「ねぇ、あなたは本当にそれを願ってる?」
声がした。
「何に変えてもそれが欲しいと願っている?」
おぼろげに見えるのは髪の長い女の子。身長からして中学生か高校生の年だろう。けれど、どことなく幼いように見える。金の前髪が長く顔の右上は隠れてしまっており、左目しか見えない。リボンの先がウサギの耳のような跳ね方をしたカチューシャを付けていて、腕には継ぎはぎだらけのウサギのぬいぐるみを抱いている。
僕はおもむろに口を開いた。
「アリス……?」
ああ、そうだ。何かと思ったら、不思議の国のアリスのイメージに近い。ちょうどそんな感じのドレスを着ているし。
こちらが何を考えているかなど気にも留めない様子で彼女は続ける。
「ならその願い、叶えてあげる」