Neetel Inside 文芸新都
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智子さんと僕
理解と笑顔

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2005年10月
寒い日の事だった

僕はいつものように大学が終わった後、悠さんの家に居座っていた、そしてある質問をした、「智子さんって霊感ってあるんですかね?」。
「あいつは化け物だ」、「そんなにすごいんですか?智子さん誘って心霊スポットにも連れて行ってもらおうかな」というと真顔で「死にたいのか?」と言われ僕は何も言えなくなった。
少しの沈黙が続き、コンコンと扉をノックをされた、悠さんが「開いてるよ」という。
悠さーんという声が聞こえ、悠さんが玄関に出て、しばらくすると「なんだこれ」と言いながら戻ってきた。
智子さんからの手紙が同封されていたらしく、手紙を読んでいた、手紙を読む手が震え顔面蒼白になっていった。
「この箱は開けなくても死ぬし、開けても死ぬらしい」、この表情からすると嘘ではないらしい、僕は気が遠くなりそうになった。
「どうせ死ぬなら開ける」と箱を勢いよく開けた、僕の意識はさらに遠くなった、「なんだこれ」と悠さんの手が止まった。
箱の中を覗くとケーキと一枚の紙があった、紙には「悠くんへ、意地悪してごめんね、でもこうしないと箱ごと捨てちゃうでしょ?誕生日おめでとう」。
後から聞いた話なのだが、悠さんは重度の捨て魔らしく、封筒や荷物が届くと中身を確認せず捨てるらしい、しかも家の中に何か物があると捨てたくなり、捨てるらしい、だから悠さんの家には殆ど物がない。
無言で僕と悠さんはひたすらケーキを食っていた、僕は悠さんに「復習しないんですか?」と聞いた、「んなことしてみろよ、殺されるぞ」。

「でもたまにはこういうのも悪くはないな」と笑いながら悠さん言っていた、その時の悠さんは見た事がないぐらいの笑顔だった。

       

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