今夜もまた獣達の中で眠る
火薬の匂いと風の音に囲まれて
焚き火越しに見た仲間の顔は ずいぶんと痩せこけていた
銃を抱えて見る夢は 僕たちの勝利だけ
何の疑問もなく 考えることもなく ただ必死に生きてきた
明日の方角すら見失いそうな戦いの中で
人を殺した事があるかい
僕は迷わずに何人も殺ってきた
それはいい事だから 褒められる事だから
それが僕の明日を保証してくれるし みんなが望む事だから
大人に教わった
立ち止まって振り返るなと
考える前に引き金を引けと
そんな大人を信じてた
彼らだけが正義だと信じてた
今日 爆弾を渡された
身体に巻いて走れ これはお前にしかできないと
嬉しかった 認められた
時間になると 僕は予定どおり敵に向かって走った
銃声のとどろく音が止むことがなかった
だけど僕は止まらなかった
変わりに激しい痛みが体を走った
目的地を前に 薄れてゆく意識の中
僕が見た夢は 僕たちの勝利だけ
澄みきった空に 勝利だけ