Neetel Inside 文芸新都
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LOWSOUND 十字路の虹
27 Maria Of Corrim

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 水煙銃士隊に新たなメンバーが入ってきた。マリア・ロッシという女性で、芸術大学に留学するためここに来たという。マリアが二人いるのは紛らわしいので、彼女は〈コリムのマリア〉の名で、あるいは苗字で呼ばれた。ある日、仕事が終わってともに帰るときに、マリアは彼女にプログレについて尋ねると、「あんな長いのを聞くのは暇人だけだよ」と断じた。
「じゃあパンクは?」「パンク聞くのは犬だよ」「デリスのポップスは?」「あんなのを聞くのはおかま」「じゃあ普段賛美歌とかを聞いてるの?」「それを聞くのは大工とか石工だけだよ」
 こういった感じでロッシは、あらゆる事柄を断定的に言う癖があり、マリアは面白く感じた。
「マリアは大学でちゃんと勉強してるのか?」「いえ」「いやーそこはしないと、しないと物乞いへの道を歩むことになるよ。グラニスク人と一緒に音楽をやってるって? やつらは酒ばっか飲んでんだから。我がコリム王国と違って、野菜を食わないんだから。早死にだよ。ただいい感じに筋肉が付いてる男は多いな」
 ロッシが入った後プリシラは知らないあいだにいなくなっていた。本格的な治療に着手できる段階に来たらしい。彼女のような不幸な人にこれ以上苦難がなければいいとマリアは思った。そして、そのぶんスピネル大姉、ジョセフィン、この前ライブ会場にいた音楽に詳しいという人のような者達や、他の、他人をいらつかせる人達が不幸に合えばいいと願わずにはいられなかった。プリシラが治療に成功したあと、眠気で覆われて隠匿されていた本性が、そういうつまらないものであった場合は、いい服や靴を身に着けているときに酔っ払いの吐瀉物の上やドブ、砂浜に倒れ落ちればいいと念じた。

       

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