Neetel Inside 文芸新都
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ヘンプロって何のプロ?
自作解題その1・休載によせて

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本作品群「ヘンプロって何のプロ?」は、アニメ「SHIROBAKO」を観ているときに思いついたものです。「SHIROBAKO」はアニメ業界の、特に進行管理役の目から見たアニメ業界の話ですが、あの悲喜こもごもを編プロ版でもやってみようと思って、ずっと封印してきた編プロ時代の記憶を引っ張り出してきました。思い出が腐りかけているのか風化して色褪せたのか、不思議と怒りや恨みはそこまで戻ってこず、おかしな日々だったことをある種懐かしむような気持ちで書けました。

……が、「#1」を書いてみて愕然としました。実りのない激務だったからか、「SHIROBAKO」のようなチームワークややりがいがどう書いても文章に乗ってこないので、あんなフザケた文体になってしまったのでした。

まあ、しゃーない。ということで、いっそこれまで自分があまりやってこなかった表現を盛り込んだ、シュールレアリズムありコメディありナンセンスありの「ねるねるねるね」みたいな小説を書いてやることにしました。
以下、各話の解題です。

#1
マジックリアリズムと言えばいいでしょうか。編プロの社内ってデスクにはPCと積み重なった書類、壁際には複合機とこれまで作った本と参考文献が並んだ本棚しかないので、時空間を超えでもしないとやってられないんですよね。「初天神」の世界にでも飛んでいかなきゃ気が狂ってしまうんですよ。

#2
これはわかりやすいですね。殺人事件の捜査が編集者の仕事のメタファーになってます。コナンの映画を観まくっていた時期なので、オープニングをがっつり拝借して以降は思いっきり舵を振り切った感がありましたが、結果そこそこうまくまとめられたと思います。文芸新都の「文芸」にもツッコミをかませたので、自分でも好きな作品です。

#3
ちょっと#2を上手く書けて調子に乗った感がありますね。ファッション誌のレイアウトを参考に本を作っていたという経験をこんなふうな話にしてしまいました。
「狂気を感じる」というコメントをもらえて本望です。今の文芸新都からは狂気を感じられる作品は無いので。

#4
主人公がサカグチばかりでも面白くないので、別の角度から色っぽく絡めたいと思って考えた話です。取材モチーフの話は他のアイデアも色々あるので今後また書ければとは思うのですが、今回は割とストレートな取材事情を書いていますね。
ジェリーランドはコメント欄でのご指摘通りです。ヘブンイレブンとローソクはそのまま(?)ですが、ベンリーキングはベン・E・キングのもじりだったりします。
冒頭の歌は「運命’95」という歌です。99年にNHK教育の某番組でカバーされて認知度が増したという一曲。

#5
全編旧仮名遣いで書こうと思ったらなんとなく雰囲気でうっすら擬古文も入ってしまって中途半端ですね。やるならちゃんと調べて振り切って書かなきゃいけません。とはいえ普段と違うことやってみたので次への足掛かりにはなりそうな気がします。
サゲのイメージは神田松之丞。

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ひとまず本作は休載にします。思いつくモチーフはぼんやり浮かんでいるのですが、ここに上げ続けるのはあまり実りがないという感触なのと、別テーマで長編を書く準備をしなければならない衝動にかられているので。

次は聖書か日本の古典に取材した話にしたい。あとは青木繁という画家の話も書きたい。もし上げるアテがなければまたここで読んでもらえたらと思います。あと息抜きで「ヘンプロ〜」も何作か上げるかもしれないし。
あと昔ここに上げて消したストリップ劇場の話、モデルにした広島第一劇場が5月に閉館してしまうこともあり、文章を残しておくために再掲載するかもしれません。

ではまたそのうち。

       

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