「テストも無事に終わったし、次は文化祭だね」
「赤点1教科取っちゃったよ~」
「私は2教科ですよ~」
全く……こいつらと居ると退屈なんて絶対にしないね。うん。
正直赤点取ったのは自分らが夜遅くまでゲームして、勉強してなかったのが悪いんでしょ。
それにしても、もう文化祭か。今年は一体何をするんだろう。
「そう言えば、次のホームルームの時間で何をするか決めるらしいよ」
「高岡は何かやってみたいのとかあるの?」
「普通に喫茶店でいいわよ」
「ダメだな~。普通すぎてつまんないじゃん」
あんたは私に一体何を求めているんだよ。
と、そうこうしているうちにチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。
私は急ぐことなく自分の席に戻り着席する。だが、すぐに会長の一言により立たされる。
「えー今日は、間近に迫った文化祭に一体何をするのかを、話し合いで決めたいと思います」
クラス全体がざわめき始める。私は最初から興味など微塵も無いので、頬杖をしながら目を閉じた。
それから10分くらい経ったのだろうか。不意に私を眠りから呼び覚ます声が届いた。
「高岡さん、貴方だけが手を上げてませんよ」
眠い目をこすり黒板を見るとお化け屋敷と演劇って書いてあり、その下に正の文字が並んでいる。
……まさかこの展開って。
「どーすんだ?高岡の一票で決まるぞ」
やはり。すぐに決まるだろうと思っていたが、39人クラスだったのが凶と出た。
38人が19人ずつ分かれていたのだ。そんな上手いこと行くわけ無いと思いつつ、真剣に悩むことにした。
お化け屋敷と演劇か……。実際に自分がやらなきゃいけないんだよね。
演劇の方がいいか……けど、やる内容によるな。
「えー聞いてなかった高岡さんのためにもう一度言います」
「演劇のほうは月宮さんが書いてくれた原稿があるので、内容は決まっております」
月宮……って綾香!?あの子が書いたって言うの?
驚いた表情で綾香のほうを見ると、誇らしげな笑顔で私を見返してきた。
内容がかなり心配なんだけど……。
でも、お化け屋敷をするよりかは少々博打だがかけてみるのもいいと思う。
「じゃあ、演劇で」
私はこの一言を後悔することがないように祈るだけだ。
すると綾香が席から立ち上がり、先生を押しのけて教卓に台本を広げる。
「無事に演劇に決まりましたので、配役を決定いたします!」
その言葉に教室中がどよめいた。やりたい役を手を上げるのじゃないのか。などと言った声が届いてくる。
「私がこの話を作るうえで、基にした設定。そう、配役はその人で無いと雰囲気が出ないのです!」
いつにも無く真剣に話しているなぁ~と思うと、内容がかなり心配になってきた。
雑草Bって役であってほしいよ……。
「異議は認めません!では、主役を発表します」
一呼吸置いて焦らすに焦らした綾香は、ニンマリ私に向かって笑った後口を開いた。
「主役、高岡瑠奈。剣崎竜也。以上2名!」