Neetel Inside 文芸新都
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ポンチ短編集
TJS外伝 Lilithia 復讐の黒き魔姫 2/3 魔王の試練(前編)

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 母の突然の失踪により、心に深い傷を負ったリリシアは、仮面の魔導士と出会い、彼の実家がある魔界の辺境にやってきた。
 リリシアが仮面の魔導士の実家に暮らしてから2年の月日が流れた。二人は仮面の魔導士とともに魔導術の修行に明け暮れる毎日であった。
「二年の修行でここまで成長するとは・・。あの二人なら・・・できる!!」
二年の修行で、リリシアとベルはかなりの魔力を身につけ、その魔力は魔界の騎士クラスほどの強さにまで成長していたのだ。
 「ねぇ仮面の魔導士様・・。私、私を捨てた両親に復讐したいの・・。だから、挑戦したいと思うの・・、あなたの言っていた「魔王の試練」に・・。」
リリシアの唐突な言葉に、仮面の魔導士が答えた
「やはり私の独り言をを聞いていたのか・・・やはりお前なら言うと思った・・。お前はベルとは違う何か別の力がある・・。お前になら、クリアできるかもしれん。一応ベルにもそのことを言っておいてくれ・・。」
仮面の魔導士がそう呟くと、そそくさと自室へと戻った・・。

 その夜、二人の寝室ではリリシアとベルが話し合っていた。
「ねぇ、ベル・・。私は「魔王の試練」に挑戦するんだけど・・。あなたは挑戦する気はある?」
リリシアがベルに問いかけると、彼が答える
「君が挑戦するって言うなら・・、挑戦してあげてもいいじょ~。二人でクリアしようぜぃ!!しかし魔王の試練を受けるには10歳以上が対象だって言ってたんだ。あと一年修行して、絶対魔王になってやるんだ!!」
ベルの言葉に、リリシアは残念そうな顔で答えた
「はぁ・・。後一年か。待ち遠しくなってきちゃったわ・・。ベル、私たちで絶対クリアしようね!!」
リリシアがそう言うと、二人は眠りについた・・。

 ――そして、一年の歳月が流れ、リリシアとベルは10歳になった・・。
そして、魔王の試練に備え、仮面の魔導士が二人の衣裳を作っていた・・。
 「本当にあの二人で魔王の試練がクリアできるのか・・。二人はわくわくしているが、私はクリアできるかどうかで心配だ・・。それはさておき、二人の戦闘衣裳を作らなきゃな・・。」
仮面の魔導士はせっせと二人の戦いのための衣裳を作っていた。ベルの衣裳はかなり知的な感じのした人間界で言う神官をイメージした服装であった。一方リリシアの衣裳は、ベルとは対照的で露出度が高く、相手を魅了させるような衣裳であった。本人にこれを着ろと言えば、汚物を見るような目で睨みながら嫌がるのも無理はないほどであった。
 しばらくして、仮面の魔導士は二人の衣裳を作り終えた。
「やっとできた!!魔王の試練に挑戦するにふさわしい衣裳だ!」
仮面の魔導士は二人の衣裳のできに満足げに笑みを浮かべた。

 そして、「魔王の試練」に挑戦する日がやってきた。
仮面の魔導士は、二人をリビングに呼び寄せた。
 「昨日私がお前たちの衣裳を作っておいた・・。さぁ、これに着替えたまえ・・。」
ベルとリリシアは仮面の魔導士が作ってくれた衣裳を手に取り、早速着替えに取り掛かった。
そして着替えを済ませた二人が、自分たちの部屋から現れた。
 「お前たち、なかなか似合っているぞ・・。その服は魔法の布と魔物の革で作っているから、お前たちの魔力を何倍にしてくれるぞ・・。」
その言葉を聞いたリリシアは、仮面の魔導士にそう言った
「この服、私にぴったりだよ!!あなたが作ってくれた服、大切にするからねっ!!」
リリシアは仮面の魔導士に感謝の眼差しを送った。
すると仮面の魔導士は微笑み返しながら、こう答えた
「実は、お前の衣裳を作っているとき、あまりにも露出度が高かったので私は心の中ではお前が嫌がるのも無理はないと思っていたのが、お前が嬉しそうな表情でよかったぜ・・。」
仮面の魔導士は、ほっと胸を撫で下ろした。

 ベルとリリシアは、魔王の試練に挑戦するべく、魔界の首都ルーズ・ケープに来た二人は早速、ルーズ・ケープの一角にある武具を取り扱う店にやってきた。
 「いらっしゃい・・。どれでも好きなだけ見ていってください・・。」
二人はどの武器を選ぶか迷っていた。するとリリシアは売り物の中からなにやら変な髪飾りを見つけ、店主に見せ付けた。
「すみません・・。これ、売り物の中にあったんですけど、これって武器なの?」
リリシアが店主にそう言うと、店主は目を光らせて答えた
「お目が高い!!そいつを選ぶとはお客様は運がいい!この武具店に髪飾りを置くなんて変わっているとみんなに言われているんだが、それでも買うつもりかい・・?」
店主の言葉に、リリシアは喜んでこう答えた
「私、これを私に売ってください!お金は出せるだけ出します!」
その言葉を聞いた店主は、すぐさま取引を開始した。
「この商品は特別に3500Gであなたに売ってあげましょう・・。」
リリシアがそう言うと、財布からお金を取り出し、店主に見せ付けた。店主はリリシアが差し出したお金を取ると、それに答えるかのようにリリシアに怪しい髪飾りを手渡した。
 「髪飾りでこの値段とは安いものね・・・って、あれ!?」
リリシアが髪飾りを手に取り、魔力を込めると、髪飾りが鉄の扇に変わっていた。もしかするとと思った彼女は、魔力を込めるのをやめると、鉄扇はすぐに髪飾りに戻った。
 「まさか・・、その髪飾り、魔力を込めると鉄の扇に変わるのね・・。いいものを手に入れたわ。ありがとう!!」
リリシアが店主にそう言うと、ベルがいい武器を見つけ、店主の下に駆け寄った。
「この武器を売ってくれ~。」
リリシアがベルのほうを向くと、ベルの選んだ武器は、なんとこの店で一番安い樫の杖であった。ベルはいいものが見つからなかったので、そばにあった樫の杖を選んできたのだ。
「ええっ!!ベル、何でそんな弱い武器を選んできたわけ・・・。本当にあきれちゃうわね・・。」
リリシアは呆れ顔でベルを見つめていると、ベルはその武器を買っていた後であった。
「はぁ・・。こんな武器じゃ絶対やられちゃうわね・・。いや、武器じゃなくて魔力を使えば十分戦える魔力を持っているから安心したわ・・。」
リリシアがほっとした瞬間、買い物を済ませたベルが戻ってきた。
 「さぁベル、さっさと魔王の試練を受けに行きましょう。」
リリシアはそう言うと、二人は急いでルーズ・ケープの王宮に向かった・・。

 王宮に来た二人は、早速王宮にいる魔皇帝のいる玉座の間へとやってきた。玉座の間では、魔王の試練を受ける人間を出迎えるかのように、魔皇帝が二人に話しかけてきた。
 「君たちが魔王の試練を受ける人間と申すか・・。我の名は魔皇帝ガルフィスだ。早速君たちに話しておきたいことがあるのだが、聞いていただけるかな・・。」
ガルフィスは二人にいろいろなことを話し始めた・・。

 「この魔界にはな・・。七体の魔王の伝説がある・・。つまり、フェルスティア七大魔王として恐れられているトップクラスの魔力を持つ魔族ばかりだ。今いる七大魔王は、憤怒のデモリック博士、傲慢の堕天使エルーシュ、嫉妬のリヴェリアス、強欲のバルバトーレ・・つまりは君の師匠に当たる仮面の魔導士だ・・。しかしながら残念なことに、怠情のベルフェルトと暴食のベルザリアと色欲のリリアン・エシュランスは勇者たちによって倒された・・。今の君になら勇者によって倒されたリリアンとベルザリアの代わりに魔王の力を託せそうだな・・。私から見た君たちは、なにやら強い力を持っていると睨んだ・・。」
ガルフィスの長い話が終わった後、リリシアが口を開いた
「じゃあ私はそのリリアンの次の世代の魔王になれるのですか・・。」
リリシアの言葉に、ガルフィスが口を開いた
 「なるほど・・。リリシアがリリアンの次の魔王、ベルはベルザリアの次の魔王になってくれるか?しかし、ひとつだけ条件がある。魔王の試練を受け、魔界王メディス様に認められた者に魔力を与えることで、七大魔王と言う称号を与えられるというわけだ。さぁ、この門をくぐり、魔王の試練を受けるがいい!!君たちの無事を祈っておるぞ!!」
ガルフィスの玉座の後ろから、大きな門が現れた。そう、この門をくぐれば、魔王の試練の始まりなのである。
 「さぁ、行くわよベル!!あの門をくぐり、魔王の試練をクリアして、七大魔王になってやるわよ!!」
リリシアとベルは門を潜り抜け、魔王の試練に挑むのであった・・・。

 一方仮面の魔導士は、二人の無事を祈っていた。
「う~む・・。心配だ。あの二人、無事にクリアして強力な力を得て帰って来てくれ・・・。」
仮面の魔導士は苦悩していた。あの二人が魔王の試練をクリアし、無事に帰ってくるか、途中で敗れ死んでしまうのかで頭の中がいっぱいであった。

ガチャッ!! 

 仮面の魔導士の家の扉が開かれ、中から人が入ってきた。
「誰だ・・。ょっとしてリリシアとベルが帰ってきたのか・・・?」
仮面の魔導士は扉のほうまで来たとき、見慣れない人影がそこにあった。
 「お前が七大魔王ということは知っているぞ!お前を倒して、名を上げる!!」
進入した何者かが、仮面の魔導士に襲い掛かってきたのだ!!

「フン・・下賎なる闇の眷属どもよ!!七大魔王の力、徹底的に教えてやるぞ!!さぁ覚悟せい!」

Lilithia ~復讐の黒き魔姫~ 2/3 続く

       

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