川原の上にある小さな建物が灰色の煙を大儀そうに吐き出す。
煙は鈍色の空に消え、取り残された骨肉の焼け溶けた匂いが川原に漂う。
夕日に染まった罪人の仏舎利が春の生暖かい風に吹かれ辺りに散っていく。
四散した骨粉は一面に咲き誇った彼岸花に纏わりついて虚ろな色彩を加える。
女が一人 そこで花を摘む。
空っぽの兄の骨壷に花を入れる為に。
遺骨代わりの彼岸花を厳かに摘み上げる。
火葬と処刑。
それが同時に行われるその場所で彼岸花は今日も血の様に紅い花を咲かせている。