「おい! 兄さん! に・い・さ・ん!!」
「ん?」
「ん? じゃないつぅの! いつまでクソ長い神父の話を聞いてるんだ!?」
教会で騒いではいけないと言うルールを片っ端から無視して喚き散らしているのは
情けないことに俺の弟、『レイ・リカルバーン』。
「まぁ待て。もう少しで終わるんだから。 そんなに嫌なら先に家に帰ってていいぞ?」
「・・・ちぇ・・・軍人で信仰深い人なんて そういるもんじゃないぜ・・・」
悪態をつきながらも渋々元の席に座ったレイ。
そのあと、数分して教会を後にした俺達は・・・っと
紹介が遅れたな。
俺の名前は『ラズナス・リカルバーン』18歳でさっきレイが言ったように軍人。
階位は中尉。まぁ、そこそこって感じだな。
家に戻った俺達は夕飯を手早く済ませいつもよりかなり早い眠りについた。
明日は城で宴会が行われるのでそれに伴って要人の警護をするためだ。
翌朝、俺達は軍服を着て腰には自分の剣を下げて、城に出向いた。
「おおぉ!ラズナス!オマエも来てくれるとはなんとも心強い!!」
喜びを全身に現して狂喜する老人は軍が警護する要人の一人
「ルナス・ラリッゼハイム」どっかの大臣らしいが詳しくは覚えていない。
「まだ俺が貴方の警護をすると決まった訳ではありませんよ?」
「なに。オマエがわしの警護をしたいと申し出ればいいだろうが。わしからも
中佐に ラズナスに警護してほしい と頼んでおくからの! 頼んだぞラズナス!」
カッカカッカ!と笑いながら宿舎の方に行ってしまったルナス老人。
「・・・誰がジコチュー爺さんを警護するかっての!」
いまだに笑いまくっているルナス老人の背中に俺は毒づいた。
しかし召集時間を過ぎても俺やレイ、他の同僚にも召集命令がくだらない。
「おかしいなぁ・・・あの爺さんが中佐にわがままを言ってるんじゃないか・・・?」
俺が独り言を言っていると
「おーい! 兄さ~ん! 大変だ今回の宴会にはすごい大物が来るらしいぜ!!」
はぁはぁと息を切らしながら走ってくるレイ。 相変わらず騒々しい。
「なに? その大物ってのは一体誰なんだ?」
「いや。それがホントかはわからないんだけど、ジャペル王も頭が上がらないほどの
ヤツらしい!」
「へぇ・・・・・おっと!召集の合図だ! レイ行くぞ!」
話の途中だったが召集命令が聞こえたので俺達は話を中断し城門をくぐり城の中に急いだ。