文芸新都で短歌よもうぜ企画会場
ゆめのよ/硬質アルマイト
ぶどうあじ、りんごのあじにますかっと「ぐみ食べたでしょ」あなたは笑う
巻きなおし揺れるマフラー隠す口濡れる紅色吐く息は白
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指先に触れた傷口舐めとって綺麗な振りしてごっこ遊び
薄明かり貴方と貴方の真似ごと「開けてもいいかな?」「知ってるくせに」
「さわりたい」確認したがる僕の指「いいよ」とあなた、指と手と頬
レンズ越し外せば歪む輪郭をこの手で指でこの指で手で
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スピーカー、紅茶、トースト、マーガリン、向かいの席にあなたはいない
口開けてただ待つだけの雛鳥よ餌はあげても私はあげない
飴玉の甘さにむせて吐き出した「甘いだけではダメか」と涙
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鈍い色、敷き詰められた曖昧さ青はすっかり僕を嫌った