Neetel Inside 文芸新都
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うはw急に新しい家族が出来たww
【第】うはwもしかして三角関係wwww【8話】

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629 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(金) 02:50:08.55 ID:VC19B0Wl
で、どうなったんだよ女装までして
K美ちゃんとの進展は
眠い

630 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(金) 05:53:19.96 ID:fnGjgr3kO
百合展開くる!!

631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(金) 06:54:15.08 ID:yz4hmDk6
つーか叫び声がしたんだろ?
大丈夫だったの?

632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(金) 06:56:10.88 ID:Hijew4bsO
なんだろうな
メンヘラなのかね
つか1早くレスしろよ氏ね
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 頭痛が治まらない。
 その上鼻水も止まらない。
 まだ真新しいベッドだというのに、めりこんでいるのではと思うほど、体はずっしりと重い。
 その気だるい重みに身を任せながら、ぼんやりした頭で思い出し、考える。

 そういえば、風邪をひいていたという事。
 けれど悲痛に叫んだ琴美さんが心配で、女装をしてでも会いに行きたかったという事。
 結局なぜ女装をしなくては会えなかったのかは分からないままだが、塩川麦として会うより、琴美さんの態度が少し違っていたという事。


 琴美さんが、もしかしたら――兄貴を好きなのではないか、という事。


【第】うはwもしかして三角関係ww【8話】


 止まらない頭痛に、吐き気に、鼻水。しかし疑問やわだかまりも止まらない。
 ぐちゃぐちゃしている。体内をぐるぐるしている。
 きりがなかった。考えても何も分かりはしない。
 もう少し頭がすっきりしてから冷静に考えるべきだ。今は考えずに眠ろう。
 そう自分に言い聞かせてみる。

「……眠れるわけねーよ…」

 床にはズラとストッキングとスカートがぶんながっている。そういえば、コンタクトもとっていないし、化粧もぬぐっていないな。
 先ほどまで、女装をしてまで俺は、琴美さんと談話していた。米子として。
 しかし結局、彼女が何故家にひきこもり学校へ行っていないのか、何故叫んでいたのか、分からなかった。
 当初の目的だったはずなのに。
 叫んでいたわりに、意外にも米子と話す琴美さんは、そこまで情緒が不安定という様子ではなかった。
 けれど、『何を考えてるのか分からない、でも辛いものと漫画が好きな琴美さん』とは違っていたように思う。


『琴美さん、歳上の方に想いを寄せたりとか、そういうことってないですか?』

『……ない!!!』


 それが数分前の出来事だ。
 なんとはなしに聞いた俺の質問に、あんなに過剰反応が返ってくるとは思っていなかった。いったいどういうことなのか。
 その通り、年上の方に想いを寄せたことがあるとしたら。
 それは仮にそうだとして、そこですぐ「母の再婚相手であるうちの兄貴」に結びつけるのはおかしいだろうか。けど俺の頭は結び付けてしまった。
「はは、まさか…世の中琴美さんより年上の男なんか他にいくらだっている。どんだけ俺の脳はとんでるんだよ」
 そう自嘲して、ごろりとうつぶせにになったとき。

「この馬鹿」

 兄貴が部屋に入ってきた。

 眉間にしわを寄せてこちらをものすごい形相でにらんでいる。
 思わず起き上がる。

「?!なんでこんな早く家に…」
「てめーが熱なんか出すからだろうが。いちいち手間かけさせんな!」
「……っ」

 む、むかつくっ…。
 そもそも自分がビールぶっ掛けたりするからこういうことになってんだろうが。
 どんだけ物凄い棚上げだよ。
「…おめーが今何を考えてるかわかるぜ。透けてんだよ」
「なん…」
「生意気なクソガキが。あんなんで外に出るから悪いん――」
 また奴が棚上げの連投をしかけ、なにやらいいかけるが、破顔して俺を見つめた。
 え…なんだ?

「…お前、なんだその顔は?つけまつげか?」

「!!!!」
 やっべえ!!
 俺ははっとして手を顔にやる。そういえば化粧を落としていないのだった。
 唇はまだてらてらしたグロス?をつけていたし、しかし俺は上半身裸で、トランクスのままだった。
「これは――その、別に――」
 しどろもどろになる。え、なにこれ。どうすればいいの誰か助けて。
 女装したところを兄弟に見られてしまったんだけど。しかもだ、あの兄貴だ。
 なんて言い訳すればいいのかしら?!
 俺の頭はパニック状態になっていた。

     


「――ちょっと待ってろ」

 兄は手で待てのジェスチャーをすると、俺の部屋から出て行った。

「……?」
 な、なんだ?
 兄は自分の部屋に戻ったらしく、そこで騒々しく物音を立てて何かしていた。何か探しているのだろうか。
 俺はパニック状態だった頭で、思考能力が低下していた。さっさと顔をぬぐってしまえばいいのに。
 兄が早々に戻ってきた。
「おら、これかぶれよ」
 そして床に落ちていたズラをスッポと俺にかぶせる。呆気にとられていると、兄貴が何か取り出し――。

 ―カシャッ。

「……あ?いま、」

 ―ぴろりん。

「撮ったぜ」

 手には携帯。写メったらしかった。

「はああああああああああああああああああああ?!」
「うるせえ奴だな。風邪じゃないのかよ?随分元気じゃねえか」
 
「ちょっ…消せよ!ばかっ!死ねよ!」

「お前いくつだよ、小学生みたいな事言うなよ」
「こっちの台詞だ!!その写真でなにする気だよ!」
「からかうに決まってんだろうが。で、なんでそんな格好してる?」
「からか…なん…これは…」

 なんでって…俺にもわからんよ!
 だって美登利さんが言うもんだから…。
「そう、だ。美登利さんが…この格好で行けって…」
「…美登利が?」
「うん…琴美さんが叫んでて…心配になって。あいたいって言ったらさ」
「…あのヤロー…」
「え?」
 何? ああ、稲生に口止めされてる、とか言ってたっけ、美登利さん。
 つーか、そういえば美登利さんと兄貴ってどういう関係なんだ?
 鳴子さん経由での友人? 知人…なんだろうとは思うけど。
 というより鳴子さんとも、どういう出会いでなんだか、と根本的な疑問が沸かないでもない。

     

俺がごちゃごちゃと取り留めもないことを考えていると、兄貴が盛大に溜め息をついた。

「まあいい。早く服を着ろ。風邪が悪化すんぞ」
「う…うん」
「まったく…馬鹿が」
「……」

 正直恥ずかしいのが先だったので、兄の悪態にむっとするのもわすれ、いそいそとクローゼット内の寝巻を取り出しにいく。着替えるついでに顔をタオルで拭っていると、ふと後ろからの視線に気づいた。兄貴はいつのまにか俺のベッドに腰を落ち着かせている。

「なんだよっ見んなよ」
「見るだろ、弟が女装に目覚めたとなっちゃ」
「目覚めてねええええええ!」
「…着替えたら、寝ろよ。ほら」

 兄貴がそう言っておもむろにベッドを、ぽんとたたく。
 とても怖い。なにこれ。気味が悪い。
 しかし目が怖かった。優しくしようという訳ではないらしい。
 仕方なく言われた通りにベッドへ下半身だけ布団に入って座ると「寝ろ」と兄がまた言った。

「……」
 沈黙。素直に寝転んだところで、死より重い沈黙が訪れた。
 ねえ、なんでこいつ部屋から出てかないの?
 俺が気まずさに耐えかねて出てけよと言おうとすると、兄が口を開いた。
 
「…悪かったな」
「は?」
「ビールぶっかけて」
 思わず俺は目を見開いた。
「何…だよ。気持ち悪いな!」
 何を言うかと思ったら謝罪だと?
 兄貴、絶対謝ったりしないのに。いや、今までで初めてじゃないのか?
 ――首を絞められて押し入れに閉じ込められたときだって。
(…あのときだって謝ったりしなかった)
「自分に非があれば俺だって謝る」
「……」
 嘘だ。恐ろしくて全身の毛穴が開く。
今まで理不尽な扱いをいくらでもうけてきたが、全くもって謝る気配をみせなかったぞ。おめえの『非がある』とやらの基準ってなんだよ。
「今回のことはお前はまったく悪くない」
「……」
 いや、知ってるけど?
「今まで俺は、お前に非のあることに関しては謝らなかった。まあお前は理不尽だと思っていただろうが」
「なんだ…よ、それ」
 くそっ。頭ががんがんする。
 いい加減にしてほしい――、もう精神的に来ることはしゃべるなよ。
 こちとら一時は立ってられないほど具合が悪かったというのに。

「まあ、いい。とにかく今回はお前は悪くない。それだけだ」
「なんだよ悪くないと思うなら、琴美さんのこと…教えてくれよ」
「……お前、琴美ちゃんのこと気に入ってるのか」
「…え?」
「まあお前は他人にのめりこみやすいからな。勘は鈍いけど」
「そうか?」
 俺ってそうか?
 そういえば信男にもそんなこといわれたか。
「琴美ちゃんのこと、女の子として気にしてないってんなら教えてやってもいいが、そうじゃないんなら教えないほうがいいだろうな」

「…え?」

 なんだ?
 どういうことなんだ、それって。

       

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