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★新都社11周年記念・作品感想企画★
コニー・迷走アニ研部

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【雑誌】コミックニート
【作品タイトル】迷走アニ研部
【作者名】きんじ
【作品URL】http://kinkin13.html.xdomain.jp/meiani/index.html




【安定のきんじブランド】
 新都社では4作目となるきんじ先生作品。
 きんじ先生作品というだけで安定した面白さは期待できる。
 ただ、「ちくわのあな」→「普通の女の子」→「わたしのせいじゃない」と作風がどんどん陰鬱な方向へとなっていっていたが…。
 本作では一転して軽妙で明るい作風となっている。
 というか原点回帰?「ちくわのあな」を色々と思い出させてくれる。
 夏美やかざみんの進化形みたいなキャラもいるし。
 今迄で最も一般受けしそう。
 きんじ先生が「ちくわのあな」を描く前に描いていた旧作をリメイクしたもののようだ。
 リメイクをしたくなるということはそれだけ自分の成長を感じてのことだと思う。
 実際、作画も話も前作までに比べ、数段レベルアップしたものとなっている。
 上手くすれば、comicoあたりで商業化も狙えそうなぐらい洗練されている。
 それでいて、これまで見られたきんじ先生の持ち味も継承され……。
 ……あっ、切腹とか欠損とか親の虐待とかそういうのは“今のところ”無いぞ(小声)


【ちくわのあなとの類似点】
 「ちくわのあな」の夏美っぽい顔した触覚キャラ・津京が主人公。
 前作までもそうだったが、触覚=主人公というのは継承されている。
 後に気付くが、「ちくわのあな」に出てきた夏美たちの担任がこの津京のようだ。柘植というキャラも明らかに土田の師匠だし。
 いや、「ちくわのあな」を読んでいた時から妙にちょい役のくせにキャラ立ってるなぁ?と思っていた謎が解けた。
 ということでスターシステムというか「ちくわのあな」より昔の時代を舞台としているようで、ちくあなファンには特に嬉しいところだ。
 コメントにもあったが幼女時代の夏美たちも見られるかもしれない。
 ただ、「ちくわのあな」をまったく読んでいなくてもこの作品単独で十分面白い。
 むしろこの作品からきんじ先生を知ったという方に、次は「ちくわのあな」も読んでみたらどうだろう?とオススメしたい。


【キャラクター設定が細かい】
 主に京都滋賀方面、一部兵庫もあるが、関西人には馴染みの深い地名が人名として出てきてニヤリとさせられる。
 「ちくわのあな」時代からそうだけど、本当に登場人物設定に深いこだわりが感じられる。
 身長・誕生日・血液型・好きな物などなど、細かく設定することでキャラクターをより生身の人間に近づけているのかもしれない。
 でも女性キャラの胸の大小を必ず明記するこだわりは必要なのだろうか。


【仕草が細かくて丁寧】
 作画的に技術が向上したからというのもあるだろうが、本作で最も感心したのは「登場人物の仕草が細かい」ということ。
 デフォルメされた漫画的なキャラでありながら、本当に生きた人間のように感じられる。
 例えば、第一話で津京がゲロをバケツに吐いた後、そのバケツをブレザーを脱いで洗っている。その津京のブレザーを瀬田が持ってあげている。
 後の話で「熟年夫婦のようだ」と言われる関係性がここで既に出ていた。
 これは一例だが、こういう細かい仕草がとても好印象。
 きんじ先生の絵柄はあっさり風味というか、デフォルメキャラは可愛いけど劇画調ではない。一枚絵だけで上手とは感じられないかもしれない。
 でもだからこそ、この第一話を見て、物凄く漫画が上手くなったなと感じたのだ。
 最新話でもジュースの飲み口を布で拭いてから開ける守山さんのお嬢様的な育ちの良さを感じさせたり。
 本当に丁寧だなぁ、それに適度にデフォルメされたキャラクターが凄く可愛らしい。


【生徒会組に見られる、作風の変化】
 きんじ先生作品といえば、必ず出てくるレズ。百合ではなくレズ。女性キャラは処女が多く、非処女はめったに出てこない。(前作はアレだけど)また、例外なく主人公は非リア充として描かれる。
 それに見られるのは徹底した男性排除の世界だ。モブキャラとしてちょろっと出てくるのがせいぜいで、大抵の男性はろくな扱いを受けない。
 ところが本作では、生徒会長のくせにムッツリで変態眼鏡という、実に「おいしい」男性キャラが相当なページ数を割かれ描かれている。力が入っているだけあり、好印象で感情移入ができるキャラだ。
 いや、本当に一般受けを狙うのなら、この変態生徒会長や会計の男の子のキャラ付けをしっかりしてるのは大正解だと思う。
 非処女と明言されている会計の女の子も実に良い味を出している。
 やはり、これまでの作風とは一線を画するようだ。
 レズも悪くないけど、やはり普通の男女の恋愛模様の方が一般層は取り込めるだろう。
 きんじ先生作品でNL(ノーマルラブ)となれば革命である。
 むせかえるぐらい“生理臭い”男子禁制の世界観が覆されようとしている。
 正直言って、これまでのきんじ先生作品は、きぼん作品でもないのに男性読者が読んであまつさえコメントしちゃったりしてもいいの?という立ち入りにくさがあったのだ。
 でも男性キャラがしっかり描かれることで、男性読者が「俺もこの中に混ざりたいなぁ」と感じることができる。
 だから、男性読者的には過去最高に面白い。
 天才ながら非リア充とされる津京だが、恋愛してリア充化したりするのだろうか?
 ただこの変態生徒会長が津京と付き合うというのは、まぁノーチャンスだろうなぁ……。
 あとやはり描きなれていないのか、“いかにも女性が描いた男性”って感じはある。
 話の都合上、勃起はしてたけど、例えば極端だけどバーボンハイム先生の描く勃起みたいな生々しさは無い。
 でもそこは逆に女性読者的には心地よいレベルの男性の描かれ方だし、加減が難しいところかもしれない。


【4/6追記】
 …十話・十一話見たけど、やっぱりレズ路線かぁ…。
 いや、悪くはないんだけどね、めっちゃイキイキしてるし。ナチュラルボーンレズだし。
 柘植に接する周りの人みたいな反応になってしまう。
 というか、きんじ先生もガチのレズなの?
 レズタチの習性とか初めて知った。
 漫画としてはとっても面白いです。

       

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