Neetel Inside 文芸新都
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拡散記
革命

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  16 革命

 ある日起きると部屋が白い花一色になっていた。屋根も壁もなかった。
 汚れた新聞が風で飛んでくる。私はそれを読んだ。
 ■■■革命党首都ヲ攻撃ス、そんな文字。
 彼らは革命をしかけている。新聞の日付は一世紀前だった。

 ■■■はよく見ると以前の印象ほど私には似ていなかったけどある瞬間には似ていた。自分の主観がなにかに冒されているのは分かる。
「現実に対する疑心暗鬼だね。休み休みの。占い師の繰言みたいな、寝起きの人間に聞く夢の内容みたいなそういう伝達ゲーム的なやつだよ」と■■■。「なんだかんだでまだまだ世界がぶっ壊れるのに時間がかかりそうだ。冷房が欲しいね、暑くちゃかなわない、待ってる間」「秋を?」「カタストロフィを」
 そこに政府広報のアナウンサーが来た。その人は三メートルくらいの影だった。
「ああ、よろしくどうぞ」「よろしく」「どうも」「首都の具合はどうですか」私が尋ねると、「良くないね。鉄道が止まってる。革命党は快進撃だ。党首がものすごく強い。まだ十五歳くらいの女の子だけど銃でなんでも破壊するんだ。引き金を弾くと気づいたら白い花びらが散ってて事象が拡散する。このままだと皇帝も負けるかもしれない」「党首ってのはどういう人ですか」「■■■・■■■■・■■」「え?」「■■■・■■■■・■■という名前」「それは私です」「なんだって? どういうことですか」「さあ」「あと少しで革命が成し遂げられるというこのタイミングにおいてこんなところにいるのです」「革命が成し遂げられないのは困りますね」「そうでしょう。中継を繋ぎますか? 首都はほとんど電波が入らなけどやるだけやろう。首都放送局の■■さん」
 アナウンサーは誰かに呼びかけた。失敗したようで、その直後彼は煙のように消えてしまった。私は先ほどの新聞を開いた。そこには紛れもなく私である少女の写真が載っていて「■■■革命党代表■■■・■■■■・■■」とある。

 革命ヘノ道
 私ハツマリ構築スルベキ道筋トイウモノハナイト定義スル。暴力。暴力ニヨッテスベテ構築サレル現実。爆弾。破壊。炎上。決起セヨ。構築物ヲ砕ケ。五千ノ猿、五億ノ猫、消去セヨ。粛清セヨ、七十億ノ蟻。七十億ノ蜂。液体ノ皇帝ハ幻想。昨晩、隣ノ、■■氏ガ、幾ツカノ死体ヲ風呂場デ切ッテトテモ疲労シタ。薬缶ハ鉄製、ドアハブリキ製、錠前ハ合計デ七ツ、迷路ガ西ヘ、浪費セザル幸福ノ虹、虹、虹。火薬。沿岸ノ波ハ自戒。自戒。最大幸福ハ犬。犬。動的ナブルース。彗星。例エバ冤罪トシテモ往々ニシテ罰ガ下ル。横柄、不実、低出力。革命ハ謎。動的ナ謎デアル合計数。流行。放浪、放送。音読。犯罪者ハ後部座席。恒星ハ強クスル。我ラの意思ヲ。第三恒星ニヨッテ自戒。白金ハ夢。岩塩。人体。現在ノ行動ニオイテ陽動ハ有リ得ズ。黄金時代。下水道。苦情苦言。現在革命党デハアラユル階級ノ団員ヲ求ム。蛹カラ孵ル。青イ蝶ノ波ハ境界線ヲ越エテ。補給物資、三十五時間地点。拡散。

 といった具合の文章があった。書いた覚えはもちろんない。どういうことかは分からない。それは私に似た人や■■■の私に似ている瞬間とは違って、私に似ているというより私そのものだった。私はほんとうに双子だったのかもしれない。どうなっているのか。とにかく、私が革命を成し遂げつつあるということは確かなようだ。しかしここからが正念場と言えるだろう。初動はどうやら間違いなかったようだが記事によるとまだ都市にはあらゆる機関の武装勢力が詰めている。ここからどうするかだ。私は彼女に任せて寝ることにした。

       

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