僕のカノジョは超能力者
第６話『僕のカノジョは魔法少女』

「神道先輩、どこですかっ？　もう始まってしまいますよ！」
「わっ、もう始まっちゃってる。ホッシーナ、どうしよう」
「……無理矢理言ってますよね、ホッシーナって」
「それよりも、ほら……もう、陽くん抜きで始めちゃおっか」
「え、うー、うーん……そうですね、そうしましょうか」
「よーし、それじゃあー」

「「せーの！」」

「僕のカノジョは魔法少女、始まるよー！」
「ＷＥＢ小説を読むときは部屋を暗くして画面にくっついて見てくださいね」

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　みなさん、こんにちは。神道です。

　今回は話しはこんなノリです。暖かい目で見守ってください。

　第６話「僕のカノジョは魔法少女」

　――時は２０ＸＸ年。世界は核の炎に包まれた。





　なんていうことはなく、環境問題やら不景気やら今と変わらず進展せず、それでもほどほどに平和な世界でした。
　ある一点を除けば。

　僕がぼんやりと街を歩いていると、突然警報が鳴り響きました。至るところに設置されたアラームからけたたましい音が放たれ、耳の中がキンキンとしてしまいました。
　もう何度も聞いた避難命令。周囲の人たちは大騒ぎで逃げ惑います。こんな非日常のような光景を、僕はとっくに慣れてしまいました。

　僕はあえて立ち止まり、周りに人がいなくなるのを待ちました。そう、僕は逃げません。もちろん逃げたいです。ですが逃げるわけにはいけません。そう、僕には使命があるのだから――

「いつもいつもご苦労様です……じゃなかった、ご苦労ねぇ。神道せんぱ――じゃない、神道くん」

　現れたのは悪の女幹部、ホッシーナ。黒いビキニでこれでもかと身体を露出する、すばらしい、いや、けしからん悪の親玉です。

「現れたな、ホッシーナ。今日こそ改心させてやる！」
「ふふふ、頼もしい言葉ねぇ、一人じゃなんにもできないのに……のに……」

　と言ったところで、ホッシーナは顔を真っ赤にして僕を睨みました。

「し、神道先輩……ほんとに恥ずかしいんで、視線、もっと上げてください……」
「ああ、ごめん」

　なんて言われてもついつい目は胸に……ふぅむ、過激なファッションの女性が恥ずかしがる姿、何かジャンルとして築けそうな気がしますね。

「どうしてこんなことになってるんですかぁ……いつもみたいな日常系に戻りましょうよぉ……」
「まあまあそう言わずに。がんばってよホッシー……あ、ごめん。星奈さん」
「いやああああああ！　今回は、今回だけはホッシーナと言ってください！　今の私は、私じゃないんですううううう！」

　よくわからない子だ……

「ほら、そろそろ戻らないと」
「ぐ、ううう……ええーいっ、生意気なやつ！　目に物見せてやる！」

　半ばやけになった星奈さんは手を振りかざし、真っ黒いエネルギー弾を周囲の建物にばら撒き、次々に爆破していきました。
　少々やり過ぎ感はありますが、僕は飛び散る残骸や星奈さんの攻撃を避け続け、時間を稼ぎます。

「ほうらほうら、逃げてるだけじゃあ私は改心しないよぉ！」
「くっ……」
「おらおらおらおら、どうしたの、どうしたのぉぉぉ！？」

　もしかしたら星奈さんはサドかもしれません……有り得ないほどの猛撃に、ついに僕は足を絡ませ倒れてしまいました。

「チェェェェェッ、ク、メイトォォォォォッ。詰みってヤツだあ」
「ぐ、もう、だめだ……怖い、ホッシーナ、とても怖い」

　僕が諦めかけた、そのとき！



「お待ちなさい！」



　突如、周囲の空気を裂くように響いた声！　そう、この声を僕は待っていた！

「だ、誰だ！？　誰だい！？」

　それにしても星奈さん、もはやノリノリである。

「この世に悪がいる限り、私の心は挫けない！
　魔法少女マジカル月子ン、そんじゃそこらのここらに参上！」

「…………」
「……」

　僕は、次に言うセリフを忘れてしまいました。

　きつい。いや、痛々しい……や、可愛いいですよ？　ちょっと高めに結ばれたツインテールで、日曜朝に放送されている魔法少女のようなフリフリの衣装で超ミニスカート。しかもステッキなんて持っちゃって、ウィンクでピースというポージング。
　さすがに大学生のそれはきつい、キツいよ……星奈さん、ずっとうつむいて震えてる。笑ってるのが月子ンにバレたらどうなることか……

「……いいなぁ」

　星奈さん？

「いいなぁ、魔法少女……！　私もなりたかったなぁ……！」

　え゛、羨ましいの！？　あれが？　あの格好が！？　あの設定が！？
　やはり女の子はそういう憧れがあるんでしょうね。まあ、黒ビキニの悪の女幹部よりは遥かにマシか……

　星奈さんからは深い悲しみが感じられました。そして次ににじみ出たものは、純粋な殺気。

「私なんてこんな痴女みたいな格好なのに、伊藤先輩は魔法少女……うぐぐぐ、この格差はなんたるや！」

　手をかざし、真っ黒なエネルギーを集め、それを地面に叩きつけました。すると数本の触手をウネウネとさせる、まるでウツボカズラのようなクリーチャーが召喚されました。

　これは、まさか……ゴクリ……

「さあ行きなさい、私のかわいぅペットちぁん！」
「ふふん、さくっと楽っとチリにしちゃうんだからっ」

　そう言うと月子ンはなんだかよくわからない呪文とポージングでハート型のビームを出しました。
　が……ウツボカズラはまるでダメージを受けていない！。

「そ、そんな！」
「それで終わり？　ほうら、やっちゃって！」

　それにしても星奈さん、やはりノリノリである。
　そんな星奈さんの命令にウツボカズラは触手を伸ばし、月子ンの手足、腰にグルグルと巻き付きました。

「くっ、魔法が……効かない！」
「んふふふふ、この子はとある塔から召喚した、魔法が一切通用しないモンスターなの、んぅ、ふっふぅ」
「ぐぅ……くる、しい……」

　ぎりぎりと月子ンを締め上げる触手。苦痛に歪む顔。力ではどうすることもできない、激痛からか呪文も唱えることができない、この状況。

「ほうら、みんなお待ちかねのリョナ展開だよぉ、ほうらほうら！」

　待ってない……少なくとも僕は待っていない……！

「ん、んんぐぅ」

　ついに触手が首にまで巻き付いて……なんということだ、僕は、どうすれば……！

（……陽くん、陽くん！）

　ここでテレパシー！？　それちょっとどうなのかな。

（このままじゃ私、負けちゃう……お願い、がんばれーって、応援して！）

　応援だけでいいの？

（うん、それだけで、元気１００倍だよ……！）

　ずいぶん簡単なアンパンマン効果だな……

　しかしなるほど、僕が、応援さえすれば……

「おらおらおら、この魔法少女を喰っちまいな、ウツボカズラ！」
（や、いや、たべちゃ、食べちゃ、いやああああ！）

　僕が、応援さえすれば……

（あ、あああ、たべられ、る……こわい、たすけて……！）



　僕が応援さえしなければ、リョナ展開が続くのだ……！



　う、ううう！

　ああああああああああ！

「月子ン、がんばれ、がんばれってくれー！」



　………………………

　………………


　…………




　……

『反省会兼次回予告』



　どうも、神道です。
　あのあと、元気１００倍になった月子ンは反則であろう超能力でウツボカズラを殲滅、そしてホッシーナを半裸状態まで追い込んで撃退しました。

　皆さんにお訊きします。

　僕は、正しかったんでしょうか。どうせ一話完結型なのです、せっかくだからリョナられる月子ンを見ていても許されるのではなかったのでしょうか。
　今の僕には、わかりません。



　さて、次回ですが、『僕が激怒した夜』をお送りします。

　今のうちに言っておきます。

　次回は、僕と月子の真剣勝負です。

『コメント返信』



[28:第５話『僕と月子とホッシーナ』] 生きてたのか、ホッシーナ。てっきり・・・ <2011/12/27 12:58:46> uG/ydWe.P

　僕もてっきり●んだかと思ってました。



【作品の都合上、神道くんは番外についたコメントを返信できません】