第2章 そもそも心って何なにさ?
第2章はこの本で一番大きなテーマになるかもしれません。そもそも心って何?って話です。いきなりガーンって抽象度の高い話になるので注意してください。
なんでしょうね?心って。
日本語の「心」の語源はコルだとかココルだとか言われてて、それって内蔵の事らしいんですが、ホラ、英語でもheart(ハート)って言ったり、なんか世界的に内臓系の言葉ですよね、心って。これがまた厄介な概念で脳ミソで考えるのが結構、難しいんですよ。
なんでこんなに「心」ってものの定義が難しいかっていうと、「心」は「点」みたいなものだからです。線と線が交わった所が点というなら、面積が無いので「指差せ!!」って言われてもちょうどド真ん中は絶対にさせないのです。心も同じく、「あるなら出せよ」っていわれても、脳ミソを切り開いても、心臓を切り開いても無いのです。脳ミソで体を動かしてるなら動いてる体の方も神経が繋がってるわけだから、どっからどこまでが心って言えるか微妙なので心の場所は定義出来ないのです。
ただ、人間、本を読んでて良かった!!あの偉大なる科学者、冬木マリの本をあなたはもう読んでるんだ!!1章の「機能があれば定義が生まれる」、思い出してください。「心」の機能を知れば、心が定義できるのです!!!
では心は我々の生活の中でいったいどう機能しているのでしょうか?考えてみましょう。
《朝起きて、口が汚れてるから歯を磨いて……。》
早速、心がありましたね。歯を磨きたいって心が。
歯を磨きたいって心が無かったらどうなるでしょう?歯はどんどん汚くなって虫歯になります。そうなると、何か食べるのが億劫だし、歯茎は痛いし厄介です。
もっと考えてみましょう。
《歯を磨き終わってスッキリしたし、お腹減ったなぁ……。》
また心がありましたね。お腹減ったって心が。
お腹減ったって思わなかったらどうなるでしょう?1週間持たずに死んでしまいます。
だんだん見えてきましたね。心の正体が。心はどうやら生命維持を脅かす問題が生じた時に作用します。『なんか危ないなって時に生まれるサイン』が心です。
今、「ちょっと待った、冬木マリ!!じゃあ幸福感も危険シグナルなのかオイ!!」って思った人もいるでしょう。答えはYesでありNoです。
宇宙が創世された時から常に物質に対して反物質が対生成されてきたように、一つの概念が生まれると、それに対になるもう一つの概念が生まれるのです。
「なんか危ないな」って概念が生まれるとそれ以外のケースで「なんか危なくないな」って概念が生まれます。概念の対生成です。
この「なんか危なくないな」っていう概念がいわゆる『幸福感』ってヤツです。
ってちょっと待ってください…。ちょっとおかしくないですか?さては「概念が対生成される」ってくだり?違う違う、もうちょっと前。
さっき「心」を『なんか危ないなって時に生まれるサイン』って定義した事自体が問題ありませんか?心の機能が生まれる前の話……。
「じ ゃ あ い っ た い 誰 が《 危 な い な 》っ て 感 じ て る の さ ・・・」
って問題です。
……第3章「ホムンクルスの誤謬ってなにさ?」に続きます…。