舞台裏の嘘や欲望が虚しく街を染めている。
月光を遮る雪は、より一層この街を変えていく。
いつ出会い、いつ別れるのだろう。
行き交う人々は仮初めの夜を過ごすのだろう。
凍りつくような車の中で毛布にくるまり、僕らも彼らと同じだ。
孤独を持ち寄って、傷をなめ合うように眠る。
温もりの中、握り締めた君の手の指輪だけは冷たかった。
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