不人気叩かれ文芸作家の僕がプロデビュー…
53・楽しく苦しい療養生活??(2/2)
「き、希春……ゲホッゲホ」
「Nej! ウソ言わないで!!ダーリンと希春がキスなんて……いつよ!?」
「いつって……金曜の夜の秘め事♪」
「lura!その夜はダーリンはずっとアパートにいましたもんねー!
妄想し過ぎて夢と現実が分からなくなっちゃったのかしら?」
「ふん、ビデオ通話していた時にチュッてしたの。リモートチューよ♪」
「なんだ画面越しか」
「だけどキスはキス♪
気持ちが通じていれば直接かどうかは関係ないの♪」
「Nej!ふん、どーせダーリンに無理難題ふっかけて無理やりやらせたんでしょ!!」
エリナ……それキミが言う?
「……ッ!……いーでしょ!
ヒツジくんがあたしにキスをしたという事実が重要なの♪」
「Se! 今の間なによ!?図星なんでしょ!」
エリナは両手を腰に当て胸をつき出して勝ち誇ったように
「ふーん、あたくしなんか生でキスする5ミリ前、NK5までいきましたからねー!!」
「何で5ミリ以上進めなかったのよ!?」
「その……その時、クモが出てきたからびっくりしてムード壊れて止めちゃったけど……あのままいけば生チューでしたの!!
画面越しなんかでいい気にならないで!!」
「ヒツジくんそれ本当なの?」
「牧野さん、そんな……」
「牧野先生……ウソでしょ!」
「牧野クン、やっぱ白人美少女が好きなんけ?」
「お父さん……あたし……悲しい……」
「い、いや。あのあの……あの時はエリナが、その……キスしないとイラスト担当降りて引退すると言い出すから……その……その……」
「アハハハハ」
突然、楓ちゃんが大笑いしだした。
「あー可笑しいー! 間接キスだとか画面越しのキスだとNK5か小学生みたいアハハハハ」とお腹を抱えて笑う。
「な……なによ……楓ちゃんリアル小学生じゃない」
「Nej!か楓ちゃんは子供だから分からないでしょーけど」
「残念でした。楓、お兄ちゃんとキスしちゃったもーん」
「ウソウソ、嘘でしょ!?」「え?え?え?」「ま、まさか」
楓ちゃんは
「男女二人、密室、停電のさなか。何も起きないはずがなく……」ともったいをつける。
ダメダメ!言っちゃダメだよ!!ヤバヤバ、変な汗出てりゅ……
「まきまきまき牧野先生!
楓ちゃんは美少女でお肌もツルツル、出るところも出て禁断の性的魅力を感じるかもしれませんが、手を出したら一発アウトですから!!」と澪奈さんが血走った目で僕をにらむ。
「てててて手なんて出してません!
ぼぼぼ僕は動ける状態じゃないし、楓ちゃんはその……真面目に看病してくれてただけで……かかかか楓ちゃんの冗談ですよハハハここ笑うところですよ」
僕の思いをよそに楓ちゃんは
「飲み物も食べ物も全部口移しであげちゃったの。これってキスなんでしょ?
そして夜はね、お兄ちゃんの熱を冷ますために裸になって抱きしめたの!」
「牧!野!先!生ッ!」
怖すぎて澪奈さんが見れない。
「いや、その、あれは救護というか人命救助だったし……ほらマウス・トゥ・マウスの人工呼吸と一緒というか……あわわわわ」
楓ちゃんはお腹をさすり
「そして楓の中には今お兄ちゃんとの赤ちゃんが……」
「「「「「「……」」」」」」
皆が動きを止めて絶句する。
「まぁ赤ちゃんはウソだけどね」と楓ちゃんは舌を出して笑う。
その時、桜子さんは
「そんな……楓と牧野さんが……」と呟いて気を失い、フラリと体勢を崩すとドサリと僕の上に崩れ落ちた。
ポヨン、ムニュ、ムニュっと倒れた桜子さんのお胸が僕の胸板で踊る。
なんちゅう触感じゃ……なんて思ってる場合じゃないか!!
「大丈夫ですか!!」と僕はとっさに桜子さんを両手で抱きかかえた。
そして床に崩れ落ちないようにベッドに引き上げる!
ふうっ……
「え?ヒツジくん!動けてる」
「mirakel! ウソ!奇跡!!!」
「どーいう事だべ!?」
「牧野先生、復活!?」
え!? 自分でも信じられない……
あんなに頑張っても言うことを聞かなかった体が動いているなんて!!
「これってまさか桜子さんの癒しパワーたべか??」
「jya! おっぱいパワー略しておっパワー!!」
「いえ、回復魔乳と言うべきかしら……」
「うーん……」と桜子さんは意識を取り戻したようだ。
「大丈夫ですか?」と僕が声をかけると桜子さんは「え?牧野さん、この格好……」と顔を赤らめる。
ちょうどベッドに桜子さんと添い寝をしている形だ。
「ごめんなさい牧野さん……」
「桜子さん……そのままヒツジくんをハグしてみて」
「こ、こうですか?」と桜子さんが僕をそっと抱き締める。
紅潮したお上品エッチな首筋が迫る。
柔らかく暖くふくよかなお胸に頬が押し付けられる。
ホットミルクのような甘くて優しい匂いに包まれ、悩みも不安も消え去るような暖かな気持ちが満ちてきた……これが涅槃ってヤツでしょうか?
「あれ?体が軽くなったような……」
僕は自力でベッドを降りて二、三度軽くジャンプをしてみた。
「え?え?え? 何だか元通りになったみたいです!!!」
「「「「「「「えええ!!」」」」」」」
ガチャリ
その時、結城先生が飛び込んできて
「牧野師匠!!とりあえず新都社の作品登録ってしてみたんですけど、ずっと空登録って表示が出て………
え? あれ? 師匠が立ってる……治った!!?」