Neetel Inside 文芸新都
表紙

【18禁】ちんちん小説集
ペニスで打つ

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 最後のバットが折れた。
 八番打者、久慈の打ち上げたキャッチャーフライが捕手のミットに収まる瞬間、久慈が見ていたのは打球の行方ではなく、真っ二つになったバットの方だった。

 僕らの貧乏弱小野球部が、高校野球県大会決勝まで進めたのは、変態的な努力の賜物だった。詳細を記すと高野連に永久追放されるため、残念ながらここには書けない。監督が代打を告げる。僕の名前が球場に響いた。

 バットはないがちんちんはある。僕の長すぎるちんちんが役に立つときが来たのだ。ぎんぎんに勃起させた僕のちんちんは、ちょうどバットと同じくらいの長さになっていた。球場がざわつく。「あれちんちんじゃね?」という声も聞こえてくる。しかし僕は打席で冷静にちんちんを構えた。主審は僕の実の父親だった。母と離婚してから顔を合わせるのは五年ぶりとなる。予想通り僕のちんちんバットを見逃してくれた。相手チームの監督は僕のセックスフレンドである。当然見逃してくれた。

 部活での三年間の思い出が走馬灯のように蘇る。ろくなもんじゃない。それだけでなく、長すぎるちんちんを抱えてきた僕の人生も。この一振りに、全てを賭ける。相手投手が「マジか」と言いながら投球動作に入り、投げた。僕はちんちんをフルスイングした。

 ボールを打った瞬間、あまりの痛みで気絶して打球の行方は分からなかったが、ファーストフライでゲームセットだったとのことだ。ヒット性の当たりでもどのみち走れなかったから同じことだ。

 入院中の僕に届いたのは、部のバット全てに地道にヒビを入れる細工をしていたのがバレたことによる退学勧告と、ちんちんバットが問題視されての、高野連からの永久追放の通知だった。僕の野球人生は終わった。だけど僕の本当の人生はこれから始まる。ちんちんに振り回されない人生が。折れたちんちんは手術により半分の長さになっていた。

     

※いつもより早く起き出した娘がタブレットをいじる横で、私は「ペニスで打つ」を書いていました。書き終えて投稿し、家族の朝食用のウィンナーを焼いている間に「高校野球って金属バットじゃね?」と気が付きました。続いてもやしと人参とホウレン草とベーコンを使った炒め物を作りながら、「これはまずい炎上する」と心配していました。子どもたちを学校に送り出した後、この追記を記しています。自身の未熟さによる検証不足で、作品のリアリティを著しく損ねてしまいました。読者様に不愉快な思いをさせてしまったかもしれません。お詫び申し上げます。今後はこのようなことがないよう注意し、誠心誠意書き続ける所存でございます。誠に申し訳ありませんでした。自省と今回の過ちを忘れない意味を込めて、作品はこのままの形で残しておきたいと思います。

※高校野球だからといって木製バットを使用してはいけない、というわけではありません。実際に木製バットを使用した選手もいます。

       

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