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僕のカノジョは超能力者
第3話『僕のカノジョが合コンに行く!?』

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 みなさん、こんにちは。神道です。

『地に足が着かない』という言葉がありますよね?

 コトバンクによると、

 1.緊張や興奮のため心が落ち着かない。
 2.考え方や行動が浮ついて、しっかりしていない。

 らしいです。

 皆さんも、このような経験があると思います。



 さて。ここで僕は皆さんにお訊きします。



 本当に、地に足が着かない状況になったことってありますか?

     





 第3話『僕のカノジョが合コンに行く!?』



     


 サブタイトルコールって、文字読むだけで頭の中で音楽が鳴ったりしません? 僕だけですか?
 まあ、それはそれとして。

 どこからお話しすればいいでしょうかね……



 ・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・

 ・



「合コン、行ってきてもいい?」



 始まりは、月子のこの言葉でした。

「ああああアアアア」

 僕は奇声を発してしまいました。さすがに予想外のことでパニックでした。
 だってほら、合コンって

「日本海軍の巡洋戦艦のこと? フネカン行くの?」
「それは金剛だよ……」

 なんてことを言ってしまう始末。それにすんなり答えられる月子もアレですが……
 改めて話しを聞いてみると、月子の友人主催のそれにメンツが足りないから出てほしい、そう頼まれているようでした。

 もちろん僕の返事は決まっています。

「へえ、いいじゃないか行ってきたら?」
「……いいの?」
「いいよいいよ。楽しんできてね」
「本当にいいの?」
「ああ、もちろんさ」

 月子はとても微妙な表情をしていましたが、じゃあ行ってくるね、と小さくつぶやき、そのときは終わりました。

 ふふふ、僕は合コンなどという些細なことで嫉妬しないのです。月子は僕以外の男になびくはずがありませんからね。
 たぶん。
 僕と月子の間に伸びる赤い糸は登山のロープよりも硬くて太いのですよ。

 ええ、信じています。

 信じてますよ? 僕は月子のこと、信じてます。

 ……信じてますってば!



 ・
 ・
 ・
 ・
 ・



 こちら神道、合コン会場に潜入した。
 僕はほうぼうに聞き回り、今日合コンが開かれる居酒屋を探し当てました。大変でしたが何ら苦になりませんね。
 月子のことは信じていますけど、ほら、心配するのが彼氏ゴコロってやつじゃあないですか。

 さてさて、男が数人座っているところがありますね……知った顔がいないので、他大学の人たちなんでしょう。僕は少し離れたカウンターからちらちらとうかがいます。
 月子はまだ来ないようですね……むむ、そわそわしてきました。

「ご注文はどうしましょうか?」
「カンパリソーダ」

 ……お、おお、入り口付近が何やら騒がしいですね。
 来た、来たみたいですよ、皆さん。

 てっ。

 ちょっ。

 サイドポニーだとおおおおおおおおおお!?

「カンパリソーダになりまーす」
「どうも」

 今日の月子の髪型が、サイドポニー、サイドポニーですよ、皆さん! しかもお花の髪飾り付き!
 僕は今まで……そんな髪型見たことないのに……ずっと、無造作に垂らしたストレートだったのに……それなのに、僕の知らないところで初めての髪型をするなんて! 幼く見える月子がさらに子供っぽく見える! すばらしい……!
 それに今日の服装! これまた僕が見たことない……この日のために買ったのかな……短い、なんて短いスカートなんだ……僕だけの脚を、拝みたくなるような脚を、そんなに露出しちゃって……

 僕は、そんな月子を見て。

 僕は。

 僕は!



 今日は来て良かったぁぁぁぁぁぁ。月子の新しい一面見れたぁぁぁぁぁぁ。



 と思うばかりです。

「隣り空いてますか?」
「どうぞ」

 今日の月子は特にかわいいなぁ。今度は僕の前だけでその姿になってほしいです。

「失礼します」
「どうぞ」

 そう言えばサイドポニーかツインテール、意見が分かれるところだと思いますが、皆さんはどちらがいいですか?
 僕は断然サイドポニー。崩れたシンメトリー感がたまりません。

「ご注文は?」
「ビールを」

 服装もとてもフリフリで妖精のようですねぇ……それにしたって脚、短いスカート、脚。ああ、すばらしい。

 ……ん? いつの間にか隣にお客さんが座っていました。


 おお、おおお。


 隣のお客さん、女性なんですけどね。けっこう、背が高い人なんですよ。組まれている脚がすらりと長いのです。月子の脚はこう、むっちりとした少女的背徳な雰囲気があるのに対し、隣の人はまさしく脚線美。パンツがさらに増してします。なるほど、完成された大人の魅力ってヤツですね。
 それ以上にドレスシャツ。もう、ぱっつんぱっつんなのですよ……! すごい破壊力を感じる……! これほどまでの膨らみと張りを拝める日がやってくるとは……!

 ご存知の通り、僕は慎ましいお胸が好きなわけですが、やっぱり大きいのも好き、という結論。そしてそれは真理。男性の皆さまなら理解していただけるでしょう。そして女性の皆さまには理解していただきたい。
 広大な高原も良いですが、やはり谷や山を見てみたい……これは、しかたないでしょう。

「んーっ」

 ビールを一口呑んで落ち着いたのか、大きく身体を伸ばしています。ああ、そんなに仰け反られたら……ボタンが弾け飛んでしまいそう……!



 バキンッ



 ……なぜでしょうか。
 僕のジョッキが、粉々になりました。

 事態はどんどん悪化します。



 バリン、バリン、バリン!



 店の照明が次々に壊れます。ついに店内は真っ暗になってしまいました。

 僕は原因がわかってしまっている。まずい、これは本当にまずい。

“何がマズいのかな?”

 おおおおっ、月子! いやぁ奇遇だね、こんなところで会うなんて!

“えへへ、そうだね”

 ははっ、声が笑っていませんね。

“ねえ陽くん。私、ちょっと酔っちゃったの”

 そりゃあ大変だ、早く帰らないと。

“ううん、私、お散歩行きたいな。陽くんと二人で、夜空の、お・さ・ん・ぽ”



 ・

 ・・・

 ・・・・・

 ・・・・・・・



 で、今に至るわけです。

 ……あ、そう言えば今の状況を説明していませんでしたね。



 僕は今、月子と上空3000メートル(と月子は言っていました。スカイダイビングをするときの高度です)で夜のお散歩中です。
 強風がびゅんびゅか吹く中、僕は雑な念力でぐらぐら浮かされて手足をバタバタ動かしているところです。月子はまるで地面にいるような安定感で立っています。
 髪も、サイドポニーも、服も、スカートも、いっさいなびきません。ですが僕は強風を信じてスカートを凝視するばかりです。

 それはそれとして、これはピンチですね。もはや今回のオチが見えていますね。

「ねえ、陽くん」
「……はい」

 びくびくおどおど。

「どうして、あそこにいたの?」

 …………

「行っていいって言ってくれたよね?」

 …………

「私のこと信じ「信じてる」

 信じてるけど、でも、心配だったんだ。
 変に断って、束縛してしまうような男にはなりたくなかったんだ。カッコ悪いじゃないか。
 ……そりゃあ、黙ってそこにいたのは卑怯だったし、よけいにかっこ悪いと思ったけどさ……

「でも、今日の服と髪型、かわいいね」

 …………

 ……無言。返事が来ない。

「ふふっ、あはははははっ」

 月子が笑い始めました。

「信じてるって言って、その次が服と髪型のことって……うふふ、変なのっ」

 テレパス使ってなかったのか! 僕の、文字通り心からの本音がまるで届いてなかったのか! そりゃ笑っちゃうだろうね!

「私ね、本当はダメって言ってほしかったの。僕がいるのにそんなところ行っちゃダメって、言ってほしかった」
「……え?」
「どーせ意地を張ってオーケー出したけど、我慢できないから見に来た、とかでしょ?」
「はい、仰るとおりです……」

 はい、仰るとおりです……カッコ悪いなぁ。

「後悔するぐらいなら素直に言いなさい。いい? わかった?」
「はい、わかりました……もう合コンとか行ってほしくないです……」
「うん、よろしい」

 ああ、やっと。
 やっと月子が笑ってくれました。

 抱き締めたいです。ハグしたいです。たまらなく愛おしいです。
 手足を動かし、泳ぐように近づこうと努力するものの進みません。

「月子――」
「さて、それはそれとして」



 ……ああ、皆さん。

 怒髪天を衝くを、実際に見たことがありますうあああああああああ!



「隣にいた、お胸のおっきい女性とはどのような関係?」

 サイドポニーが解かれ、いつものストレートヘアが逆立って、服もぶわぶわと波打っています!
 これは、アレです。オーラですサイキックです、僕の前には今、愛しくてしかたない兵器がいます。

「た、たまたま隣り合っただけだよ」
「…………」

 月子は目を閉じています。
 ……嫌な予感しかしない。

「『これほどまでの膨らみと張りを拝める日がやってくるとは』。なるほどぉ」

 記憶を探っていた!? ひどい!

「ずる、ずるい月子! 月子ずるい!」
「『広大な高原も良いですが、やはり谷や山を見てみたい』。ほほー」

 あああ、まとうオーラがさらに強くなっていくのを感じます。しかも、そんなに服がなびいたら……あ、今日はピンクなんだ。僕、その下着好きなんだよね。

「『今日はピンク』。辞世の句、いただきました」

 ここでテレパスぅぅぅぅ! さっき使ってくれてたら良かったのに!
 ……ずるい、超能力ずるい。

「うん、たしかにずるいよね。わかった、オフにするね」

 そうだそうだずるいぞ、オフにするんだ。
 ……オフ?

 いや待って月子、テレパスとかそのへんをやめてほしいだけで、超能力オフは、やばいよ。だってほら、今こんな上空じゃないか。
 それに第2話と同じ落下オチなんて皆さんが納得してくれるはずがない! ボコボコに叩かれるだけだろう!

 ……ハッ、そうか。落下だけにオチということですか。

「ぷっ」

 ウけた。

「……陽くんにだけ超能力オフ」

 あっ。

 ああああっ。

 ああああああああああああああああああああああああああああああああ落ちるうううううピンクうううううううううううううううううううううううう!



 ああああああああああああああああああああ……



 あああああああああ……





 あああ……







 ……

     




『次回予告』



 いやはや、ひどい目に遭いました……ん? 第2話の次回予告でも似たことを言っていたような……
 さて、次回ですが……ふふふ、実は僕、とんでもないことに気づいたのです。

 次回予告とはご存知の通り、次回のお話を予告する、ということ。

 つまり、ここで予告したことが次回に起こるというわけです!

 なので! 次回は「僕とカノジョが海に行く」です! 季節外れ? いえいえ、一話完結型なのでやりたいようにやればいいんですよ!
 うわあ、楽しみだなぁ月子の水着! ピンクのワンピースだったらいいなぁ……!

     




『コメント返信』



 テンション上がるなぁ。はい、コメント返信です。



 [10] しばらくはラブコメ路線ってことはNTRとかリョナとか来るのか。胸熱 <2011/11/17 22:12:39> FanOmAt0P

 ぜったいに来ないです。



 [11:第2話『僕のカノジョが大ピンチ!』] ラブラブがイイネ!続いて! <2011/11/17 22:16:33> gf2r6Nj/P

 どんどんラブラブを続けますよー!



 [12] うん かわいい <2011/11/17 23:27:41> kewkDIY1P

 でしょうでしょう、月子はかわいいですよ!



 [13] 体がもたないんじゃないかw <2011/11/17 23:39:15> AlRVQYn0P

 案外気合いでどうにかなったりしますよ。それに月子はちゃんと手加減してくれますし。



 [14] 楽しいwww <2011/11/18 21:28:06> FrVxziQ/P

 もっと楽しんでもらえるようにがんばります!

       

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