【雑誌名】週刊少年VIP
【作品名】品定め
【作者名】三浦
【作品URL】http://lapluie.kumogakure.com/sonataP/sadame/sina.htm
【ソナタ外伝】
ニノベに「ソナタ」という小説があるが、それと同じ世界観のちょっと過去の外伝のような内容。
私は文芸ニノベ作品感想企画で何度か「ソナタ」の感想を書いたから知っているが、しかし小説は別に読まなくても本作単独で話は分かる。
「ソナタ」から出演している人物では主人公のドミナの親友・木朽と髪フェチの美容師ぐらいのようだ。
でも圧倒的に漫画しか読まない読者が多いだろうから、チョイ役だとしてもキャラが強すぎる本編のキャラは出さない方が良かったかもしれない。
木朽は良い感じで主人公に関わって物語を盛り上げてくれたので、ナイス助演ではある。本編では殺し屋になっていたりするのだが…気になる人は「ソナタ」も読んでみよう。
小説「ソナタ」は物凄く長いけど、本作のノリが気に入った方には面白く読めるだろう。
【ドタバタギャグが楽しい】
タイトルが「品定め」だし美術館から物語が始まるので、美術品の鑑定をテーマにした話かと思いきや全然そんなことはない。
三浦先生は小説でも結構ぶっ飛んだドタバタギャグを展開してくれるが、漫画でもそのノリは健在。
というか漫画の方こそそのノリがより強調され楽しめる。
ヤクザの真柴をおちょくりまくるノリは、「ソナタ」の1部のようで、物凄く活き活きとしていて楽しい。
作画的にも「ソナタ」の挿絵から、絵も上手いんだろうなぁというのは分かっていたが、漫画としてもちゃんと読みやすくて面白い。
これまでも文芸作家の方が漫画に挑戦している作品は色々あったが、やはりぎこちなさが目立つ。
その点、本作は既に何作目かの漫画なのかな?と思うほど洗練されている。
「ソナタ」で面白いと思っていた部分が全部良い感じに分かりやすくなっている。
何といってもセリフ回しが小粋で良いではないか。このあたりはさすがに小説も書いている作家さんの漫画だ。
「ソナタ」もそこは良かったのだが、登場人物が多くて誰がどのセリフを話しているのかが分かりづらいという点で、読みにくかった。
先に感想を書いた「夏の消失点」で見られたように、そういうところで漫画でも読みづらい作品はある。私が「むしろ小説で書いてみたい」としたのも、漫画のくせに分かりづらいぞ!と言いたかったのだ。
本来、文章だけで想像させる小説より、絵で表現できる漫画の方が状況説明というのは分かりやすく描けるものだ。
実際、本作は小説より分かりやすくなった。
こう言ってしまうとあれだが、三浦先生は小説より漫画の方が向いているようだ。
小説の方は最近読めていないが、私が指摘した部分は改善されたのかな?
【最近の女子高生は…】
いくらなんでもロボットはないだろうロボットは!
最近の女子高生の嗜みに拳銃とスタンガンまでは良かったがロボットはちょっと脱力した。
まぁ、「ソナタ」も結構なんでもありな世界観だったからこれぐらいで驚いてはいけないのかもしれないが…。
でもその前のドミナが父親をクズ認定するまでの流れは大変自然で良かったと思う。そりゃ家に火をつけるわ。
真柴に決めてもらおうと思っていたというドミナの真意は?
ドミナは真柴に「品」を見出したようだが…?
と、気になるところで終わっていた。
続きも楽しみである。
「ソナタ」ともども頑張ってください。