Neetel Inside 文芸新都
表紙

そこの底辺
牢屋の男

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退屈なのはいけない。

暇すぎるのはいけない。

発狂しそうです。

私が牢屋に入れられてか随分たった。

二時間ぐらいだろうか?

全然時間たってないじゃん?

なにこれ?やばいね。

「隣の人なんとかしてください」

私は叫ぶ。

牢屋に入れられる前に隣の牢にも誰かがいるのを思い出したからだ。

「なんだ?新入り」

「暇なんすけど?」

「俺も暇」

「何時からいるんですか?」

「二年間だ」

「よく発狂しませんね」

「ああ。最初は発狂しそうだった。だが、いい暇つぶしを思いついたんだ」

「なんですかい?そりゃあ?」

「妄想だよ。妄想しろ。退屈だということを考えないように」

「ははは。そんな、退屈を紛らわせるほど妄想なんてできませんよ」

「俺は今、妄想の中で三人の妹と快適な生活をおくっていますが。なにか?」

「は?私には妹がいましたがろくなものじゃなかったですよ」

「現実じゃない妄想の世界だ。よく設定を練ってみろ。自分の都合のいい性格にだ。
イメージしろ。触れたときの感触を想像しろ。匂いを。声を。さあ、やってみろ」

私は創造する。新世界を。私の世界を。

これが本当の私の世界だ。

存在したはずの青春を私は見ている。

私の願いは全て叶った。

幸福だ。私は永遠の幸福を手に入れた。


「おい、どうした。様子がおかしいぞ」

「駄目です。発狂してます」


隣の男はもう発狂したのか?

結局なにも創造できなかったか。

なにもない、なにもないから考える。

余計なことまで考える。

余計なこと?

余計なことは呼び寄せる。

限界を。壁を。シャットダウン。

       

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