気がついたら俺はソファーの上に横たわっていた。
知らない部屋だ。
時計は3時を指している。
ドアの奥では誰かが話しているがよく聞き取れない。
しばらくしてそのドアから誰かが入ってきた。
20代後半に見えるその男は俺の反対側にあるソファーに座った。
俺も体を起こし、男と向かい合った。
「君は……昂介君だね。」
「そうですけど。」
寝起きのせいかまだ頭がボーっとしている。
「突然だが、君に伝えることがある。」
よく見たらこの人の後ろにはあの運転手がいる。
「君は、魔法使いなんだ。それもただの魔法使いじゃない。才能に満ち溢れているんだ。」
「はぁ!?」
「驚くのも無理は無い。だが事実だ。」
いや、事実とかそんなのは関係ない。
やはりこの男も怪しい連中の中の一人だろう。
「証拠を見せよう。」
男はそういうと俺の右手を持ち、手のひらを上に向けた。
すると、俺の右手から白い光の球が現れた。
驚くと同時に夢だと思いたかった。
「夢じゃないよ。全て現実だ。」
光の球は俺の手を離れ、空中でその形を変え、炎の球になって静かに消えた。
「分かったかい?君は魔法使いなのさ。」
あまりの非現実な現象にしばらく声が出なかった。
ようやくここはどこなのかと聞くと男は、
「ここは君と同じ魔法使いが住む大陸『アトランティス』だ。」
とだけ答えた。
そうなるとこの男やあの運転手のオッサンも『魔法使い』なのだろう。
いやはや、とんでもない世界に足を踏み入れてしまったものだ。
「当然、来週から学校に通ってもらうよ。」
「……魔法の…ですよね?」
「そう、君が通うのは『第三魔法学校』だ。」