文芸新都で短歌よもうぜ企画会場
新・あいうえお短歌/橘圭郎
『な』 名を知らぬ。郷も知らぬが、友達だ。杯交わし合いさえすれば。
『に』 鈍色の便せんに書くラブレター。なんと赤ペン入れて戻され。
『ぬ』 脱ぎ捨てた衣(きぬ)が床へと落ちる音。一つ聞くたび、固唾を呑んだ。
『ね』 猫耳で耐えよ忍べよ霧隠れ。恥を捨てても、任を忘るな。
『の』 野火焚きに混ぜて燃したる思い出は、煙と溶けて春を呼ぶかな。
『は』 春日浴び、黒く照り立つオオクワの雪辱晴らす時は来たれり。
『ひ』 人づてに聞いたお洒落なキャッチコピー。「手を汚したら足を洗おう」
『ふ』 ぷよぷよが寝ても覚めてもぷよぷよが降ってくるのさぷよぷよが。
『へ』 変かしら。スカート短かすぎるかな? 服選びからデートスタート。
『ほ』 星々のロマンチックな伝説が、僕らの先を淡く照らした。