Neetel Inside ニートノベル
表紙

不人気叩かれ文芸作家の僕がプロデビュー…
16・エリナとデート??

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次の日、僕はレンタカー店で軽トラを借り駅前ロータリーで待っていた。

エリナは早速今日から僕の住むさくら荘3号室に引っ越すというのだ。

だから必要な家具や生活用具なんかの買わなければならないのでこうして手伝う事にした。

駅からエリナが出てきた。

淡いピンクのシャツにデニムのホットパンツを着て、金髪をたなびかせながら僕に手をふって駆け寄ってくる。

長くすらりと伸びた腕と生足がまぶしい。

生きたフィギュアかはたまた現実世界に迷い混んだ妖精さんか、図抜けて綺麗で可愛い。

ガチャ

エリナが体を弾ませて
「はぁはぁ
お待たせして、申し訳ありません!」と助手席に飛び乗った。

僕は
「そんな走って来なくても……転んだりしたら危ないよ」

「わーお、先生に心配されちゃった♪
でもねエリナ、一秒でも早く先生とお話したくって」

はだけたシャツの下は白ニットのノースリーブ。

ツンと突き出た胸を、斜めがけのショルダーバッグで強調している。

「その格好だと寒くない?」

「Nej! 今日は先生とドライブデートだもの!!
いっぱい生エリナを見てほしいからこの格好!」

「違うでしょ、今日は買い出しに色々回らなきゃ」

ブロロロ

国道に乗って一番近い大型ホームセンターに向かう。

エリナが叫ぶ
「あー楽しみ!ずーと先生と一緒!
ねぇねぇ夜は何して遊びましょうか?」

「お仕事の為に引っ越したんでしょ!
それに下には桜子さん達がいるんだし……夜まで騒いだら叱られるよ」

「桜子さん…桜子さんね…
そうそう、桜子さんから料理も習わなくっちゃ。
先生は桜子さんみたいな家庭的な人がいいんでしょ!」

「いや、あれは理想というか妄想というか……そもそも僕なんかが誰かと結婚できるとは思ってないし」

「確かに桜子さんのママみは凄いけど、でもあたしはおっぱい以外はいい勝負になるつもりなんだけどな」と座席であぐらを組んだ。

長い足が僕の腰に当たる。

思わず……見てしまう。

エリナはホットパンツの裾をめくり
「ねぇねぇエリナのほらココ、キレイな三連ホクロがあるの。見ます?」と言って、開いた太ももの内側を撫でている。

太ももはティーカップのように素敵な曲線を描いてて真っ白でツルツルすべすべ……目線を5ミリ下げるとおパンツが見えそ……ダメダメ!

僕は急いで視線をそらした。

「ほ、ほら、もう着くから足閉じて!」と言った。

何とか脇見事故を起こさず、ホームセンターに着いた。

エリナは車から降りるとすぐに腕を僕の右手に絡み付ける。

「エリナ! やめてよ、恥ずかしい」

「Nej! ストックホルムではこれが普通よ」

「ここ日本だしエリナは日本人なんでしょ」

「じゃ、恋人繋ぎ」

じゃ、ってなんだよ! さっきから会話が噛み合ってないし!

僕の言葉を無視して、がっちりと手を絡ませてくる。

他のお客さんがジロジロ見ている。

これじゃ美女と野獣じゃなくて妖精とキモ雑魚キャラ……

家具コーナーをまわっていると店員さんが
「あら、お二人の新生活のご用意ですか~?」と声をかける。

違いますっ!、と言おうとするとエリナは
「そうなんですよ、ダーリンとの新生活の準備です!!
やっぱり分かります!?」

店員さんは
「ええ、とてもお似合いですから。
それにしても日本語お上手なんですね!」と答えた。

お仕事だからしょうがないのだろうけど、お似合いはお世辞すぎでしょ。

エリナはその店員さんと家具の相談をして机や椅子、カーテンやソファーなどを見繕ってゆく。

その間、僕の右手はずっと繋がれっぱなしだった。

大型の家具や電化製品は後で配達してもらう事にして、後は車の荷台に載せてもらった。

帰ろうとするとエリナが
「ちょーっとお花を摘みに」と言ってトイレに向かった。

ふぅ、やっと手が自由になった。

でもエリナの指は細くてしなやかで気持ち良かったなぁ。

僕はトイレ前のベンチに腰をかけて待っていると
「あれれw? 牧野じゃね?」と声がした。

見上げると、以前のバイト先のバイトリーダー(自称)網田さんが立っていた。

僕は
「あ、どもお久しぶりです」と頭を下げた。

網田さんは良く言えば陽キャなんだろうけどパワハラ、暴言が酷くてみんなから嫌われていた。

面と向かってみんな文句を言えなかったのは彼が格闘技をやっていると吹聴してたからだ。

「なンか、お前雰囲気変わったな 。
でwどうした? こンなところでww」

「いえ、友達の家具選びに付き合って」

「ウェwwwwwwお前友達なンかいたんだ笑
バイトの休憩中はずっとスマホポチポチして小説なんか書いてたのにな。
端から見てたらまじキモかったのにwww友達いンの?
そういやさー、お前に声かけてやってさー、みンなの輪に入れてやってさー、かー!苦労したわー。
バイトリーダーともなると色々面倒みないといけねーからホントつれぇンだわ」

「はは、その節はどうも……」

「かー!やっぱお前のそういう所キメェ、やっぱキメェわ。
ノリおかしいわww
社会じゃ、そういうの、通用しねぇから。
で今なにやってンだよ」
と僕の頭を掴んでぐりぐりと回す。

その時
「ダーリン、お待たせですわ」とエリナがトイレから出てきた。

エリナは僕の頭を掴んでいる網田さんの手を無言でパシリと払いのけた。

網田さんは
「なンだオメエ、だ…ダーリン?
牧野とどういう関係だ?」とエリナを指差す。

「あたし?
あたしは牧野ヒツジ先生の公私に渡るパートナー」

「せ…先生?
金髪碧眼白人美少女様が??
ぱ、パートナー?」

「そう、つまりこういう関係」

そう言ってエリナは手のひらで僕の顔をそっと包むと頬にキスをした。

うわっ!

「ja! これでお分かり?」

網田さんは
「なンで牧野に社会カースト一軍……いや名球会400勝投手クラスの彼女がいるンだ!」と顔を真っ赤にして叫んだ。

「Tack! たくさん誉めてくれてありがと。
ちなみに私たちね、一つ屋根の下で暮らしますの。
今日はその新しい生活に向けて、その買い出しなの」

いやまぁ確かに……嘘は言ってないけど。

その時、遠くから
「ぎゃあぁああぁぁぁぁあ」と叫び声がした。

       

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