Neetel Inside 文芸新都
表紙

-5℃
7月20日(野狐禅)

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芸術を縋る彼を見ると

とても辛くなる

彼を芸術に命を捧げるまでに

誰がここまで追い込んだ 

いつも思う 

傑作は遺書だ

     

晴れてるサッカー場

チームメイトが病気になったら

自分の出番が増える 喜べと

体罰教師が 叫んでる


君は 暗がりで

助けを待ってる

君の 日常生活だ

気が狂うのは

治す為に読書をしてる


マッシュルーム 空飛んだ

散文詩が好きだ

想像を引き立てる

これはルーシースカイウィズダイヤモンド

これはイエローサブマリン


同性愛者 共和国

好きならそれでいいじゃん

生活苦で 首を吊る人間は

戦争で亡くなった数より多い


童心を覚えてるかい

自由を愛したい

晴れたサッカー場

常識は18歳までに植え付けられた

差別と軽蔑のことだよ


全てを疑って 遂に全てを捨てた 

綺麗な空には 憧れだけが 浮かんでる

恋焦がれてる

     

悲しいくらい お人形遊び
自分の世界の中で
言葉を交わしたふりをして
誰とも繋がっていない

僕の言葉に誠実なんて感じない
僕の心に正直なんて感じない

悲しいくらい エゴイスト
自分の妄想の中で
何かをメッセージに変える
都合の良い希望に浸る為に

僕の言葉に生活感なんて感じない
僕の心に正解なんて感じない

どこかで 自分の事を
何かの犠牲者だと
勘違いしていたんだろう

その正体は 誰の事も思わない
被害者どころか 加害者ですらない 
虫以下 卑怯者 宇宙の塵

酔わせるつもりだった

僕の言葉に絶望なんて感じない
僕の心に希望なんて感じない

僕の気持ちに反省なんて感じない
僕の行いに誠実なんて感じない

     

道を逸れて 地面に倒れ込む
野草を食べて 川の水を飲む
ある程度の人を愛してる
ある程度の人を消えろと憎んでる

地中の虫の這いずりは
綺麗な音楽を生んでいる
クラシック音楽を好きと言ってれば
悦に浸れる時代も終わった 好都合

生きている事は幸せだと
確信を持って言いたいのに
たまにさっさと死にたくなるのは
一体どうしてなんだろう

星なんか興味ない
彼女にちょっと夢見てるぐらい
好きになってる
焦燥感と罪悪感と陶酔感の文学

生きていくには これだけで
充分すぎるくらいの栄養だよ

いいから 野犬を探せ
とりあえず野犬を探せ
数年前に見た野犬はどこだ
畜生談を読んだから
夏用のシャンプーも用意した

たまにさっさと死にたくなるのに
生きているのは素晴らしいと言えと
強迫観念に怒鳴られて襲われる

そんな時間を生きていけるのは
全然普通

     

空の色は消えた
優しさも消えた
迷いを捨てたのか

昔 天才だったのは
俺の痛い勘違いなのか
俺が潰されてしまったんだろうか

スマホを眺めていた
頭が真っ白になった
錠剤を飲んだら
どうでもよくなった

感傷の風景画 失ったのか
目に見える全てが 悲しかった
感傷の風景画 燃え尽きたのか
目に見える全てが 疑問を投げかけた
なのに

彼女の優しさを
ぼんやり 思い出す
漠然と 陶酔しながら

確か あの娘が
手首を切るまで
追い詰めたのは
善人を気取ってる
俺自身だよな

感傷の風景画 焼け付いていたのに
目に見える全てが 虚しかった
なのに

特別に憧れていたのか
馬鹿な勘違いなのか
世界は平等に 全ての人は
取るに足らないゴミなのか
全ての人が 特別なのかも知れない
俺だけが取るに足らないゴミかも知れない

感傷の風景画 消え失せたのか
自己陶酔と一緒に
どこにも辿り着けない線路を
何も疑わずに 
罪悪感だけで歩いていた
なのに

     

世界の終わりを
漠然と望んで
微笑っていたガキが

世界は 本当に
終わっていたと知って
蘇ってくれ
そう叫ぶ人間になった

本当に終わったのは
俺自身で
他の人の世界は 
終わっていない

「自分を卑下して
 何の言い訳が欲しい」

屁理屈を捏ねるなら
地面がないと 建築はできない
人間にも一番下のクズが必要だ
その地面になるんだ

「文字通りの屁理屈だね」

綺麗に泣いて 布団に潜る
そんな真似もしない

明けない夜はない なんて
綺麗事を吐きながら
痙攣もない 静かな夜

それを綺麗だと 
汚いツラで思いながら
漠然と時間を無駄にする

     

ゴミを見る目に
気が狂いそうな
羞恥心と自己否定の深夜

人間以下の方法で
人間扱いされてきた
過去の栄光に縋る

ブランケット 引きちぎる
踊ってる 見世物小屋
奇妙な耐え方に嘲笑う

壁に瞳孔の開いた
無数の目があるのは
誰かの監視じゃない
醜い自意識過剰

動物扱いされたら
不満だと喚いて
動物扱いじゃなくても
不満だと喚いてる

結局 全部気に入らない
自分自身の器量の不足

「死んだ方がいい人間って
 本当はいるんだよね
 皆は言わないけど
 何を怯えてるんだろうね」

誰に遠回しに言ってんの

ブランケット 引きちぎる
踊ってる 見世物小屋
奇妙な耐え方に嘲笑う

     

「お前の為にやってんだよ」
殴打 8針

「お前みたいな奴は消えたらいい」
恐怖 病院

もういいってば

「今まで心配して、色々やったけど
 もう手遅れだよ 
 生まれてくるべきじゃなかったよ
 お前は」

もういいってば
 
「他人の顔色を伺う
 卑怯者のコウモリ人間だね」

顔色を伺わないと
人間は殴ってくるだろう

「お前の為を思っている
 殴る方も心が痛いんだよ」

薄ら笑いを浮かべて
悦楽的な暴力に人間は酔う 

「つまんない人生、お疲れ様」

ひたすら謝れ 

「お前の母親に入ってたローターだよ」

ひたすら愛想を良くしろ
とにかく大袈裟に笑え

「何年前の話引きずってんの
 お前はオカマかよ」

ひたすら謝れ

精神病院のテレビで
加藤智大を見た

もういいってば

     

昨日に縛られずに
息を吸えばいい
明日に夢を見ないで
息を吐けばいい

空洞になればいい
透明になればいい

びっくりするくらい
実態のある事なんてなかった

文字も記号も全部
ふわふわと浮いている
空っぽのまま

誰かには優しくて
誰かには冷たい
そんな生活をすればいい

天気予報は
どうでもいい

どっちに転んでも
実態はないのさ

     

火を触らなければ
火傷はしないから
記憶を失えばいい

そうやって
自分の名前も忘れて
透明になっていく

なんだか理想のある世界

幸せなんか要らない
生きていく上で必要ない
自分の心を忘れて
自分の気持ちを忘れて
自分の全てを忘れて

綺麗な透明
ほら できたでしょう

     

その真っ白 魔法
その真っ白 魔法

祝福を受けて
いつでも 
物をよろしく

その透明 綺麗
その透明 綺麗

繋がって とても静か
その透明 言葉はない

欠伸をするとき
静かな多幸感

子供に戻る
その透明
体から魂が抜ける
混ざって 一つになる

意識は遠ざかり
あなたも綺麗に
透明になる

そのぼんやりが全て
綺麗に何もない 
透明な空

     

苦痛に耐えられず
彼は自分を忘れた
記憶喪失になった

その透明を
悟りの境地と
喝采している

実態がない
くだらない

       

表紙

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