趣味の領域
変わらない毎日
いつもと変わらない毎日
職場と自宅の往復
家族は既に亡くなっており友達も恋人も居らずただ過ぎる日々
あるとき一通の手紙が届く
『あなたと運命を共にする人を選べます』
男は半信半疑で記載されている番号に電話をかける――
「お電話ありがとうございます。シアワセ堂でございます。本日はどの商品をお求めですか?」
若い女の声に緊張しつつ男は答える
「あ う 運命の磁石ありますか?」
――数日後、男の部屋に木箱が届いた
開けてみると中にはシールが二枚
おそらく自分と相手に貼るのだろう
……男は考えた末、木箱をそっと閉じ人目のつかないところへ隠した
男はその後も変わらない毎日を送っている
いつでも好きな人と運命を共に出来る
その事実だけで男は毎日を楽しく過ごせるのだ