Neetel Inside ニートノベル
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不人気叩かれ文芸作家の僕がプロデビュー…
7・コメント返信とオマーン国債の暗黒面

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次の日はバイトが休みだったので、僕はコメント返信にあてる事にした。

大事な大事な感想なので一つ一つに心を込めてお礼をのべる。

みんな貴重な時間を使って僕の作品を読んで一円にもならないのに感想をわざわざ書いてくれる。

こんなにありがたい事はない。

だが、
「ウンコ作品」
「つまらん」
「早く消えろ」…など以前のような叩きコメントがたまに現れて気持ちが沈むことはあるが。

こういったコメントは全てスルーした。

作品のどこが気にくわないのか具体的な指摘があればお返事することも出来るのだけど、単なる悪口に割く時間は惜しい。

その時間、ちゃんと読んだ方への返信にあてた方が良い。

せっせっと早朝から昼まで休みなく書いたが半分しか返せなかった。

けどその倍もの新規コメントがついている。

昼からは気分転換がてらに買い物をして、それから寝るまでずっとコメント返信を書きまくった。




オマーン国債(PN)は仕事で疲れた体を湯船で癒やし、風呂上がりにシートマスクで顔パックしながらソファーに寝転ぶ。

iPhoneで新都社の最新コメント欄をチェックする。

夜になっても牧野ヒツジ『雲海のフーガ』の感想で埋め尽くされている。

怒りでビクッと額の血管が盛り上がる。

牧野ヒツジがそれに一々丁寧なコメントを速攻で返しているのが更に憎悪を加速させる。

「チャット気取りで即レスしてんじゃねーぞ、クソ童貞が! 善人ぶりやがってッ! ぶっ◯すぞ」と毒づいた。

『雲海のフーガ』のせいで朝に更新した自作『ゲリベンうどん』へのコメントが埋没している。

チッ、コメントが少ない…

やはり祭り状態で全部『雲海のフーガ』にコメントを持って行かれているのか?

今回は○ムケイをダンプで轢き殺して生首を橋の欄干にさらすというネタをぶち込んだのだが全く伸びない。

この大都会でクソみたいな仕事とクソみたいな人間関係の中でどうにかこうにか精神を保っていられるのも、負の感情を液タブにたたきつけたマンガ創作とそのコメントに支えられているからなのに……

知らず知らずのうちに
「ギイイイィィィ」と奇声を少しばかり発してキチゲージを解放した。

そしてもう一つの精神安定剤は叩きコメントを書く事…

『雲海のフーガ』のコメント欄を開き、すぅっと息を吸い込む。

「いい気になるなよ、この底辺作家」と打って手を止めた…悔しいがもう、ここまでくれば底辺ではない。

では何と入れる?

「この童貞ファッション糞野郎」…いかん、これでは会ったことがモロバレ…前回のオフ会に参加者だと察せられる。

なにか、こうもっとトゲのような言葉は無いものかと探したが結局
「バーカ」とだけ入れた。

コメント返信はオマーン国債のそれを素通りして続いている。

頭の奥の血管が破裂しそうになる。

「無視してんじゃねぇぇぇ! このクソ野郎がっ!!!!」

怒りで血が沸騰してシートマスクの保湿成分が一気に蒸発した。

       

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