いつの間にか雨上がりの夜。
ネオンと雑踏が乱れる大通り。
足元の水溜まりはそれらを反射し、ここをより一層煌びやかな街にする。
アルコールの効いた頭と身体には夢のように感じる。
行き交う人々はみな笑い語らい、道端に倒れている者でさえ微笑んでいる。
働き者たちの賛美歌は高らかに響き渡る。
その声をかき消すように一陣の風が吹いた。
僕は芯から凍えるような寒さに現実を思い出すと、夢の世界に背を向けて、ガード下へと足を進めた。
文芸新都 |