義姉の胸の中に顔を埋めて、小さなメイドは低い声で呻く。
時刻は午後三時過ぎ。雑務を全て終えた先輩メイドの袖をちょいちょいと引っ張り、寝室へと共に向かう。
そして優しく身体を包み込んでくれる彼女の巨乳を堪能するのが、後輩メイド――とは名ばかりで実態は主人と先輩メイドの義妹兼愛玩動物である――、マルカの楽しみだった。
「ご主人様とえっちしたり遊んで貰ったりするのも大好きですけど、満月さんはリラックス効果がすごいです……」
はふーん、と頬ずりするその表情は、緩みきっただらしないものだった。
実の両親から愛情は注がれず、売られた娼館では酷い扱いを受けていたマルカの心と体は母性を欲していた。
幸福感の果てにすぐ熟睡してしまうほどに、これ以上無く安心できる場所。それが先輩メイド――マルカにとっては精一杯甘えさせてくれる優しい姉である――、満月の懐だった。
度重なる寵愛(と言うか溺愛)の果てに館の主人であるハルと結婚したいと言い出すようになっても尚、満月はマルカにとってなくてはならない存在である。
「私も幸せですよ、マルカ」
満月にとっても、甘えてくる義妹が可愛くて仕方ない。
ただでさえロリコンとショタコンを盛大にこじらせていた所があったのに、お姉ちゃん大好きと身を寄せてくる薄幸少女が来たものだからもう大変だった。
腕の中でもぞもぞと動く小動物の温もりに、自分の表情さえ緩みそうになるくらいだ。
姉妹愛、と表現してしまえば美しく見えるのだが――
「ところで……そろそろ私とねっとりオイルマッサージ風奴隷少女のガチ百合連続潮吹きショーをする気になったりはしませんか?」
満月の方は、性欲を少なからず含んだ愛であった。
『トゥー・レイト・ねっとりオイルマッサージ風奴隷少女のガチ百合連続潮吹きショウ』
「えー……」
露骨に嫌そうな声を捻り出すマルカ。
裸になって抱き合っている真っ最中だが、マルカにとってはいやらしい事をしているつもりはない。
もむもむと大きな乳房を口にしても、足を絡ませ合っても、マルカの秘所は全く湿り気を帯びる気配がなく、性的に興奮もしない。
確かに最初は少し緊張したが、関係が義姉妹となった今ではそれもすっかり慣れ、心のままに温もりに甘えているだけだ。
とは言っても、3Pの時には主人であるハルの命令で軽いペッティングくらいはする仲、女同士の性行為に拒否感があるわけではない。単純に。
「今はそういう気分じゃないんですけど……それに、あまり激しいのは怖いし……」
と言うわけである。
「そうですか……」
やや残念そうに俯く満月。
傍目には興奮しているようには見えないが、それは満月の肉体コントロールが完璧なためである。
本性を解放すれば、マルカの足はドバドバと決壊したダムの如く溢れる粘液で大変なことになっている事だろう。
「ではお風呂に入る前、ではどうでしょう」
「んー……あー……それなら、いい、かも……」
マルカは脱力しすぎて、既に意識が曖昧になっていた。
返事をしてから十秒とたたず、寝息を立ててしまう。
「……くー……」
「……」
満月は曖昧な意識の曖昧な返事を、肯定とみなした。
マルカは満月なら酷い事はしないだろうと安心しているのか、涎を垂らして早くも熟睡しきっている。
「なんて可愛い子……」
その涎をすくって舐め取り、満月は歓喜に震えそうになった。
マルカは、無垢ではない。散々男たちに陵辱され、苦痛と絶望の中で壊れかけた過去を持つ。
が……今現在、マルカは心穏やかに育ち、純粋さを取り戻している。
性行為も行うものの、愛……歪んでなんていないとマルカ自身が断言したそれを受けているおかげか、彼女の心は子供でいられている。
しかし。
彼女はまだ、その先を知らない。
ハルのテクニックは満月仕込みだけあって中々のものであり、男性に触られるのを怖がっていたマルカも、愛撫されると悦びながら喜ぶくらいだ。
その一方で、マルカが性の快楽の深みに嵌ってしまわないようにと加減している。
『セックスは怖くはないけど、溺れてはいけないもの』である、と。
自分のようになってほしくないハルは、自分の性欲を満たしながらもマルカに一応の配慮をしているのだ。
それに、いくら開発具合を『リセット』できるとは言え、満月ならともかくマルカ相手にあまり可哀想な真似はしたくない。
リセット。
ハルが「できるか馬鹿! 無茶言うな! お前本当に人間か!?」と慄くレベルの絶技。満月の数ある淫技の、一である。
満月にかかれば、薬漬けにされ廃人同然の者さえ感度を『抜ける』。
もっとも、性感度以外……禁断症状や後遺症などはどうにもならないが。
とにかく、性に関して満月は無敵。バトルファックに限定すれば単一存在すら退けるその設定はもはや理不尽を通り越して意味不明のレベルに至っている。
ので。
「性の深みを知らない少女を……汚したい放題……」
言質さえ取ってしまえば(取っていないが)、満月にとって手加減する必要など全くないのだった。
自分に何が起こるかも知らずにぐっすりと眠り続ける少女の額に、満月は軽くキスをする。
「ちゅっ……」
それは淫魔の長を指一本で絶頂に導く、
「と言うわけで、ねっとりオイルマッサージ風奴隷少女のガチ百合連続潮吹きショーを行ってまいります。しっかりカメラには一部始終を撮影しておきますので、どうぞお楽しみ下さい」
「ああうん……いや、止めないけどさ……」
熟睡するマルカを起こさないようにベッドから降り、服を着て報告しにくる満月。
それに対し、ハルは苦笑いを返した。
(……俺もリセットできるようになれば、こいつくらい性欲を剥き出しにできるんかなぁ……)
ハルとて世間一般的に見ればマルカを手篭めにするロリコン犯罪者ではあるが、満月とは格が違う。
「まあ、お前なら大丈夫だろうが、一応……壊すなよ?」
マルカは人間だぞ、と言う意味合いを込めて釘を刺す。
満月は存じております、と頷きながら妖しく微笑む。
「ご心配なく。発狂する程のことはしませんし、明日には『今日の時点と何一つ変わらない開発具合』ですので」
「お前怖い」
そして夕食後。
いったん自分の部屋へ戻ってから風呂場へ向かうマルカに、後ろから満月が付いてきた。
「あれ、ご主人様へのご奉仕はいいんですか?」
「ええ、今日は大丈夫です。一緒に入りましょう、マルカ」
もう終わりましたので、とは言わずにマルカと並んで歩く。
「いいですよー。背中ながしっこしましょうながしっこ。ご主人様も来ればいいのに」
また姉に甘えられるとご機嫌なマルカ。
姉のどす黒い胸中など知らず、抱きついてもたれかかりながらも進む。
脱衣所で服を丁寧に脱いで籠に入れ、大浴場へ入ると――
「……? 何ですか、これ?」
空気で膨らむエアーマットが、正面を向いて床に置いてあった。
マルカはこれを使って何をするか、まだ見たことがない。
「マッサージ用のマットですよ。マルカ、身体を洗うついでです。横になりなさい」
「え……マッサージなら、どちらかと言うと私がするべきなんじゃないですか? いつもお世話になっているんだし……」
「胸も大きくなりますよ」
「お願いします!」
遠慮がちだったマルカはその一言で即座にマットに寝転がった。
仰向けで両手を広げ、大の字になる。マッサージなど受けたことがないので、緊張しきった面持ちだった。
(マルカは小さいほうが可愛くて良い……とは私が言っても嫌味にしかなりませんね)
「リラックスしなさいマルカ。うつ伏せになって、手足は真っ直ぐです」
「はい」
ころんと転がり、言われた通りにするマルカ。
なおも緊張は解けきっていないようだが、構わず満月は術式を開始した。
人肌の油を妹の背中に垂らし、軽く円を描く。
「うわ、びっくりした……なんですかこれ?」
「アロマオイルですよ。経口摂取しても大丈夫なもので、お肌もすべすべになります。マルカはまだ若いから、そこまで効果はありませんが」
貴女を調理する油ですよ、とは言わないでおいた。
今やマルカはまな板の上の鯉。蜘蛛の巣にかかった蝶。
ハルが知らんぷりした以上、この後行われる彼女の凶行を止められる者は誰もいなかった。
満月は指先だけを使って、オイルを彼女の背中に広げる。
全体に行き渡った所で、掌底を使って柔肉を少し押し込みながら、身体を解きほぐす。
「あー」
満月の柔らかく心地いい手さばきに、マルカの緊張もすぐに解けてしまった。脂肪の下に張り詰めていた背中の筋肉が緩むのを、満月はその手に感じる。
背骨のラインを下から上り、首筋まで来た所で両手を分岐させ、肩甲骨付近をこねる。
円を描くように動かしながら移動し、脇腹まで横に滑らせたらそこから腸骨まで。
「んっ、ちょっとくすぐったい……」
「大丈夫ですよ」
そこから再び背面へと上らせ、腰。そして形のいい臀部に手を埋める。
あまりにも柔らかい、赤子の頬のような尻肉。
「あー、おしりー……」
満月は掌底に飽き足らず、指でそれを堪能する。
「なんと、これは……」
ぷるん、ではなく、ふにょり、と。
それは弾力と言うよりは、餅のような流動性を秘めた少女の肉であった。
「満月さん、触り方がいやらしいです」
とマルカが言った瞬間。
満月は、その未発達の尻に顔を埋めていた。
「って、何やってるんですか!?」
「なんという……おお、なんという……」
ふわふわの少女肉を顔面で味わう。自分の頬よりも柔らかいそれは、口に含めばそれだけでとろけてしまいそうな危うささえ感じられる。
奥の小さな肛門に、鼻先を押し付ける。少し汗っぽい、甘酸っぱいような香りが喉の奥を通り抜けていく、感覚。
「ちょっと、臭い嗅がないで下さい!」
「失礼、あまりに無防備だったものですから」
「満月さんがリラックスしろって言ったんじゃないですか!!」
恥ずかしそうに手で肛門をガードするマルカ。
うーと唸る妹に、満月は優しく両手を掴んで元の位置へと戻した。
「貴女のお尻は世界を平和に導ける器です」
「馬鹿なこと言ってないでマッサージして下さい。もう終わりなら、シャワー浴びちゃいますよ」
呆れ顔になっているマルカの背中に、再び手を這わせる。
「大丈夫ですマルカ、夜はこれからですよ」
「全然大丈夫じゃなさそうなんですけど」
肩から上腕、下腕を伝って手首を回す。手のひらから指先までを、自分の拳の第一関節で伸ばすように押しこむ。
「んっ、ちょっと痛いです……大丈夫ですけど」
手が終わったら、次は足。
警戒された尻を軽く流して、腿の筋肉をほぐすフリをして丹念に揉む。
丹念に。
「満月さん?」
「足腰は重要ですので。ご主人様のお相手ができなくなったら一大事です」
まあそれはそうですけど、と警戒を緩めるマルカのちょろさに満月は内心でほくそ笑んだ。
しなやかなふくらはぎから、足首。そして足裏のツボに指をぐりんとねじ込む。
「ひゃああっ」
「痛いですか?」
「ちょ、ちょっと弱めにお願いします……」
見た目からは予想できない満月の握力の強さにマルカの身体が飛び跳ねた。
しかし、いきなりビー玉を踏んだような痛さと驚きが薄まれば、痛覚の中に気持ちよさが浮かび上がってくるのを感じる。
「あ、あ~っ。ま、満月さん、そこは、あふっ」
「大丈夫ですマルカ、安心して身体を委ねなさい」
「全然っ、はぁっ、大丈夫じゃなさそうな感じが、ああんっ」
どこか性行為にも似た背徳的な感覚がマルカの脳を揺さぶり、思考を危うくさせる。
当然だ。
満月が行う足裏マッサージは、主に人体の性感帯を重点としているのだ。
その気になれば小娘程度、足裏だけで簡単に壊す事が可能である。
既に陵辱を受けている事など全く気付かずに、マルカは全身から汗を噴き出して快楽に悶えていた。
「はい、では仰向けになって下さい」
返事を待たずにマルカを転がす。
息を荒くして無抵抗のマルカ。その小さな乳房に、満月は真っ先に手を伸ばした。
「はうー……」
胸を揉みしだかれているのはわかるが、マルカには動く気力がない。
「大丈夫ですよマルカ、豊胸マッサージですよ」
と言われても、返す言葉も出て来なかった。
それをいいことに、満月はマルカの気持ち程度膨らんだ胸部に指を沈ませた。
「あうあー……」
そしてそのまま指を狭めて、中心にある小さな果実を摘み、引っ張りながら離す。
ちゅぽん、と。
「ひぁぁっ……」
そんなことを何度も繰り返せば、マルカの乳首はどんどんと敏感さを増して新芽のように尖った。
「おやおや、固くなってしまいましたね」
と意地悪そうに言いながら、満月はその可愛らしい性感帯を人差し指の先でねぶる。
くりくりと撫でると硬度を増すそれは、陰核にも似た可憐ながらも卑猥な少女の蕾。
「私が大きくしてあげますからね……」
「待って下さい……待ってください満月さん」
マルカはどうにか気を保ち、満月の人差し指を腕で逸らしてタイムタイムとジェスチャーしながらと尋ねた。
「これってひょっとして……って言うか、ひょっとしなくても、えっちなマッサージですよね……!?」
「当たり前じゃないですか!!」
満月はいきなりキレた。
「ええー……」
「失礼、取り乱しました。はい、確かにこれは性感マッサージです。先ほどマルカも言ったではありませんか、『ねっとりオイルマッサージ風奴隷少女のガチ百合連続潮吹きショーですか、いいかもしれませんね! 私満月さんと一緒に百合世界の深淵を覗き見たいです!』と」
「言った記憶ないですよ!? 少なくとも後半は私そんな事絶対言ってないですから!! 何ですか深淵って!?」
「そんなことはどうでもいいのです」
「よくないですよ!?」
捏造がバレた満月は開き直ってマルカの尖る乳首を啄んだ。
「きゃあっ!?」
「気付いた所でもう手遅れですよ。屋敷に来た頃は貧相な体型だったのに、こんな健康で美味しそうになった女の子なんて、私に食べて下さいと言ってるようなものじゃありませんか」
お伽噺の魔女みたいな事を言いながら、満月は自分の半分近く下の歳である少女の胸を口に含む。
舌でえろんと乳首を転がせば、塩辛い汗の味が口に心地よい。
「ああ、美味しい……マルカが私の胸を好きに扱い幸福を味わっているのに、私がマルカの胸を好きにしてはいけないなんて、理不尽ですもんね……? とっても幸せですよ……」
屁理屈と一緒にマルカの小さな胸肉をこねる満月。
空いた左手は、先程軽く味見した尻肉を下からなぞり上げた。
指先で、つつ、と。
舐めるかのように。
「はわ……っ!!?」
息が詰まった。
一瞬意識を手放しかけてから、自分が今エクスタシーを感じていた事に気づく。
ただ口と手で触るだけのそれは卑俗にも程がある、冒涜的なまでの陵辱だった。
だが、マルカがこれまで受けてきたどんな愛撫よりも、優しいタッチ。
どうすれば、この薄汚い下卑な鬼畜染みた虐めをここまで慈悲深く行う事ができるのだろうか。
(ま、満月さんは……)
過呼吸になりかけたマルカを見た満月は、責めをあっさりと解いて身体を抱きしめ、彼女の口に酸素を送り込んだ。
「んっ……」
無論、自らの口を使って。
それは官能の欠片もない、落ち着く抱擁と接吻。
いつものお姉ちゃんの、スキンシップと全く同じものであった。
ままならない呼吸と破裂しそうになる鼓動を自らの身体で抑え、満月は優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ、マルカ」
落ち着いたマルカは、満月にありったけの憎悪を込めて睨んだ。
「……満月さんは、悪魔です」
「あら」
満月はわざとらしく驚いた後、意地悪な顔で言う。
「知らなかったのですか?」
「さてマルカ、一休みしたところで水分を補給しましょう」
「まだ続ける気ですか……?」
「はい。まだ潮吹きもしていないじゃないですか。イッたのも1回だけですし」
はいこれ、と満月はどこに用意してあったのか大きなペットボトルを取り出した。
中身は半透明のスポーツドリンクである。
「脱水症状を起こさないように、たっぷり飲んで下さいね」
「…………」
マルカは考える。
満月は、自分が本当に、本気で嫌がるような事はしない。と言うより、できない。
ので、マルカには拒否する権利がある。
しかし。
(……さっきの話、確かにそうだ。私がさんざん満月さんのおっぱいを揉んだり吸ったり好きにしているのに、満月さんは嫌な顔一つしなかった。いつもご飯も作って貰って、お洋服もいっぱい買って貰って、お勉強だって教えて貰っているのに、私は満月さんに対して、何もしてない……ただ、甘えているだけ……)
考えれば考えるほど、マルカは満月に対し申し訳無さを感じてくる。
満月としては、マルカの世話をしているだけで幸福なのだが。
(それに……)
満月の指の味を知ってしまった今となっては、心の底から嫌だなんて言えるはずもない。
幼いながらもマルカは初めてその感覚を知ってしまった。
身体が、切なさに震えている。小刻みに。
満月の指先を、求めているのだ。
「いいですよ……仕方ないから、付き合ってあげます。無理矢理犯されるのは慣れてますから」
弄って下さい、とは言いづらい中で精一杯の虚勢を張るマルカ。
ペットボトルを両手で持ってくぴくぴと飲み、500ミリリットルほどを小分けに身体に補充する。
照れを隠したその言葉が可愛くて、満月は今すぐ妹の汁を一気飲みしたい衝動に駆られた。
「その代わり、今度一日満月さんの身体を私の好きにさせて貰いますからね」
「それはご主人様に許可を得ないと……」
「ダメって言ったら泣きつきます」
珍しく、マルカがワガママらしいことを口にした。
それだけ、ただで触られるのが納得いかないのだろう。
そしてそれだけ、満月と戯れたいのだろう。
「お願い、してみましょうね」
と、優しい顔をした満月に頭を撫でられただけで。
マルカは、顔を赤くして小さく頷き、無抵抗になってしまった。
胸に両手を当て緊張するマルカ。
その手を優しく握り、恋人繋ぎにして身体からどける。
そしてそのまま、満月の身体はマルカの上に重なった。
「ちゅっ……」
「ん……」
これから貴女を捕食しますよ、と告げる絡新婦の接吻。
相手の緊張感をそのまま官能に変える舌使いで、満月はマルカの咥内を貪る。
早く食べればいいじゃないですか、と強気だったマルカの顔はいとも容易く蕩け、その舌の激しさを求めて自らも舌を突き出した。
れろん――
「……ッ!」
獲物を絡めとる長い捕食器が、柔らかい餌に巻きついて組み伏せる。
まだ息のあるそれを踊り食いするかのように、満月の舌はマルカの舌を咥え込み、しゃぶり、優しく噛み付き、体液を啜る。
ほんのり甘いそれに生きたまま喰らわれながら、マルカはびくんと全身を震わせた。
「ぷはぁ……どうですかマルカ、美味しかったですか?」
獲物が動かなくなった所で満月の舌は離れ、長い口付けも終わった。
マルカは目の端に涙を浮かべながらも、内股気味になって絶頂の余韻を味わっている。
満月の責めとしては全然軽いので、喋れないわけではない。ただ、甘い感覚に身体が悦びを感じていて、返事が遅れてしまった。
「すっごい……気持ちいい……」
敬語を付けることも忘れて呟くマルカに、満月が軽く頭を撫でた。
「それは良かった。ではマッサージの続きと行きましょう。まだ前は途中でしたからね」
と再びオイルを手に取り、今度は自分の手から胸に、そして腹にそれを塗りたくった。
満月の豊満な身体が照明に反射して、艶かしく光る。
腕、足、そして下腹部にもしっかりと塗りこむ。さらにマルカの見ている前で股を開いて、オイルで『遊び』始める。
片手で開き、しっかりとよく見えるように中身を見せつけたと思ったら、満月はオイルの容器を持って、ちゅるんと半分ほどを飲み込んでしまった。
そして中身を、ぐびりぐびりと一気飲みしていく。
「ん……良い温度ですね」
そして空になった容器をにゅるんと吐き出し、ことんと軽い音を立てて横に置いた。
「さて」
満月は立ち上がって、寝転んでいるマルカを跨ぐようにして見下ろす。
そうして舌なめずりすると、しっかりと閉じられていた満月の秘所が緩み。中からはとろとろとアロマオイルが滴って、マルカの腹へと落ちる。
扇情的に腰をゆっくりと回すと、滴るオイルもそれに従って軌跡を描き、マルカの乳首にも温かい感触が届いた。
「満月さんは変態です!!!!」
これまで良くも悪くも様々な性行為を受けてきたマルカが、あまりの淫猥さに目を背ける。
「マルカ、今更ですよ」
しかし、その姿は同時に。これ以上無く美しくもあった。
長い黒髪をしっとりと湿らせ、先程自分を捕食した柔らかい唇からは舌をわずかに見せ。
少し細めた眼の奥、瞳が黒曜石のように妖しく光っていた。
「……」
誘惑に負けて、再びマルカは姉の痴態に目を向けた。
自分のものであるはずの大きな双乳は、見たこともない艶を持ちながら腰の動きに合わせて左右に揺れている。
そして下腹部からは淫らな水糸が細く伸び、自分を汚している真っ最中だった。
「マルカ、おまんこを広げて下さい」
どんな卑俗な笑い方をしても、満月の顔は美しく。
何をされるかなど想像できるのに、マルカはそれに従ってしまった。期待してしまった。
マルカの両手の間に、温かいものが降り注ぐ。
「ああっ……!」
「直接飲ませて差し上げます」
と。満月はマルカの秘所に腰を下ろし、ぴったりと膣口同士をくっつける。
そして。
「たっぷり味わいなさい」
マルカの
「はぁっ……!! んっ……」
直接注ぎ込まれたそれの温度を、マルカは身悶えしながらも受け入れる。
幼い少女のヴァギナにたっぷり中出しした満月は膣口をゆっくりと離す。粘り気のある糸が二人を繋いでいたが、すぐに切れてしまった。
そしてその興奮も冷めやらないまま、マルカの秘所に口を近づける。
「経口摂取できるとは言え、ちょっと入れすぎましたね」
想定と寸分変わらない量を出しておきながらいけしゃあしゃあと述べる満月。
そしてマルカの膣を丸々口に含み――
――じゅるじゅるじゅるじゅるぽっ。
「きゃああああああああああああ!!!!??」
自分の出したそれを、勢い良く啜り上げた。
あまりのバキュームの強さに、悲鳴を上げながらマルカは連続でエクスタシーに至ってしまう。
敏感になっている身体に再びオイルを吐き落とされ、小さな身体は面白いくらいに跳ねた。
「ほぉら、マルカの大好きなおっぱいですよ」
今しがた自分が吐き出したオイルの上に乳房を乗せ、ワックスをかけるようにそれを滑らせる。
下から。
上に。
「あっ……それっ……」
姉の柔肉の感触を味わい、マルカの声が一層甘みを増す。
乳首同士が軽く触れ合い、また下へと降りていく。
「それっ……好きっ……!」
往復する度に高まる官能。マルカは無意識に自分の体を押し付けていた。
それに応えるかのように、満月も滑る身体を強めに抱きしめる。
「ああっ、すごいっ……!」
その心地よさはエロティックなものと同時に、心が安らぐようなこそばゆいものでもある。
甘えん坊のマルカにとって、家族のスキンシップにも似たそれは恥じらいの感覚を和らげて積極的にさせた。
「好きっ……! 満月さん、好きっ、です……!」
「私もですよ、マルカ」
抱き合う二人は胸を押し当て、腰を押し付け、足を絡み合わせて乱れる。
油塗れになった身体同士が擦れて、淫らな水音を立てていく。
その内、どちらともなく相手の唇を奪い。口の中でも、粘液の音を奏で始めた。
まるで蛞蝓の交尾のように、どろどろに溶け合う二人。
身体の境界がわからなくなるほどに、お互いの身体を喰らっていく。
「そろそろ二人で潮を噴きましょうか」
いったん口を離した満月が、マルカの耳を味わいながら呟いた。
「しお……?」
よくわかってない様子のマルカに、満月は優しく囁く。
「やり方は簡単です。せーの、でお互いのおまんこに指を入れるだけ。とっても気持ちいいですよ」
「わかりました……」
もはや脳がとろけきったマルカは、満月の気持ちいいと言う言葉に簡単に従う。
二人はそれぞれ、相手の秘所へと右手を添える。
「では行きますよ。せーのっ」
合図と同時に、二人の膣に細い指が捩じ込まれた。
的確にGスポットを抉る満月の動きとは対照の、ただ入れただけのマルカの人差し指。
得る性感は、全く同一のものだった。
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「んっ……」
二人の尿道から、勢い良く汁が迸った。
それはお互いの股に当てていた手に当たり、温かいシャワーと化して快楽を上乗せする。
「はぁ……はぁ……あったかい……」
「気持ちいいでしょう、マルカ」
「はい……」
最初の勢いが衰え、じょろじょろと尿のように垂れ流すそれは、単純な排泄の快感より甘美なものであった。
「マルカの汁、直接飲ませてもらいますね」
満月は身体を半回転させ、マルカの尿道から尚も湧き出る泉を口で受ける。
「あ……」
マルカの目の前には、満月の綺麗に閉じた排泄口があった。
わずかに、水滴が尻へと伝わって。
一滴。マルカの口へと落ちた。
しょっぱさの中にほんのり甘さを含んだそれをよく味わい、口の中で転がす。
(満月さんの、味……)
人の体液をこんなに美味しいと思うのは、初めての感覚だった。
マルカはその汁を、もっと欲しくなり。
恥じらいを持ちながらも、姉に呼びかける。
「満月、さん……私も、飲みたいです……」
「あら、嬉しいですね。しっかりと味わって下さい……んっ……」
満月が筋肉を僅かに緩めると、ちょろちょろと控えめに満月の雫が染み出てきた。
マルカはそれを見て、満月の膣へと齧り付くように口を密着させた。
とろけるような味わいの舌で啜って楽しみながらも、必死に舐めてもっともっととおねだりする。
「ふふっ、欲張りな子ですね……溺れない程度に、いっぱい飲ませてあげましょうか……?」
嬉しそうな満月の言葉を聞きながら、マルカは舌で奉仕して肯定の意を示した。
「わかりました。では、たっぷり召し上がれ……」
ぷしゃぁと湧き出る満月の潮を、マルカは喉を鳴らして嬉しそうに飲み続けていく。
性的興奮か、それとも水分補給のせいか。
マルカも下半身をもぞもぞとさせて、尿道をわずかに広げた。
「まあ、私にももっと飲ませてくれるのですか? なんて姉思いのいい子でしょう……
……今日は二人で、たっぷりと出し合って、飲み合いましょうね……」
れろんと舌で催促され勢い良く発射されたマルカの潮、あるいは、尿を。
満月は喉に通しながら、再び排泄の準備を始めた……。
終
参考作品「トゥー・レイト・ショウ」(http://neetsha.in/15754)作者了承済み