マリアは水煙銃士隊の仕事に飽きてきて、そろそろやめます、とドーン銃士長に宣告した。
理由を聞かれたので、学業に専念するためです、と言ったら、本当は飽きたからじゃなくて? と言われ、しかしマリアは学業ですと言い張った。
了承し、シフトを徐々に減らして、一ヵ月後くらいにやめてもらうと銃士長が言った。
それをロッシに言うと、「えー、マリアがやめるならあたしもやめるよ」と言い始めて、さすがに怪訝に思わずにはいられなかった。恐らくまだ一週間くらいしか働いてない。
「やめてどうするの?」
「えーとね、コンビニか市場で働き始めるよ。あるいは男に寄生する」
「それでいいの?」
「あたし程度の人間に引っかかる男は貧弱者なんだよ」
「それはメンタルで?」
「メンタル面で。まあ冗談だけどさ……あるいは魔女になる勉強をするってのもいいかもね。魔女は欲求不満だから常にいらついているんで愉快じゃないかもしれないけどさ」
マリアはさすがに不安になってきた。周囲にだめな人間が多すぎる。このままでは朱に交われば……じゃないけど自分も堕落してしまうかもしれない。こいつら全員をどうにかして排除したほうがいいかもしれないな、と。しかしそれがきっと不可能だという諦念的確信もあった。