Neetel Inside ニートノベル
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狐娘だって恋をする。
第二話 『成功と失敗と』

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二話 『成功と失敗と』

「うう~……寒い~……」
 あたりが暗くなるにつれ、気温も徐々に下がっている。空がどうなっているかは分からないが、予想では雲が出始めているに違いない。洞窟の中で黙々と準備を進めていて、セイが体を小さくして呟いている。洞窟の中では、外よりも気温が低く感じられる。湿った空気が、私の鼻を刺激していて、ずっとむずむずしていた。
「折角満月だというのに曇っていたら同じねぇ……」
 キンさんも残念そうな表情で外を見る。昔、キンさんが狐娘の儀式に成功したばっかりだったときに、狐娘儀式で失敗してしまった狐の話していたのを思い出す。そこで得た知識は、【満月の日に必ず儀式が行われる。けれども雲が出て儀式真っ最中に月を雲が遮ったら失敗する】と。つまり今日、とても高い確率で失敗するだろう。失敗なんてしたら人面狐とかになる。それだけは避けたい。失敗しませんように、しませんようにと祈り、願っているとキンさんが「準備、出来たよ」と話しかけて来た。儀式の用意は結構単純なもので、平らな石を中心に狐の置物やら植物やらが囲っているだけ。良く言えばとってもシンプル。悪く言えば殺風景。なんとも言えないものだった。
 少しずつ、鼓動が早まり緊張感が増す。もう少しで狐娘になれるのか。不安と期待が天秤の上でユラユラ揺れている。
「コノ、早く石の上にのって?」
 セイは私を急かすように言う。鼓動を高まらせ石の上に、前足をのせる。石は想像以上にひんやりしていて、冷たい。片方の前足を乗せ、石に飛び乗る。

 体が重い――

 気持ちが悪い――

 眠たい――

 意識はかなり薄れてったところまで覚えてる。その後私は、眠ってしまったのだろうか?
「――の。――――この。――コノ……コノ!」
 誰かが私の名前を呼んでいる声で目が覚めた。頭が重く、ガンガンと何かが鳴っている。視界には、私の顔を覗いていただろう、キンさんとセイが真っ先に映る。私は、儀式に成功したのだろうか? それとも、失敗して人面狐になったのだろうか。
「コノ……、成功したわ。でも……」
 キンさんは微笑む。狐娘になれたらしい。
「一部失敗しちゃって、耳と尻尾が見えているの……」
「へ?」
 血相を変え、頭と思わしきところを前足……いや手でかき回す。確かに耳が、キンさんたちみたいに横でなく、上の方についている。また、お尻らしきところも触ると、明らかに人間は絶対ない尻尾が残っている。
「うそ……でしょ?」
 表情は、苦笑いをこぼしている。 

       

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