Neetel Inside 文芸新都
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拡散記
魔女狩り団

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   10 魔女狩り団

 この都市はかなり昔に並列的な場所から当該世界に転移してきてそのころ世界は草原だけだった。草原と青空だけだった。住民はそれを恐れて壁を築いた。そうして広大な城塞都市ができた。とても広大だ。壁の中に、地平線が見えるほどの空白がいくつか存在するほど広大だ。私は引っ越してきてから何度かそこへ行く機会があった。水が溜まっていて湖みたいになっている空白地帯もあった。湖を見ると私はいつも海みたいだと思う。大局的に見ると広大な大地に存在する小さな染みのひとつにすぎないのだけど、私にはその水溜りが自分の立っている場所を取り囲んでいるような気になってくる。
 あるとき第六空白の際の喫茶店にいて何も注文せずに椅子に座っていると、そこに八人編成の魔女狩り団がやって来た。装備はかなり古めかしく二世代ほど前のものに思われた。彼らは■■■■企業体からの使者のように見えた。■■■■の社章と制服を着ていたからである。それは■■■皇国のほとんどの企業のそれと同じく軍服だった。
 一人は水晶球を持っていた。魔女のいる方向を知るためだ。一人は遠眼鏡を持っていた。魔女を発見するためだ。一人は大口径の銃を持っていた。魔女を射殺するためだ。一人は大降りの肉切り包丁を刺していた。魔女の死体をばらばらにするためだ。一人は油の入った樽を担いでいた。魔女の死体を焼くためだ。一人は壺を背負っていた。魔女の灰を入れるためだ。一人は料理人だった。魔女を捕まえる旅の食事を作るためだ。
 最後の一人は黒い服と先の尖った帽子を被っていてまるで魔女みたいだと思ったらそうだと言った。この女性になぜ同行しているか聞いたら、ほかの七人は魔女がどういう格好をしているのか知らないので、彼らにそれを思い出させるためにいるのだという。そして、どうしても捕まえられないときは自分を焼けばなんとかなるのだと言った。私はこの人と焼く係の人がいればそれでいいのではないかと思った。

 先輩が五十を越える遺体を下水道へ投棄したかどで罰金刑を受けた。溜めすぎてしまったのだと先輩は自分自身に落胆したような顔で話した。私はそのころ墓掘りの仕事を始めていたが、先輩は前の仕事をやめてから、苦々しい顔で街を徘徊するだけの者と化していた。
 私が仕事を終えて帰ってきたら先輩が家の前にいた。なにか話したいことがあるのではないかと思ったが、「いや、ない」と答えた。先輩は門柱のところの花に蛹がいるのを見ていた。そのうち知らないおじいさんが話しかけてきて、■■■■方面へ行きたいと言った。私は知らなかったが先輩が詳細に教えていたので先輩がいてよかった、と思った。
 しかし、先輩は本当は知らないのにおじいさんに適当な嘘を教えたのではないかという考えが浮かんだ。それにしては詳細だったがこういうときのために、事前に出鱈目を用意していたのではないかと私は疑った。なんとなくそういうことをしそうだと思った自分を恥じるべきかと葛藤したが、どうもそちらが真相ではないかという結論に達した。先輩は海へ行くと言って帰った。

       

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