Neetel Inside 文芸新都
表紙

拡散記
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   20 ■■■・■■■■・■■

 私はかつてにはただの少女に過ぎなかった。
 多数の都市が原初の荒野に流れ着く前に私は先駆けとして一人ここにやって来た。
 拡散しているものを収束させるために来たのである。
 ところがあるとき彼女=私はみずからを含む世界の大部分を拡散させ、消えてしまった。四十七の体を残して。そのうちの一人が、離党者たるこの私だった。
 拡散王が消えたのは日蝕のときだった。私はそこで最初の停滞を経験した。そのとき私は十歳になったばかりで、数十世紀に渡ってそのままだった。

 そして私は今再び世界を拡散させようとしている。なにが起こるかわからない。だからこそやる価値があると思っている。きっといくつかの都市郡が原初世界に飛ばされ別の世界が始まる。
 それこそがもしかすると、私のなすべき革命だったのかもしれないと今は思っている。
 そして私は歪んだノイズに覆われた自分の名を唱え、その大いなる作業を開始した。

   〈了〉

       

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