【雑誌名】ベータマガジン
【作品名】ミシュガルドの秘境から帰れない
【作者名】何か憑かれたパタス
【作品URL】http://valor0end982.web.fc2.com/index.html
【キャラが多すぎる】
ミシュガルド漫画随一に登場キャラ数が多い。多すぎる。
ミシュガルドにキャラ登録をした他作者さんはとても嬉しいに違いない。
企画漫画としては最上の選択、しかしながら単独の一本の作品としては余りにまとまりに欠ける。読みづらい。
ミシュガルドキャラというのは1人1人が主役を張れるぐらいキャラが濃いので、それをいっぺんに漫画内に出すと味が濃すぎるのだ。
この問題はミシュガルド小説・漫画総じて良く見受けられる傾向だが、絵柄のためだろうか、なぜか本作はそれを強く感じた。コマが狭く感じるというか、ぎっちり感、煮詰まった感じ。多分遠景での状況説明が余り無いからかもしれない。
料理に例えるが調味料というのは味を調えるためにある。「味の宝石箱や!」となるよう、美味しく頂けるようにさじ加減を考えて欲しいところだ。
ただそれを差し引いたとしても、現状連載されているミシュガルド漫画の中では一番安定して定期更新され、ストーリー物として見ごたえがある。
しかも戦争ばっかりやってるミシュガルド小説組(ミシュガルド冒険譚を除く)と違い、ちゃんと冒険している。
ん? 冒険…いや、ほらおじさんは引きこもってるけど、2部のゼトセは冒険してるし!
【1部はともかく、2部から面白くなる】
一応、主役?のハルドゥおじさん。
これが常に「おうちにかえりたーい!」と泣き叫んでいる情緒不安定でうじうじしたおよそ主役らしくないキャラ。
1部はそのハルドゥと、彼を「おとーさん」と慕うファジュレイを中心に話が展開する。
だが、ハルドゥの魅力が私には余り理解できず、ギャグとしてもずっと同じネタを言ってるだけであんまり面白くはない。いや、程よく下品で援助交際とか野外露出緊縛のくだりは面白かったけど。
読み返してみたら、実は1部から結構その後の展開の伏線も張られてはいたし…。
甲皇軍とアルフヘイムが森で対立したりとかいう周囲の状況は面白いのだが…。
全体としては、おじさんが泣き叫んでいるだけの漫画という印象。駄目男が好きな女性のへたれ受けを狙っているのか? 私には理解できない。
ただ、2部からハルドゥの娘のゼトセ(ハレリア)が出てきてからぐっと物語は面白くなる。
ゼトセは悩みつつもがむしゃらに進む、とても主人公に向いたキャラクターをしている。
絵的な魅力も増していき、2部から出てくるゼトセ、ナツ、リエカ、フランなどの女性キャラはデザインのおかげもあってか非常に可愛い。
3部になるとハルドゥの過去に絡んだ戦争時代の描写も入ってくるし、情けないばかりと思っていたハルドゥの印象も変わった。
そしていよいよもって「これを読めばミシュガルドの雰囲気は大体分かる」というものに。
まさかここまで面白くなるとは当初は想像もしていなかった。
【ミシュガルド漫画最大の功労者】
とはいえ、それでもまだキャラクターシートをあらかじめ読んでおくのを求められる内容。
キャラクターシートをまったく読まず、漫画本編だけ読んでもミシュガルドワールド全体が把握できるようになる内容まで、あと一息というところか。
漫画でここまで描いてくれたのは、ミシュガルドという企画にとっては最大の功労者じゃないだろうか。
ゆえに、ミシュガルドをまったく知らない人に「まずどの作品を読めばいい?」と聞かれ、勧められる内容であってほしいなと思う。
続きも期待している。
エイプリルフールだから言ってる訳じゃないですよ(笑)