Neetel Inside 文芸新都
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何故か、メイドさんが居る訳だが
第4話

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畢竟するに、私は実在する。
故にこの三次元空間は、私の認識の下においては、実現しているものと見做せる。

実存論の不可思議性をここに見た。


などと、エセ哲学的な事を思考している。本日は火曜日。
昨日の一件、あれは実空間での出来事だと結論を下せるのだろうか?
なんてくだらないんだろう。

電車は錬馬駅を過ぎた。

どういう訳か、今朝も目が覚めたら朝食があった。
しかし彼女は…居なかった。

摩天楼の如き、人工的に構成された迷宮空間が、私を襲う。
ネオンライトが、妖しく光る中途半端な漆黒の闇が、私を難破させる。

今日は流石に授業に出た。哲学系の授業だ。
グロティウスだのホッブズ、ロックだのが扱われた。
退屈だった。
しかし、その退屈さが、プログレよろしく面白味を引き出すのである。

時に、家に帰ったらどうだろうか。
誰も居なかったら嬉しい。でも寂しい。
誰か居たら恐ろしい。でも嬉しい。

どうせ、誰も居ないんだろう。居なくて結構だ。
なんてくだらないんだろう。

ソーカル事件、というのを知った。
ある教授がデタラメな哲学の論文を書いて有名な評論誌に投稿したところ、
誌上に掲載されてしまった、という事件だ。

粉飾した言葉は怪しい。
そんなようなことを、孔子も曰っていたそうな。

ああ、くだらない!









――さて、やはり家には、メイドさんが居る訳だが。

       

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