僕のカノジョは超能力者
第１話『僕のカノジョは超能力者』

　みなさん、はじめまして。神道陽太（しんどうようた）と申します。よろしくお願いします。

　突然ですが、僕のお話しを聞いてください。
　きっと惚気話になってしまいますが許してくださいね。



　僕には今、お付き合いをさせてもらっている人がいます。つまり恋人です。

　外見とか性格とかはのちのちお話ししますが、僕の彼女、なんというか、とても個性的なんです。

　実は。



　僕の彼女は超能力者なんです。



　…………あれ？

　第１話『僕のカノジョは超能力者』

　……このサブタイトル、初めてではない気がする。



　あ、ごめんなさい。えーと、どこからお話しすればいいでしょうか。
　そうですね、まず、超能力以外のことをお話しします。



　僕の彼女。名前は斎藤星名（さいとうほしな）。ホッシーナと呼ばれると激怒する、ちょっと怖い子です。
　やや茶色の髪でシャギーボブ（って言うのかな？）、目元が少しきつい気もしますが、大人っぽい顔立ちです。背は僕よりやや低いぐらい。隣り合うと目線が同じところに位置します。
　ついでに言うと胸のサイズはとても破壊的というか、刺激的というか……いやぁはっはぁ、ついつい目線が下がってまじまじと見てしまいます。横から見たときの膨らみがもう……僕は慎ましいほうが好みではありますが、これはこれで良いですね。
　服装は……僕は女性のファッションとかよくわかりませんが、カワイイというよりはカッコイイ系です。背も高いし、全体的に大人びていて、胸はほら、ビックリバストですし。モノクロでシックな装いが多いですね。

　えーと、次は性格ですね。これが外見とは裏腹にずいぶん優しい、いえ、かなり甘えん坊です。兄弟姉妹がおらず、１つ年上の僕（言い忘れてました。僕は大学二回生で彼女は大学一回生なんです）を兄のように慕ってくれています。
　そんな彼女の頭の中は、メリーゴーランドが回っているぐらいに夢見がちです。将来の夢は『素敵なお嫁さん』らしいです。大学生でそう言うぐらいですから、相当本気な夢なんでしょうね。僕は応援します。キャベツとレタスの見分けがつかず、レタスロールを作っちゃうような彼女ですが、僕は応援します。

　よし、こんなもんですね。え、僕のこと？　ははは、僕のことは別にいいじゃあないですか。さして重要ではありませんし、それに僕は皆さんに……ん、彼女、のことを知ってほしいんです。
　……彼女？　ん、なぜだろう違和感が……

　ああ、すみません、話しを戻します。



　じゃあ、超能力のことについてお話ししましょうか。
　彼女と付き合うようになってから、僕も僕なりに超能力について調べてみました（と言ってもググったぐらいですが）。
　超能力はＥＳＰ（超感覚的知覚）とＰＫ（念動力）、大きく分類するとこの２つだそうです。

　ＥＳＰとは、透視やテレパシー、未来予知は催眠など、精神に作用するような力っぽいです。
　ＰＫとは、スプーン曲げやタイムトラベル、テレポートなど物理的にも作用するような力っぽいです。

　この２つから考えると、彼女は……あれ？　彼女は、何ができるんだっけ……？
　すみません、ど忘れしてしまいました……

「先輩、誰と話してるんです？」

　とか何とか言っているうちに、彼女がやって来ました。すっかり言い忘れていましたが、今日、僕と彼女はデートする予定で、僕はうきうきと一時間前から待っていたのです。
　彼女は僕のことを先輩と呼びます。大学生にもなって『先輩』と呼ばれるのは少々複雑な気分です。

「ん？　なんでもないよ、独り言」
「壁に向かって独り言ですか？　そんな先輩も素敵です」

　むむ、手厳し……くない言葉。
　…………
　何かが、違う気がする。

「そんなことより、早く行きましょうよ。混んじゃいますよ、水族館」
「はいはい、ごめんごめん」

　彼女は僕に手を伸ばしました。僕はその手を握



　らない。



「……先輩？」

　不思議そうに僕を見つめる彼女。僕はじっと黙って、固まってしまいました。

　皆さん。どこかおかしい感じがしませんか？　そう、これです。そもそも僕と皆さんは初対面のはずです。なのに僕は皆さんとは何度か会っている気がします。そして、皆さんも僕のことを知ってくれている気がします。

　そうだ、そうです。僕は皆さんを、皆さんは僕を知っている。けれど大きな違和感がある。

　それは。

　目の前、誰か。



「斎藤星名。キミは誰だ？」



　僕は彼女を知らない。当然恋人でもなんでもない。
　知らない、誰かだ。

「……どうして」

　斎藤星名の顔が、雰囲気が、重く、黒く、恐ろしくなっていくように感じられました。

「どうして、気がついたのですか……！？」

　斎藤星名はじりじりと寄って来ます。僕は距離が変わらないよう、後退りをします。
　初対面ですが、何かしらの超能力を保持していることは知っています（なぜ知っているんだろう）。ただそれが何かがわかりません。

「気がついたわけじゃない。思い出しただけだよ。キミは僕の恋人じゃない。僕の恋人は」


　パキンッ


　耳元でガラスの割れたような音がしました。その瞬間、周囲は固まり静かになりました。
　突然の出来事に慌て、僕たちはきょろきょろと見渡しました。僕と斎藤星名、２人だけしか動いていません。

　いえ、違いました。

「陽くん、遅くなってごめん！」
「……月子！」

　僕の恋人、月子がいました。

「うっ、伊藤先輩……」
「ようやくお近づきになれたね、ホッシーナ」
「ホッシーナって言うな！」
「月子、この人は……？」

　激怒するホッシーナを念力で拘束している月子に尋ねます。

「この子……ホッシーナはタイムトラベラー、つまり時間移動の超能力者」
「ドラえもんのタイムマシン？　ホッシーナが？」
「そうそう。ホッシーナは過去を変えて私と入れ替わろうとしたみたい。ホッシーナは。……と言うかこの子、前のほら、合コンで……陽くんの隣に座ってた人だよ。ホッシーナは」

　おお、あのときのパッツンパッツンの子か！　胸しか見てなかった！
　僕と月子はここぞとばかりにホッシーナと連呼。ホッシーナは宙に浮かされたまま、それでも気丈にこちらを睨んでいます。

「なんで、なんで時間移動ができない……！？」
「時間を止めたの。風がなければ船は動かないでしょ？　それと同じ」

　月子、その表現わかりにくい。

　その後「ちょっと女同士でお話ししてくるね」と言った月子はホッシーナと共にどこかに行きました。
　時間も動き、取り残されたのは僕一人。



　…………



　……ハッ！



　今回は第４話「僕とカノジョが海に行く」だったはずなのに！　それなのにもう終わりそうな雰囲気！

　ああああああ、どういうことだあああああ。僕は今回おいしい思いするはずだったのに！　月子の水着、ピンクのワンピースを見るはずだったのに……！　あとホッシーナの黒ビキニとかも見てみたい……！



　あんまりだ、こんなことってあんまりだ……

『次回予告』



　次回……？　知りませんよ、そんなもん……

『コメント返信』



　……気分が乗らないので今回のコメント返信はありません。