Neetel Inside ニートノベル
表紙

喫茶店な!?
二話

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 高い自給に釣られて働いてみる――そんな風に考えてたけど、そろそろ後悔しそうだ。
「や~ん、美穂ちゃん最高に似合ってるわよ~♪」
「さすがにこれは無いと思いますよ……」
「いやいや、そんなことないわよ。物凄く似合ってるわよ、そのスクール水着」
「…………」
 お、おかしい。ここは喫茶店のはずなのに、何で私がスクール水着なんて物を
着ないといけないのだろうか? しかも大人がスクール水着を着るのって、何だか
少し犯罪チックな気分になるわ。
「店長……質問、いいですか?」
「はい、何かしら?」
「前回の小学生の格好も大概酷かったですけど、今回は更に酷くなってませんか?
 いや、そもそも何でスクール水着なんですか!?」
「それはね――ある人がスクール水着姿の美穂ちゃんを見たいって言ったからよ」
「そんなバカな事をお願いした人って誰ですか?」
 私にこんな恥辱を与えた人。私はその人を許さない……
「あらあら、それは言えないわ。お客様を売るような真似はしたくないからね」
 妙な所で常識を持っている店長。普通に常識を持っているのなら、即刻この格好を
止めさせて欲しい。
「それに美穂ちゃんは嫌がってるかもしれないけど、よく考えてちょうだい。
 美穂ちゃんの身体を包んでいるスクール水着。大人なのに小さいせいで妙に似合
ってしまう身体。そしてなにより、水着からハミ出たお尻のお肉。実に最高だわ♪」
 店長が興奮気味に物凄く気持ち悪いことを言っている。
 私に変な格好をさせる変人だとは思ってたけど、気持ち悪い性癖を持っている変態でもあったんだね。
「――と、いうわけだから美穂ちゃんは安心してスクール水着を着ていいのよ」
「安心なんか出来るわけないですって」
 見てよ、あのお客さん達を。相変わらず鼻息を荒くして私を見つめてるよ。

『おうふ、スク水姿素敵でござるな』
『奇跡を網膜に焼きつけろ!!』
『危なかった。これで彼女の年齢も低かったら逝ってしまうところだった』

 ほんとにこの人達は紳士なのだろうか? 誰がどう見てもただの変態じゃないか。
「ふふっ♪ 今日も皆平常運転みたいね」
「これが平常って救いようがないですよ!?」
 早く警察に連行してもらって、何処か人気のない所に隔離しないといけないレベルですよね!?
「大丈夫よ。彼等はただ見てるだけだから」
「それでも私としてはかなり精神的ダメージがあるんですけど」
 あんな舐めまわすような視線を浴びて何も感じない人なんていないよね。
「これって特別手当とかついたりしないんですか?」
 正直、特別手当を貰わないとやってられない気分なんだけど。
「う~ん、それは……美穂ちゃん次第かな?」
「私、次第……?」
「そそ。美穂ちゃんが私の……お客様の期待を裏切らなければつけてもいいわよ」
「つまり、もっとコスプレをしろと?」
「正解♪」
 もの凄く素敵な笑みを浮かべる店長。現実は非常に厳しいのね。
 まぁでも、店長の言う通りコスプレをしてたら特別手当が貰えるんだし、ここは我慢かな?
 最悪、あの変態達は警察に通報すれば問題ないだろうし……私一人が我慢をすれば、
どうにかなるはず。
 …………たぶん。
「うふふっ♪ 美穂ちゃんが入ってきてくれて毎日が楽しいわね~♪」
「……そうですか」
 それはよかったですね。その分、私はあまり楽しくないですけど。
「さてさて、次はどんな格好をしてもらおうかしらね? 考えるだけで楽しくなってくるわ」
「楽しむのは勝手ですけど……私、まだ一度も喫茶店の店員として仕事してないですよね?」
「何を言ってるの? それが美穂ちゃんのお仕事よ」
 何、その仕事。喫茶店と全然関係ないよ。
「あはっ♪ でも、簡単な仕事だから嬉しいでしょ?」
「…………まぁ」
 簡単だけど、私個人としてはもっと普通の喫茶店で働きたかったと思うよ。
 こんな変態しかいない所じゃなくて、ごく普通の喫茶店で……
 
 はぁ。ほんと、この高い自給がなかったら、今すぐにでも辞めてると思うわ。割とマジで。

       

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Neetsha