【E作戦】
――風流視点で、
朝の揉め事から命からがら脱出し、何とか登校する事ができた、
校内に入るなり後ろから声をかけられる。
「でたな、リアルエロゲー野郎ッ!」
「好きでこんな状況になったんじゃねぇッ、このエロゲオタ野郎ッ!」
とりあえず朝一番の挨拶を交わしてみる、
「とりあえず妹を僕にください義兄さん」
「死ねっ!!」
右ストレートが亮のを頬に吸い込まれる様にヒットした、
俺の目が黒い内は……否、白くなってでも妹に男は近寄らせん、
妹は俺が幸せにするっ!!
「相変わらずのシスコンぶりで……あーあいいなーいいなー俺も妹ほしいよ」
亮が頬を摩りながら嘆く。
「んぉ、お前さんにもいるじゃないか、えーっと名前が出てこない」
「宇宙人の事か? アイツは駄目だ、
俺が気を許したとたんにアイツはきっと……きっとおぉぉおおお」
そう言いながら頭を抱えて絶叫する、周りから目線が痛い、
「そういうお前も相変わらず電波だな……」
そんなにお前と大差は無いと言う亮と二人で自分達の歪みに苦笑した、
ある意味とても似たものどうしなのではなかろうか? ……御免だが、
亮も同じ事を考えてたらしく、なんとも微妙な表情をしていた。
そんな中突如背後から怒鳴り声が聞こえた、
「こらっタブル吉原! 廊下をぼーっと立ってるんじゃない、通行の邪魔だ!」
そこに立っていたのはちんまりとしたえらくご立腹中の幼女……、
じゃなくて校則の名の下動く生徒会執行部の佐々山さんだった。
とりあえず言われたとおり道を開ける、
そこで佐々山さんは自分達を一瞥してから不満げに言った。
「全く、最近の男子は人としての常識を心得ていない、困ったものだ
ついでに君達からはあまり良い噂を聞かない、何をしているかは知らないが
何か問題を起こしたらそれなりの対処をさせてもらうぞ」
そう言い終えて佐々山は鋭い眼光で睨む、
正直びびる……自分より小柄で背が小さいのにここまで威圧感があるとは……、
亮は何故か幸せそうな顔をしているが。
数秒睨みつけた後、ふんっという鼻息と共にスカートを翻して行ってしまった、
「ふ~、やっぱりロリツンデレは最強だな……」
「またお前はそんな事を思ってたのか……正直引くぞ」
「ふん、リア充のお前にはわかるまい……二次元の素晴らしさぉぉぉおおおおおおお!」
何故か泣きながら叫んでいる、つくづく理解できない、
さて、そろそろ予鈴だ教室に入ろう。
「あぁ、そうだそうだ、近藤の奴が部長さんから新しいエロゲーもらったらしいから借りにいかないか?」
行かネーヨ。
亮の奴を無視して教室に入った、そこには変らない日常が……
「おはよ~、割と遅かったねぇ」
あるはずだった……、って何で姉貴いるんだよっ!
つれないなぁ~とカラカラ笑う、
「姉貴は三年だろっ、何で二年の教室にしかも俺の席に座ってるんだ!」
「いや~可愛い弟がちゃんとクラスに馴染めてるか見にきただけさ~」
うぅ、クラスの視線が生暖かい、嫌だッ、こんなのが俺の日常として認知されるのが嫌だっ!
「もうすぐ先生来るだろ、早くに教室に行けよ」
焦りもあり少し強めに言う、だが姉様はそんなこと気にせずニコニコと、
「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんちゃんとみてるからさ」
「いや自分の教室に行けといったんだぁぁぁああああ!!」
えぇい、姉貴が教室を出て行かないと言うなら俺が出て行く
目指すはビバ妹のいる美希の教室へ。
とりあえず姉にはトイレと伝えて、教室を出た、
「もう、わけわからない事言ってないで早く教室に入るわよ、あの先生来るの早いんだから」
「煩いっ! 宇宙人が俺に指図するなぁぁああ、どうせ俺は人として軸がぶれてるよっ!」
亮とそれを引きずるように連行している女子がいた、とてもシュールな光景だ。
「お~い、どうしたんだお二人さん……もうすぐチャイム鳴るぞ」
「あぁ風流君、亮が友人から借りたゲームをしたいから帰るってきかなくて」
またか……まぁ何時もの事だ、亮は一度言い出した事は何があってもやり通す奴だからなぁ、
ただ普段そのやる気が変なベクトルに向いているわけだが。
「いよぉ、風流じゃないか手に入ったぜリ○ルバ○ターズ、クドは俺の嫁ぇぇえええええ」
叫ぶと同時に仮名宇宙人が亮の後頭部を叩く、
なんとも絶妙なタイミングだ、きっとこのタイミングを掴むまでに血の涙を流すような日々があったに違いない、
「ごめんね何時も亮が迷惑かけて」
そうはにかんで、亮をひきずって行った、
さて、俺も行くか……。
「震えてるのわかんねぇえようにししってやれぇぇぇえええっごっふぉ」