Neetel Inside 文芸新都
表紙

智子さんと僕
足と謎

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2005年7月
僕がオカルト研究会に馴染み始めた頃の話 
大学の夏休みがもうすぐ始まりそうだった

目を開けると、外が明るかった、目を瞑ってまだ1秒ほどしか経過していないような気分だった。
部屋の中にそれは居た、それが人でない事は僕にもわかった、そこには人間の足しかなかったメガネをかけて確認すると消えていた。
朝から気分の悪い者を見てしまったと思いながら、大学にいくともうすぐ講義が始まる所だった。
講義を受けながら、こんな講義を受けて何が楽しいのかと考えていた、講義が終わると僕はまたオカルト研究会へと行った。
中には僕より2年学年が上の先輩がいた、「よぉ君の彼女はまだ来てないぞ」と声をかけられた。
いつの間にか僕は智子さんの彼氏という事になっていた、なんとも複雑な気分になった。
僕はイスに腰を下ろした、そしてすぐに智子さんも来た、後ろから抱きつかれた。
「やぁ無人くん元気かい?」、「それなりです」、手には何かの名簿らしき物を持っていた。
「無人くん、ちょっと御使い頼んで良いかしら?」、「別にかまいませんよ」。
名簿を渡された、名簿には山田太郎と書いてあった、どうみても偽名にしか見えなかった。
「この人の家に食べ物買って持っていってあげて」と言われ五千円札を渡された。
「多分腹ペコだからなるべく多めに買っていってあげてねー」といわれた。
とりあえず安めで多く作れるカレーを作ることにした、カレーの材料を手に山田太郎という謎の人物の家に行った。
意外な事に僕の自宅の近くのボロアパートだった、ノックをしたが出ない、「開けますよー」と一声かけてからドアノブを回した、開いた。
玄関が奥に入ると男が倒れていた、「大丈夫ですか?」と僕は声をかけた、「気分が悪い、飯を作れ」と初対面なのに関わらず命令された。
僕は急いでカレーを作った、カレーを作ってる最中、山田太郎さんは「カレー?いいねぇ」と連呼していた。
僕も夕ご飯を食べていないので一緒カレーを食べる事にした、山田太郎さんは無言でご飯を食べていた。
僕は質問をした「山田太郎って名前じゃないですよね?」、「当たり前だろ」、「じゃぁ本名教えてくださいよ」、「悠、ゆう、そうだな、かみむら、神村悠でいいよ」。
「いいよってどういう事ですか」、会話を切るように悠さんは「お前の家に住み着いてるのやばいな」と言った、その一言を言い終わると寝るから帰れと追い出された。
なんて失礼な人なんだと思った、部室に戻ると智子さんだけが残っていた、「面白い人だったでしょ?」と笑っていた。
「面白いというかものすごく失礼な人でした」、智子さんに爆笑された、「御使いも終わったので家に帰りますね」と言い、僕は自宅に帰った。

自宅はいつもと何一つ変わらなかった。

大学のレポートを完成させるために夜遅くまでパソコンに向かっていた。
僕の借りている借家はトイレと風呂が一体となった、いわゆるユニットバスという物なのだが、夜中にトイレに入ると風呂側のカーテンが人の手の形をしていた。
凝視していたらカーテンは元の形戻っていった、僕は布団に入り、何も考えずに目を閉じた。
目を閉じた瞬間、ものすごい勢いで足音が鳴り出した、ドタドタドタドタドンドンドン、結局朝まで一睡もする事が出来なかった。

朝5時、急いで悠さんの家に向かった、何も言わず扉を開けた、布団に包まり寝ている悠さんを叩き起こした

「助けてください」、悠さんは飛び起きた「なんだなんだ」、事情を説明した、説明が終わると「あーやっぱりね」と悠さんは言った
「助けてください」とまた言った、「わかったから静かにしろ」宥められた、そして「俺を一週間程泊めろ」と言われた。
訳もわからず一週間悠さんとの共同生活をする事になった、「僕今から大学行くんですけど悠さん行かないんですか?」と聞いた、「山田太郎は休学中」と手をヒラヒラと振っていた
大学から帰ってくると悠さんはまだ布団に包まっていた、「おい無人、腹減った」、早々にご飯を作り、ご飯を食べ終わった後に気になる事を聞いてみた。
「なんで大学で偽名使ってるんですか?」、「さぁなんでだろうね」と言って悠さんまた布団に包まり眠りにつこうとしていた。
僕も眠いので眠る事にした、ドタドタドタドタドンドンドン、また始まったと思った瞬間、悠さんの罵声が飛んだ「うるせぇ黙れ、殺すぞ」。
その瞬間さっきまで足音はピタリと止んだ、何者なんだこの人は、その後の数日間は足音も人影もなかった。
悠さんは「多分もうこれで大丈夫」と言い残し布団を抱えて帰ろうとした、「ありがとうございました」と深々と僕は礼をした。

       

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