。
 何往復したのかわからないくらいに、彼女は身体を倒して俺にキスをした。
 その瞬間に腰の動きが激しいものに変わった。

「んっ、ぁ、っ、ん、うっ」

 口を塞いで舌を絡めながらも漏れる喘ぎ声はエロい。
 一度口を離して上体を起こすと、彼女は体勢を変えて俺の腹に手をついた。
 そのまま足立てて、さらに奥まで届く形にする。
 足を立てることで結合部が見えるのだが、腹の上に置かれている手で垣間見え程度だ。
 それでも、少し見えるその部分が興奮を煽る。
 足の間に手を付いているから、自然に胸が寄せられていたが、彼女が手を動かして、左手を自分の膝の上に、右手を俺のネクタイを引っ張る形になった。

「あっ、あ、あっ、あん、やっ、ダメ……!!」

 もどかしい。
 俺の上で喘ぐ彼女を抱きしめたいのに腕は拘束されているし、彼女には動くなって言われるし。
 彼女がもう一度体勢を変えて俺の腕に手を伸ばした。
 腰の動きが一時停止されて、俺の手錠に触ると、その枷を外した。

「……いいの?」
「もう、イきそうなんです……抱きしめて下さい、先輩」

 彼女が涙目で俺に抱きついてきて、俺も彼女を抱きしめながら身体を起こした。
 目が合って舌を絡める。互いに舌を絡めながら、腰も動かして、最奥に突き上げる。
 
「はぁ、ぁ、あっ、はぁ、あっ、イっ……ぅく……!」

 吐息交じりというか、喘ぎ混じりに彼女は声を出して、俺に舌を絡めながら揺さぶられるままになった。
 彼女が腰を動かさなくなって、震えて、何度も締め付けられたから、俺も我慢出来ずにイッた。
 絶頂に達した後に全身の力を抜いて俺に身体を預ける彼女は可愛い。
 解放された手で髪を撫でると、彼女は背中を強く抱いた。

「先輩、嫌わないで……、下さい」
「……嫌わないっての」

 涙目で訴えられて、キスをして返事をしてやった。
 彼女は嬉しそうに俺に抱きついてきた。
 
「でもさ、今度は疲れてない時にしてくんね?」
「じゃあ今度は白衣着てくださいね!囚われの先生と看護婦しましょーね!」
「……何でまた先生囚われてんの?」
     

       

表紙

53 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha