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文芸新年企画~執筆はじめ~
MTGへの回帰/ムラサ

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 去る2012年9月、筆者は新ラヴニカ・ブロックの先鋒である『ラヴニカへの回帰』へのプレリリース・トーナメントに参加してきた。現在つぎなるエキスパンションである『ギルド門侵犯』の発売がもうすぐそこまでせまっており、いまさらな話ではあるがせっかくなので簡単なリポートをつづっておこうと思う。
 今回のプレリリース・トーナメントではアゾリウス(白青)、イゼット(青赤)、ラクドス(黒赤)、ゴルガリ(黒緑)、セレズニア(緑白)の5つのギルドの名をそれぞれ冠した「ギルド・プレリリース・パック」なるものを選択してデッキを構築するというルールになっている。いまわしい現世からの解鎖と堕落をねがう筆者はラクドス教団への入信をかたく誓っていたのだが、なんと筆者の参加したプレリではギルド選択がランダムとなっていた。『ラヴニカへの回帰』のキャッチコピーが「ギルドを選べ」なのにこれはあんまりであるが、ラクドスさまに謁見を果たす前から暴れてしまってはもうしわけが立たないので筆者はしぶしぶ裏返しになったカードの山から1枚を手にとり、はるか太古のイラストがえがかれた《森》を引き当てた。ゴルガリ団である。《孤島の聖域(5th)》在住の筆者的には群れるつもりも死者になるつもりもなかったが、社会的弱者の救済をうたっているということで一抹の希望をいだきつつ入団することにした。ギルドマスターからの手紙には「貴様は生と死を理解するために我々のもとへ参じたのだろう」とかわいらしい文字で書いてあったが、「抽選の結果ここへと参じたのです、閣下」と筆者は返事を書いて伝書鳩に託した(思えばそれがのちの悲惨な結果をまねくことになったのかもしれない)。
 ともかく、筆者はパックからでてきた黒と緑の濃いカード群から使えそうなものをつぎつぎとピックしてすんなり黒緑デッキをつくりあげた。《暴動の長、ラクドス》のフォイルがでてきたこと以外はとくに引きはわるくない。それに黒と緑といえば前回の基本セット2013のプレリで優勝を果たしたときとおなじ組みあわせだ。じゅうぶん上をねらえると筆者は確信しながら全3回戦のたたかいに挑んだ。
 だがフタをあけてみれば筆者をまっていたのはあまりにきびしいラヴニカの洗礼だった。初戦は立ちあがりのおそいイゼット相手に土地がなかなか伸びず筆者がもたついているあいだに双子の《気紛れな薬術師(RTR)》にあっさりと場を支配されてしまい、2戦目の赤くないソ連ことセレズニアには《集団的祝福(RTR)》で祝福された《ケンタウルスの癒し手(RTR)》や《大軍のワーム(RTR)》に完膚なきまでたたきつぶされ、3戦目の同胞ゴルガリとのミラーマッチでは《死儀礼のシャーマン(RTR)》をいずれも一ターン目にプレイできたにもかかわらず墓地をうまく肥やせないまま歩く盆栽の異名を持つ《死橋の大巨虫(RTR)》に骨まで食われてしまった。以上、0勝3敗という戦績で筆者の2回目のプレリは終了した。
 そんなわけでとくに話すようなエピソードはない。しいて言うなら、1戦目が終わったあとに対戦相手(仲間連れの非常に場慣れした雰囲気の手練であった)がプレイをふりかえりながら「どうしてここで活用しなかったんですか?」とすっかり活用をわすれていた筆者のミスを指摘してくれたことと(筆者は生と死についてなにも理解できていなかったのだ)、3戦目の相手が小学生であったことくらいだろうか(つれそいのお父さんらしき人物もプレイヤーとして参加しており、ときおりデッキの構築やルールについて熱心に指導していた。MTGの未来もあかるいだろう)。マイケル・ダグラスのような外国人や始末屋のソーヤーのような女性が参加していたのも印象的だった。
 さて、結果はどうであれ前回と同様プレイングミスの多い内容となってしまい、また時間制限が気になってプレイが雑になってしまう場面もしばしばあった。もちろん長いMTGキャリアのなかでつねに完璧なプレイをすることなどカイ・ブッディやジョン・フィンケルでさえ不可能である。しかし鍛錬を重ねることでかぎりなく減らすことはできるはずだ。ミスを減らすことができれば勝利の数もおのずと増えてくると筆者は信じている。筆者はなによりも勝利が好きである。パックから《思考を築く者、ジェイス(RTR)》のフォイルを引くことよりもだ。
 というわけで今年は現実のほうは当然としてMTG生活的にも飛躍の年にしたい。長年の怠惰がたたって筆者の両手には現在ペトロナスツインタワーのように解決すべきスタックが山積みとなってしまっているゆえ、残念ながら『ギルド門侵犯』のプレリリース・トーナメントには参加できそうもないが、なんとか時間と気力を《補充(UD)》してまた大会に(できればつぎの『ドラゴンの迷路』のプレリに)挑戦していきたいと思う。さらにイニストラード・ブロックといれかわりに登場するあらたな大型エキスパンションあたりでのスタンダード復帰をめざしたい。もちろん「MTGについて少し話そうと思う」もふたたび更新できるよう奮励努力するつもりだ。そしてできるなら《孤独の都(VI)》を《解呪(5th)》し、かつてのように気心の知れたMTG仲間たちとまたたのしくマジック・ザ・ギャザリングをプレイしてみたい(こればかりは勝利を手にするよりむずかしいかもしれないが)。


 今年の抱負「死が負債なら、まだ返済のつもりはない」

       

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Neetsha