ある駐車場の一角に、中年男性の運転する車が止まった。
その中から、中学生と思しき少女が降りてきた。
「ねぇ、パパ。ここどこ?」
「ん~、ここはお前の好きな場所だよ……」
パパと呼ばれた中年男性は、キーをかけながらニヤついた顔で答えた。
「えぇ~、私、分からないよ……」
少女が少し不安げに答える。
「まぁ、中に入れば分かるから。いいから私についてきなさい……グフフフ」
興奮を抑えきれないのか、男の頬が紅潮している。
車で移動をしてきたので、少女にはここで拒否して引き返すという、権限はなかった。
言われたとおり、男の後ろをついていく。
「あぁ~!!」「すごーい!!」「やっべwww最高!!!」「ふぉーーーー!!!」
扉を開けると、男女の入り混じった甲高い狂喜の声が溢れてきた。
「さぁ、ここだよ。お前、これ好きだろう」
男の顔が一段と歪んで、相好が崩れる。
「え?え?私、私……」
少女は怯えるように、男の後ろから、狂喜する男女の姿を眺めている。
「ん?どうした?」
「わ、私、こういうことするの、は、初めてだよ……」
少女が男のスーツの裾をつかむ。
「あれ?そうだったか?
てっきり、パパはもうやったことあると思ったんだが……なんたって、ママも、これ大好きだからね。
初めは少しとまどっても、きっと、お前も好きになるさ」
「で、でも……初めてだし、こんなに人が多いところだと……」
少女が言いよどむ。
「なに、問題ないさ。ホラ、みんな、あんなに楽しそうにやってるじゃないか。
きっとすぐに、虜になるさ……グフフフ。なんなら、パパが初めてを、手取り足取り教えてやるよ」
少女の手を取り、男は奥の席へと足をすすめる。
少女は、時折おこる、周りの嬌声に圧倒されていた。
こんなにも歓喜や狂喜が混じった声がする場所は、少女には初めての経験だった。
「す、すごい。みんな……」
顔を赤らめながらも、目前で行われている行為に、少女は釘付けになっていた。
「私にも、私にもできるかな……ボーリング」