Neetel Inside ニートノベル
表紙

レイプレイプレイプ!
rap5. 五百蔵の魔女1

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 その時、菊里はまだ中学校の三年だった。
 肌に玉の汗が浮く暑い夏の夜。彼女が初めて失敗した日のこと。

 地下牢、そんな言葉を思い起こさせる部屋。
 菊里は実際に地下牢というものを見たことはなかったから、今自身を閉じこめるその空間が果たしてそう呼ばれるべきものなのかは分からなかった。しかしコンクリートの壁に囲まれ、扉以外は顔のようやく覗かせるのがやっとの窓しかないその空間は、少なくとも牢と呼ぶに差し支えはなさそうだった。加えてかび臭い匂いが、彼女の牢という印象を助長した。
 そこに菊里と、もう一つの蔦状の生物が同居していた。より正確に状況を伝えるなら、その肉蔦が菊里を絡めとっていた。表面が粘液でぬめる蔦状の生物。蠢く肉塊から生えるその蔦は、俗に触手と呼ばれた。
 彼女の四肢に絡みつき、その自由の一切を奪っている。両腕は腋を晒すように頭の上で釣り上げられ、両脚は股を開くように締め付けられている。彼女は制服を身につけたままだったが、その衣服の中には触手が入り込んでいた。
 胸を覆うように平べったい触手が張り付いている。張り付いた触手の裏には柔毛のような舌がびっしりと生えており、彼女の膨らみ始めた胸を弄んでいた。胸全体を覆う触手は彼女の肉をこね回し、特に乳頭を執拗に舌で舐めて転がした。
 ショーツに潜り込んだ一本の触手は彼女の肉芽に吸い付いている。口のような器官を持った触手が、彼女の最も敏感な肉を吸いつき、口内に無数にあるイボイボで肉豆を念入りに刺激していた。吸い出した淫核の根元を、甘噛みでもするように口をすぼめる。あるいは吸い付いた花芯をその口内で舐め回した。
 嫌悪感が持続したの最初の数分。くちゅくちゅと音を立てて弄ばれた下半身はすぐに熱を帯び始めた。クリトリスはぷっくりと充血し、触手に吸い付かれ扱かれるのがたまらなく甘い刺激になった。すぐに上下の突起をこね回されるのが耐え難い悦びに変わった。
 押さえつけられた嬌声が絶え間なく零れた。何十分か幼い体を弄ばれた後に、彼女は無理矢理に性的絶頂を味わうことになった。頭は真っ白になり、体は小さな痙攣を繰り返した。
 絶頂の後、その余韻と絶望で朦朧とした彼女の前に掲げられたのは、また一本の触手だった。
 形状だけを言えばそれは人間のペニスを模していた。違うのは表面にびっしりと生えた舌状の触手。一本一本がうねうねと蠢き、その一つ一つがとろりとした粘液を吐きだしている。それは一言で喩えるならブラシのようだった。触手の先端に細かい舌触手が生えたブラシ。必死で逃れようとしても、拘束された体は身をよじるくらいしか動かすことはできなかった。
 下着が剥ぎ取られ、触手ブラシが挿れられた。鈍い破瓜の痛みは長く続いたが、下半身と胸からの快楽がその痛みを中和した。
 うねる舌触手が肉ひだを舐め、ブラシの芯が子宮口を小突いた。痛みが引き、慣れてくると触手は機械的なピストン運動を始めた。ナカを擦られ、秘肉をこね回され、菊里が雌の悦びを知るまでそう時間はかからなかった。膣内を散々ブラッシングされた挙句、為す術なく二度目の絶頂を迎えた。
 二度も気をやり、彼女の自尊心はすでにボロボロだったが、触手ブラシの責め苦はなおも続いた。触手ブラシは彼女を雌として、家畜として、泥沼に引き込むうように調教を続けた。
 Gスポットを擦り上げて潮を噴かせ、器用にポルチオ器官に刺激を与えた。どこをどうしたら絶頂するのか、執拗に嬲って体に覚え込ませた。我慢してもイキたくなくても、触手ブラシの為すがまま、彼女の体は快楽の味を覚えた。それは初めて自覚した性快楽で、同時に酷く被虐的な悦びだった。人間の雌がソレに逆らうことはできないと思い知るまで、彼女は何度も何度も絶頂に導かれた。

◆◆◆

 夢というには少しばかり曖昧さに欠けた。菊里が目を覚ました時に知覚したのは忌まわしい記憶だった。自分が人間ではなく、一匹の雌として扱われた記憶。助けが来るまでの長い時間のことは、心の奥底に仕舞われている。思い出すことはほとんど無い。けれど仕舞われているということは、忘れられていないことと同義だった。
 嫌悪の記憶だ。けれど、どうしようもないほどに鮮烈な快楽の記憶でもある。わずか一日の間に、およそ普通の性行為では味わうことの出来ない快楽を何度も体験したのだから。
 忌まわしいことを思い出したのは、菊里のいる空間のよるものかもしれない。
 その記憶に近い、コンクリートの内壁。固く閉ざされた鉄格子の扉。かび臭い匂い。それから、身動きのとれない体。部屋の広さは四畳半ほど。それだけは彼女の記憶よりはやや広めだ。
 衣服は全て剥ぎ取られ、体は縄によって拘束されていた。体の下には一応布が敷かれている。それなりの厚さがあるようで、コンクリートの硬さも冷たさも感じない。
 上半身は仰向けに寝かせられ、両脚を胸の前で開いて釣り上げるように縄で固定されていた。必然、彼女の秘所は無防備に晒される。覆い隠すものは何もない。脚を閉じて隠すことも出来そうにない。両足首、両膝を縄で留められ、天井と胸を縛る縄で連なるように結ばれている。仰向けのカエルのような姿勢は、不躾に彼女の羞恥心を煽った。
 手は背中に回され、臀部の下あたりで縛られている。指は袋の中にしまいこまれ、縄をほどくことはできない。胴体や脚を縛る縄は部屋の壁にあるフックに繋がれており、僅かな移動さえ行うことも不可能だ。
 口にはリング状のギャグを噛まされ、口腔と舌が無防備に晒されている。
 豊かな乳房は縄によって歪に強調されていた。
 状況把握と同時に背筋を恐怖が撫でた。冷たい感触がぞわりと全身に広がる。
 拘束は菊里の自由を完全に奪いながら、同時に下半身へのあらゆる陵辱を受け入れるようになっている。舌をかみ切ることも、硬い場所に頭を打ちつけることもできない。確実に殺さず、人間の雌を嬲り尽くせるように縛られている。
 俯瞰してみるなら、それは酷く淫靡な光景と言えた。
 惜しげもなく晒された若い雌の体。白い肌は冷え切ったコンクリートの暗い鼠色と対照的だ。脚は細くしなやかで、尻には適度な肉付きがある。腰は脚から尻の曲線美を崩すことなく括れており、乳房は申し分ないほど豊かだ。一切の動きを封じるように緊縛され、彼女の秘所は無防備に露出している。膣を指で掻き回そうがペニスで突きまくろうが、彼女にはなんの抵抗もできない。誰でもその端正な顔、睨み付ける切れ長の瞳の歪ませ、リングギャグで無理矢理こじ開けられた口から甘い悲鳴を漏らすだけの人形にすることができる。誰でも、どんなに力のないモノでも。拘束された少女は、雄の嗜虐心を煽るに十分過ぎるほど魅惑的だった。
 今後の命運を考える間もなく、菊里の視界に『100:0』と表示された数字が浮かび上がった。黄緑色の数字ははっきりと発光しながら宙に浮いており、それが何らかの魔術であることは容易に理解できた。
「良い格好だな、魔女さんよ」
 前触れなく話しかけてきたのは大柄の妖魔だった。体の造りこそ人に類似するが、その容貌は人間のそれと一線を画した。朱色の皮膚はお伽噺に出てくる鬼を連想させる。隆々とした筋肉は人間離れしており、粘土で作られた巨人のようだった。
 衣服は身に着けておらず、怒張した性器が晒されている。視界にその肉の塊を映した時、菊里は思わず息を飲んだ。太く逞しいそれが何度も自分のナカを蹂躙し、精液をはき出す光景が脳裏を掠めた。
 恐怖がひたりと心に染みこむ。だがそんな様子を見せるわけにはいかない。一度でもひるんでしまえば、妖魔に嬲りものにされたときに縋るものがなくなってしまう。式者のプライドだけは何をされても残しておかなければいけなかった。それを失えば、抵抗をやめ思考を止めれば、人間ではなく家畜にされてしまう。
 怯えを表情に出さないよう、菊里は視線をその妖魔に向けた。
「起きたばかりで恐縮だが、ちょっとしたゲームに付き合ってもらおう」
 大柄の妖魔はにやにや笑うでもなく余裕の態度をとるでもなく、淡々と言葉を放った。
「お前さんの前に数字が二つあるだろう。察しの通り俺の妖術によるものだ。二つの数字と共に百分率を表している。左側の100と書かれた数字がお前さんの性的刺激に対する耐久度。快楽を感じれば数値は減少する。0になればあんたが気をやったってことだ。こいつを一時間以上0にしなければあんたの勝ち。晴れてあんたはこの妖術から解放され俺はゲームの敗北で死亡して終了だ」
 妖魔はそこで口元を歪めた。それは笑みというよりも自嘲しているように見えた。
「右側の0と表示されている数字は従属度。お前さんが気をやるごとに上昇し、このゲームから解放されるまで下がることはない。派手にイけば30も40も増えるし、そうでないなら10か20で済むだろう。まァ貞淑にしてることだな。で、こいつを100にすると俺の勝ち。お前さんは性奴隷ってわけだ」
 じりじりと妖魔が菊里に近づく。
「不公平なルールだと思うかい? くくっ、まァそんなもんさ。媚薬や淫毒の類はゲーム中は無効化されるがね。なに……それなりに平等さ。そうでもしねぇと、術式に必要な妖力も無駄に大きくなっちまう。くそみたいにかたっくるしい世の中だ、全く」
 少しも面白くもなさそうに彼は口だけで笑った。
「さて、こんなところだろう。術の発動条件を満たした。俺の言ったことはちゃんと頭に叩き込んだか? まァそうでなくとも始まればすぐわかる。手始めにちょいと可愛がってやろう」
 言い終わると同時に、菊里の視界二つの数字の上に新たな数字が表示された。59:59:99から下二桁の数字が瞬く間に減り始め、中二桁がゆっくりと減少を始めた。残り時間を表すタイマーのようだ。
 妖魔は部屋の隅に置かれていた小瓶を手に取り、その中身をひとしずく、指の上に乗せた。一粒の丸い水滴は、毒毒しいくらいに青く、その表面をぷるぷると蠢かしている。極小さなスライムだった。
 菊里は無意識に体を強ばらせた。知識だけで知っているスライムの凶悪さが、彼女の恐怖心をざらざら撫でるような心地がした。
 菊里の淫核付近にその青い雫が擦りつけられる。スライムは彼女の花芯の皮に入り込み、その肉芽に絡みつく。リング状になって柔らかく締め付けると、それはぶるぶると振動を始めた。
「……ふっ……!? ぐ……ぅ……」
 一瞬何が起きたのかわからず、菊里は目を白黒させた。
 花芯を苛む振動は非常に微弱ながら、彼女の小さく敏感な肉を芯まで震えさせるに十分だった。神経が凝集した肉芽への刺激は、彼女の記憶からあの忌まわしい記憶を呼び起こすことになった。触手にクリトリスを弄りまわされた感覚が蘇る。記憶が結びついた途端、花芯からの刺激が甘やかなものに変わった。
 視界に映る数字が減少する。『99:0』
 性的な快楽に対する耐久度。その数値が減少したということは、彼女がわずかではあるが肉欲を感じているということだ。
(くそ……私がどう対応しようが、こっちの体のことはこの数字一つで妖魔に知れるわけか。忌々しい……)
 僅かに減少した数値を見て、菊里は心の中で盛大毒づいた。自分の体のことを数値で正確に観察される。それだけで自尊心を傷つけるには十分な代物だと、彼女はここにきて思い至った。
 目つきの鋭くなった菊里の表情を視界の端に、妖魔はその節くれ立った中指にべっとりと唾液を塗りつけた。手の平を菊里の秘所に置くと、彼女の花芯に指で触れた。粘性の高い唾液が触れると、菊里がぴくりと体を震わせた。指が小さな円を描くように淫核を撫で、ぐにぐにとその肉の感触を味わっている。
「ん……」
 吐息が詰まる。
 指で撫で回され、その動きにあわせるようにスライムが蠢く。
 彼女の眼前の数字が徐々に減っていく。
 98……97……96……。
(チッ……)
 じりじりと追い込まれていく感覚を麻痺させるように、菊里は心の中の苛立ちを強めた。
 特に鬱陶しいのはスライムだった。機械的に振動しているように見えて、微妙に刺激の方法を変えてくる。ほとんどくっついているだけで弱弱しく震えているだけの時もあれば、花芯を締め付けつけるようにリング状の体を収縮させ、強く振動することもある。強くされる時は、決まって数字の減少が早くなり、その客観的な事実がより菊里を苛立たせた。緩急のある責め苦が彼女の快楽本能のチリチリと炙っていく。
 十分以上ねちねちと続けられたクリ責めは、菊里の体を着実に火照らせていた。
 タイマーが48を切る頃、菊里の前には『67:0』という数字が示されていた。
 肌は薄桃に染まり、呼吸はやや荒くなっている。秘所はすっかり愛液で濡れて、妖魔の掌をぬるぬるに汚していた。
「鬼殺しの魔女もまだまだ雌だな」
 掌の愛液を舐め取り、妖魔は嘲笑を浮かべた。菊里の目つきは険しくなったが、言い訳さえできず、悔しさを見せぬように目を閉じた。取れうる最大限の抵抗だ。
 彼女の悔しそうな表情も見逃さず、妖魔は次の手を打つことにした。クレバスを往復して指に粘液を絡めると、二本の指を彼女の陰部に入れ込んだ。
「……ッ」
 指とはいえ、二つもあれば勃起した男性器程度の幅がある。挿入された菊里は膣から広がる鈍い快楽を感じずにはいられなかった。
 たった一度の経験とはいえ、体に覚えさせられたあの快楽は簡単には忘れることが出来なかった。ブラシ状の触手が往復し、膣壁を擦り上げる度に嬌声を上げた。何度も何度もイって、思考が出来なくなるまで嬲られた。過去の自分が何も抵抗できない今の自分と重なる。
 指が容赦なくピストン運動を始める。曲げられた指先が肉のひだを撫で、菊里は押し寄せる性感に体を震わせた。卑猥な水音を立てて往復する度、表示されたメーターの数字は確実に減少していった。
「……ん……。……はぁ…………はっ……んぅ……」
 次第に声を抑えられなくなってきていた。その声をどうしても聞かれたくなくて、妖魔から顔を背けた。顔を横にむけたせいでリングギャグで開かれた口から、とろりと粘度の高い透明な唾液が零れた。そんな自分の姿がどうしようもなく惨めに思えてくる。泣き出しそうな衝動をどうにか押さえ込んだ。
 彼女の姿を冷静に観察しながら、妖魔は次第に暗い喜びに目覚め始めていた。典麗な少女が、なんの抵抗も出来ずに快楽に身を悶えさせている。その体を好き放題にできると思うと、ふつりと肉欲が体の芯を熱くさせるようだった。
 じっくりいたぶってやろう。妖魔は密かに心を決める。
 妖魔の指は往復するペースこそ一定だったが、責める箇所を微妙に変えていた。妖術で表示された数字を見ながら、その数字の減少をつぶさに調べた。減少の早かった箇所を集中的に責めると、菊里はたまらなさそうにリングギャグを噛みしめた。
「ふぁ……はっ……んんっ……く、はぁ……!」
 指にとろとろの愛液が絡みつく。
 気付けば彼女の前のメーターの数字は30を切るまでになっていた。
 今度は挿れた指を反らせ、肉壁を撫でるようにゆっくりと往復させた。もちろん菊里がよがって悶える部位を撫でつけるように。にゅるりにゅるりと緩やかな往復が繰り返される度、彼女の甘く、くぐもった声が響いた。数値もそれにあわせて減少していく。
 27……26……25……。
 快楽を覚え込ませるような妖魔の指使いが、菊里の瞳から光を奪う。焦点が定まらなくなり、その瞳にうっすらと涙を貯めた。
「……ふっ…………く……あ……ひ……」
 とんとんと、妖魔の指が花芯を叩いた。スライムがきゅっと彼女の肉の芽を締め付け、ぶるぶると震え始めた。それに呼応するように緩慢な指使いが、リズミカルな動きに変わった。
「あっ、く……あ、あっあっ……!」
 無防備で蕩けるような甘い喘ぎ。一度人外の快楽を味わった彼女の体は、従順にその快楽を受け入れる。
 18……16……。
 膣壁を撫でられる度、敏感な箇所を擦られる度、どんどん減少していく数値が彼女の状態を何より雄弁に物語る。タイマーは37:24:66とまだまだ時間切れにはほど遠い。
 下半身だけを集中して嬲られ、菊里はすでに限界を感じていた。
(もう……我慢できそうに、ない……)
 押し寄せてくる快楽に諦めるように菊里が瞳を閉じた時、不意に指が抜かれた。
 絡みついた愛液が妖魔の指からとろりと零れる。妖魔はそれを手を振って払うと、ガチガチになったペニスを菊里の秘所にあてがった。菊里の数字は『9:0』、二桁を切っていた。
 必死に身をよじろうとしても、無造作に腿を掴まれると、ほとんどの動きを封じられてしまう。杭を打ち込むように、ずぶりと剛直が菊里のナカに沈んだ。
「く、ぅ、んんっ……!!」
(……ふと……いぃ……!)
 一瞬、頭の中が真っ白になる。何度か痙攣した自分の体が、憎らしくてたまらない。数字は1と2の間を往復するように交互に表示されていた。
「これで気をやれば可愛げがあったものをなァ」
 ペニスをぐりぐり押しつけ、妖魔は愉快そうに言った。口に出した途端、今までに感じたことのないどろどろした悦びを自覚する。
 自分のモノに蹂躙される少女の顔は酷く悔しそうで、にもかかわらず体を朱に染め愛液を零している。頭のどこかが壊れて、くらりときそうだった。心の底から少女を支配してやりたい欲求が沸き上がる。
「まァいいさ。じっくりやろうぜ。あと三十分もあるんだ」
 少女の体の中でにゅちにゅちとペニスを蠢かせ、その秘肉を舐めるように嬲る。
「……あぅ……あ……」
 しかしそのまま妖魔は静止する。
 妖魔の意図を汲めず、菊里は困惑した。
 ペニスを挿れられたまま放置され、彼女の数値も徐々に増え始めた。今まで責め続けられて減るばかりだったが、挿入されたままで何もされてないのなら、当然絶頂は遠ざかる。
 4……5……6……。
 そして菊里は妖魔の言った意味を理解する。させられる、その体で。
 にゅちり……。引き抜かれたペニスが卑猥な音をたて。
 そして一気に突き入れられる。
「ひぅ……!」
 また視界が明滅するような感覚が襲った。絶頂しかけた体がびくびく跳ねる。結合部からどろりとした愛液が溢れ出た。
 自身の秘所がひくつく度、はっきりと妖魔のモノの形が分かった。どうしようもないくらい感じてしまっていることも。妖術で示される数字により、絶頂寸前で最も敏感な体を支配される未来も。
(……こうやって……嬲りものにする気……? あと三十分も……?)
 困惑の視線を向けても、妖魔は薄く笑うだけだった。
 それから菊里にとって地獄の三十分間が始まった。
 その肉の棒が、自分の雌の本能をどれほど丸裸にするか体感する時間だ。
 ゆっくりねちねちとピストンされれば理性は溶けていき。
「はぁっ……ひゃぅ…………くぅぅ……ひ……ぅ…………」
 子宮口を小刻みにコツコツ突かれれば嬌声を上げ。
「あっ……くっ……! あぅ……あっあっあっ……!」
 長いストロークでペニスが往復する度に体は震えた。
「ふぁあああああ……! ひゃめれ……! ひゃめへぇ……!!」
 何回もイキそうになりながら、決して果てることは許されず、菊里は妖魔のペニスに為すがまま泣き叫んだ。少女の肉の感触を楽しみながら、妖魔は彼女の感じるやり方をいくつも試行した。数値が一気に減少するところを見つけてはその場所にペニスを押しつけ、あるいはピストンし、彼女を啼かせた。
 妖魔は心に決めた通り、肉を炙るように菊里をじっくりと弄んだ。
 残り時間が2分を切る頃、ペニスの注挿が激しいものに変わった。長いストロークで、子宮口をこじ開けるように何度も何度もペニスが奥へと叩きつけられた。
「ふゃ、あ……!! やぁ……! あっ、あっ、いやぁ、いやぁああああああ!!!」
 全身の筋肉が収縮し、すぐに彼女の体を激しい絶頂が襲う。
 たっぷり二十秒以上気をやり、倦怠感と余韻が全身を包み込んだ。

 そのまま朦朧とした意識が眠りに落ちてしまいそうだった。それを妨げたのはもう十分いやになるほど味わったペニスの挿入だった。
「くぅぅ…………」
 ゆっくりと出し入れされた剛直が、彼女の思考を現実に戻す。
 まず認識したのは彼女の前に表示された数字。
『32:37』
 従属度が一回で四十近くあがっていた。その一方で耐久は30を超える程度までしか回復していない。
 それだけ認識したところで、再びピストンが始まった。
「ふぐぅ……!? ひゃ……あっあっあっ……!」
 さきほどよりもずっと甘やかで色っぽい声音。菊里の精神はもう妖魔を強く拒絶ぜきるほどの力はなかった。加えて、妖魔は菊里の感じる、性的な弱点ばかりを狙って突き回していた。
「ひゃああ……あう、ふああ……!」
(またイク……だめ……むり……)
「あっあっあっ……い、やぁ……!」
(イク……いくぅ……!)
「くぅあ、あ、あ……う、っくぅうう!!」
 二度目の絶頂。なんの心理的抵抗も出来ず、菊里はだらしなく秘所をひくつかせた。白く濁った愛液を垂れ流し、ナカに埋まるバキバキに勃起したペニスを呆けた眼差しで眺めた。
(やっぱり……むり……あそこ、されると……絶対逆らえない……)
 『28:56』59:54:44
 従属度と言われた数値は二度の絶頂で半分をあっさりと超えていた。
 どんなに抵抗しようとも何の意味もない。人外のモノに弄ばれた、拒んだところで雌だと思い知らされた経験は、今も菊里の心に深く根付いている。
 放心状態の菊里を詰るように、ズプズプと彼女のナカの感触を確かめるような動きでペニスが上下した。
「ぁんっ……うう……」
 ストロークは長く緩慢な動きで、膣全体を舐めるように妖魔のモノが出し入れされる。奥まで入る度と腰を秘所に押しつけ、子宮口をぐりぐりと刺激した。抜く時は特にゆっくり、膣上部の肉ひだを撫でるように引き抜いた。いずれも菊里が感じるやり方だ。激しい動きではないにもかかわらず、彼女の眼前の数値は数分で一桁まで減少した。
「さァて……まだ五十分以上あるなァ。またねちねち遊んでやるかな」
 菊里の膣の感触を楽しむようにモノをゆっくり出し入れする。
 ぬちゅり……ぬちゅり……と、断続的な刺激が彼女を苛む。
(また……長い時間……もてあそぶつもり……?)
 拒みたくとも固く太いペニスが膣に沈む度、菊里の体は主人の意志など関係なく快楽を貪っている。抜かれる時すら、秘肉を撫でられる感覚が体を震わせる。
 犯されているのに、増えるばかりの従属度。それが、まるでペニスに屈服させられるような錯覚が、倒錯的な快楽を加速させる。そのペニスにこれから絶頂寸前でたっぷりと体を辱められる。考えただけで頭がどうにかなりそうだった。
(いつでも……数字を零にできるくせに……)
 剛直は機械的に注挿を繰り返す。彼女の弱い場所ばかりを刺激しながら。
「や……はっ……ぅぅ……」
(そこばっかり……)
 今にも泣き出しそうな菊里の顔を眺めて。挿入の度に限界の体を震わせる体を堪能し。
「く、はっ……い…………や……」
(ひと思いにイかせてよ……)
 悔しそうな、そして切なそうな眼差しが妖魔をさらに興奮させた。怒張には血が滾り、一回り大きなったモノで菊里のナカを蹂躙する。
「なんだなんだその顔はァ? もう降参するか? 妖魔の玩具で一生を過ごすか?」
 自身に迫る未来が分かっても、菊里の瞳はもう元の鋭さを取り戻すことは出来なかった。
 どれほど睨みつけたところで、心で反抗したところで、ペニスを出し入れされれば簡単に彼女の意志など踏みにじられる。そのことを一度目の陵辱で菊里はいやというほど教えられた。心よりも先に身体が屈服してしまっている。
 遅鈍にモノが出入りする度、切なげな表情になっていく菊里を妖魔は愉快そうに眺めた。
「おら、最初みたいに睨みつけてみろよ」
 力なく菊里は瞳を閉じた。
 すぐに妖魔が男根を腰に打ち下ろす。
「ひぅ……!」
「くく、かわいい声も出せるじゃねぇか」
「あっ……ひ、あ……あっ、あっ!」
 何度か打ち据えられた妖魔のモノは、視界の数字が零になる前に止められた。
 再び緩慢な動きで彼女を苛む。
(これ以上……やって何をしたいの……? もう……)
「あ、はぁ……はぁっ……」
(……イく…………イかせてもらえない……)
「い、やぁ……」
(イきたい……)
「ぅ……あ……あっあっ……!」
 じりじりと責め続けられる。
 時間は遅遅として進まない。
 十分がたまらなく長く感じる。彼女の心はもうとっくに限界だった。これから先のことはみんな知っているのだ。自分が今どれほど足掻いたところで、無意味なことを菊里は身をもって知っている。
 だから。もういやになった。
「いひゃ……へれ……」
 リングギャグに邪魔されて、まともな発音ができない。惨めだと思う。惨め過ぎて、彼女の頬を水滴が一筋伝った。それでももう、どうしても現状から逃れたかった。心が壊れてしまう前に。
「あん?」
「……いひゃへへ……くらひゃい……」
「おいおい……はははは、そうか、おねだりときたか」
 荒々しく菊里にペニスを打ち付け、妖魔は嗤った。
「さて……どうしたもんか」
 要望をのんでやるか、このままいたぶる方が面白いか決めかねた所で、菊里と目があった。
 悔恨と不安と、欲情が入り混じったその表情に、たまらずくらりと来た。
 深く自らの剛直を押し込む。
「ひ、んっ……!」
「……コイツでヤられたいって?」
 問いにしばらくは菊里は迷って、ごく小さな動きで首肯した。
「はっ。かわいいもんだ」
 次の瞬間にはがむしゃらなピストンが始まっていた。
「ひゃ……ひっ……! あ、あ、あっ!!」
 今までのように菊里の弱いところを狙うでもない、野性的な注挿の繰り返し。
 けれど蕩けた菊里の身体には十分過ぎるほど甘い刺激だ。
「あっ……はぁっ、く、あっあああ……!」
(あ……イく……やっと……)
「あぁっあっあ、う、っく……あああああ!!」
 絶頂する。全身を駆け抜ける電流のような快楽で視界が眩む。
『34:72』59:59:99
 けれど菊里が気をやったことに気が付きもしないように、妖魔のピストンは続いている。
「はぅ……あっ……い、っらの……! も……イっ……ら!」
「ああ? んなこたァみりゃ分かる。俺はまだ出してねーだろ」
 ナカで脈動する妖魔のモノが、一際大きく膨らむ。子宮を押しつぶすように腰が振られ、ペニスが奥の肉壁をノックする度に膣が痙攣した。
「ひや……いっ……あっあっあっあっ!!」
 妖魔の腰使いにあわせて菊里の嬌声が響いた。
 秘所から白濁した粘液が溢れて滴る。
 膨らみ切ったペニスが子宮の口にぴったり押しつけられた。
「ぁ……」
 か細い声で啼く。
 剛直から精液が吐き出される。子宮の中に熱い精液が撒き散らされた瞬間、
「ッッ……!!!」
 菊里は声もなく絶頂した。
 脈動するペニスを咥え込みながら、全身に溶けた絶頂の余韻に酔っている。気怠く、弛緩した筋肉はどこも言うことを聞いてくれそうにない。
 ペニスが抜かれると、粘土の高い妖魔の精液が菊里の秘所から溢れ出た。
「あ……ぁ……」
 朦朧とした意識で、引き抜かれた妖魔のモノを見つめた。精液と愛液でべとべとになっているが、まだその硬さも太さも失ってはいない。
(あれに屈服させられたんだ……あれでまた雌にされた……)
 眼前の数字が物語る従属度100という現実。
 それから逃れたくて、目を閉じた。
 菊里は疲れ切った体に任せて、眠りへと意識を落とした。

◆◆◆

 いつのまにか縄は取り外されていた。着物の中に着るような白い衣服も身に着けられている。
 もう必要ないということなのだろう。さきほどまでは全く感じなかった魔力も戻っているが、行使することはできなかった。妖魔に従属させられたらしい。妖術により制限されていても何の不思議もなかった。
 彼女のいる場所は牢の中ではなく、どこか屋敷の一室だった。障子と襖で区切られた部屋だ。下には畳が引いてある。試しに外の様子を探ろうとするも、襖を開けることができず(襖が動かないのではなく、手をかけた腕を動かすことができなくなった)、仕方なく菊里はその場に留まった。
 しばらくすると、二人の妖魔がやってきた。姉妹なのか顔がそっくりだ。どちらもまだ若い妖魔で、見た目の年齢は菊里よりもやや下くらいというところだった。二人とも紅と橙の混じった浴衣を着ている。細やかな刺繍の柄は、彼女たちが妖魔の集団の中で低くはない立場であることを端的に物語っていた。
「姉さん、綺麗な人だね」
「そうね」
 彼女たちは菊里を見るなり、嬉しそうに笑った。菊里にはその無邪気な笑みが酷く場違いなものに見えた。
「こんばんは、魔女さん」
「淫魔の姉妹、サイとスイと申します」
 言葉遣いが丁寧な方が姉なのだろう。サイと名乗るその少女はぺこりと頭を下げた。妹のスイの方は好奇心を隠さない瞳で菊里の全身を見回していた。
「ほら、あなたも自己紹介してよ」
 スイが言うと、沈黙を守ろうとした菊里の口は、彼女の意志を無視して勝手に開いた。
「……五百蔵菊里」
 どうやらこの淫魔の姉妹にも従属することになっているようだった。
「ふふ、まだちょっと反抗的なんですね」
 姉のサイは嬉しそうに微笑んだ。
「あはは、姉さんSだから。その気にさせちゃったね」
 楽しそうにスイが笑む。
「そうそう、言い忘れてた。私達、雄の妖魔が愉しめるようにあなたの調教係兼世話係を任されたの。これからよろしくね」
 見かけだけは友好的な態度を、菊里は無言で無視した。
「とりあえず少し素直になってもらいましょうか。こちらにおいでください。……はい、そうです。それじゃあ膝をついて」
 サイの誘うまま、菊里は彼女の前に膝立ちになった。菊里よりも背の低いサイを僅かに見上げる形になる。
「じっとしてて下さいね」
 そう命じると、サイは菊里の唇を無遠慮に奪った。淫魔の少女の唇はこれまで菊里が触れた何よりも柔らかく、唾液はほんの微かに甘さがあった。そっと押しつけられたサイの唇を、菊里は無意識に味わう。拒むことはできなかったが、不思議と嫌悪感はなかった。
「良い子ですね。それじゃあ次は舌を絡めてください」
 口内に侵入するサイの舌を受け入れ、おずおずと舌を這わせた。時折唾液が絡んだ粘液の水音が響く。キスは不条理と思えるほど心地良かった。何もかも受け入れられ、そして受け入れてしまいたくなる。静かだけれども本能的な快楽。媚薬と同じ唾液を嚥下するのに、一切の躊躇いも覚えないほど誘惑的な官能だった。
 甘ったるい淫魔の口付けは菊里をしばし呆けさせる。
「ほら、私も忘れないでよ」
 スイが不意打ち気味に菊里にキスをする。姉に負けず劣らず情熱的な口付けは、菊里が息苦しさを覚えるまで続いた。
 キスから解放されて咳き込む菊里に、スイは笑いかける。
「さァて、これからなにしよっかー? えっとね、まずね。私達二人でおっぱい吸ってイかせてあげるね。それからクスリ使ってイく度にミルク出るようにしよっか? すっごい恥ずかしいけど、とっても気持ち良いよ。おっぱい触られただけで発情しちゃうくらい。それからおしりと尿道も開発しようね。おチンポ生やしたら私とお姉ちゃんで交互にフェラして射精させてあげる。丸一日かけて、もし無事に帰れても絶対に人間とじゃ満足できない体に仕込んであげるから。ふふ、こんなに丈夫そうな女の子の式者は初めてだから、念入りに玩具にしなくちゃ」
 くすくすと笑う声。
 淫魔の姉妹は仲良さそうに微笑みあった。

◆◆◆

◆◆◆

 その日、円角寺の結界が壊された。
 砕けた結界の中に、一人少女が居た。その身を包む紅白の巫女装束は、彼女の体を戒めるように固く帯で留められている。
 衰弱した体は細く弱り、潤いのあった唇はかさかさに渇いている。肩を撫でる髪さえ、その艶を失って無秩序に乱れていた。足取りは覚束ず、ふらふらと歩く姿は今にも崩れ落ちそうだ。
 首に刻み付けられた呪印は妖魔のモノになった証。人に害為す者の印。だから彼女は式者に見つかれば殺され、主人の妖魔に見つかればもっと悲惨なことになる。
 そういう意味で、彼女は格好の獲物だった。心身は困憊し、武器は右手に携えた小刀のみ。それほど強い式者であったわけでもない。これほど狩りやすい獲物はいない。
 それでも。
 それでも彼女を最初に発見した式者が、殺すのを躊躇ったのは。
 アーモンドのような瞳。
 その奥底に。
 もうボロボロになったはずの人間が宿すにはあまりにも不可解な。
 冷たく鋭利な意志の光。
 爛としたその眼に、一瞬だけ射竦められた。
 けれどそれだけだ。
 一瞬、躊躇しただけ。            、、
 妖魔に操られた人間は最も危険だ。だから式者はこれを見かけたら即座に殺す。話すことは何もない。話してはいけない。少しでも情が移れば殺せなくなることだってある。それは式者の不文律だ。
 故にその式者は誓う。一撃でその首を刈り取ろう。忌々しい呪印とともに。彼女を悼むのはそれからにしようと。そうでもしなければ、少女を殺めることが、彼の心をあっさり壊してしまうから。
 腕を振うる。その手に持つのは式者の剣。彼女の細い首を切り離すには十分な切れ味がある。
 事情はある。けれど同族殺しには変わりない。人を殺すということはなんら変わらない。その罪悪感が、彼の瞳を最後の一瞬だけ閉じさせた。
 目を閉じた瞬きの間、彼女が――木乃峰結衣が囁く。
「『カイ』」
 その左手に菫色の燐光が散る。

【残り18日】

     


       

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