Neetel Inside 文芸新都
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会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた
~三行ルール案可決 そして芽吹く悪意~(11.10.01up)

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 もう立ち上がれないかも知れない、という絶望感と共に俺はふらふらとコンビニに向かう。
向井、いい娘なのにどうして俺なんかにそんなにご執心なんだ。
nice boat endの冗談もあながち冗談になりそうにないって話だ。

かなり遅めの夕食を買い、コンビニを出たところでふと昨日までの出来事を自分流に回想してみた。
とても眩しい思い出だ。だが、明日からはまた一人だ。
そんな事を考えながらバイクまで戻ろうとしたところで、異常にかわいい子が俺に話しかけてきた。
言っておくぞ、これは俺の妄想ではない。

>>何ぃぃぃぃぃいいいい?てめー凹お前wwww明日市ねwww

>>以下同文www

「お腹すいたんですか?もし良かったら一緒にご飯などどうです?」

ああ勿論OKだ。俺は二つ返事で彼女に歩み寄る。


「コンビニで弁当買ったんやけど、これでよければ」

と言いながら俺はコンビニに戻り、シーフードヌードルを追加購入し、お湯を入れてその子の元に戻る。
3分間待ってる間、色々と俺はその子に話しかけた。今日の俺は失意のせいか饒舌だ。
その子は一見毛深いが、なぜか癒される空気を俺に与えてくれた。
俺も話しながらずっとその子の頭を撫でたり、首に手を回したりして愛撫を繰り返した。
すると「にゃう」という萌え言葉を発してきて、俺はもう感極まってしまった。

>>にゃうwwwww猫ww

>>てめぇwwwwやっぱ市なないでwwwww

>>以下同文ww

>>お前モテモテだなwww

>>現www実www逃ww避www

たかだかネコ科ネコ目ごときに心奪われたとお思いだろうが、今の俺の心の隙間は、この子が入り込むには必要にして十分だった。


「お前も一人なんだな・・・・俺もだぞ」

二人で話しているうちに自分という人間がつくづく嫌になってくる。
いっそ猫に生まれていたなら、俺もこいつと・・・・いや、お前と・・・・
そんな異種交配なんざなんのそのという気持ちになり、その猫を優しく抱き上げた。


俺の左手が柔毛に包まれたふくよかな二つの球体に優しく触れた。

>>ゴールデンボールwwww


-会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた-
「三行ルール案可決 そして芽吹く悪意」

     

 コンビニで出会った素敵な猫に別れを告げ、俺は家路に着く。
帰宅後は疲れもあったので、結局向井への返信もせずシャワーの後うとうとしていたのだが、彼女からの追伸が届き俺は現実の世界に引き戻されてしまう。

向井メール
「なあなあ、メール見てくれてるん?超さみしいんやけど」

俺は寝ぼけつつも、女性をほったらかしにしてはいけないという住人の過去のレスに従い、返信を打つ。

俺メール
「見てんよ(みてるよ)。寂しい思いしてたんなら謝るけど、鉄火姉ちゃんと遊んだらいかんってのがちょっとひっかかるかな、寝るよおやすみー」

結局それっきり彼女からの返信は途絶えたので、ようやく眠りにつけそうだ。
早々にPCの電源を落とし、その日はそのまま永眠することとなった。

 翌朝、出勤すると、向井はいつも通りの応対。
俺は多少ギクシャクしたものの、なんとかいつも通りの会話のペースを握る。
だが、彼女の会話がなにやらおかしい。よくよく注意して彼女の会話を聞いていると、あることに気づいた。
鉄火の話題がひとつも出てこないのだ。いつもなら、「お姉ちゃんが~、お姉ちゃんと~」と鉄火を交えた会話ネタには事欠かないのが彼女の話し方。
だが今日の彼女は少し違う。むしろ鉄火の話題を徹底スルーしているようだ。
なんとなく話しづらいのかな、と考えたりもする。だがあえて鉄火の話を振ってみようかとも考えたが、
俺も今の状況で地雷を踏むほどあさはかではない。いや基本あさはかだが。
ここは彼女の話題は避けておこうと思い、仕事寄りの日常会話をするに留めておいた。

>>どうしたwww人の心を思いやってwwwwwお前凹じゃねえみたいだなww

>>少しは空気を読むことが出来始めたかw

>>凹に巣食うKYは倒したか?

>>オナニスキー「KYがやられたようだな…」
>>童帝「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
>>仮性人「2chのレスごときで成長するとは凹の面汚しよ…」

そこで、一つ気になるレスを発見する。

>>なあ、鉄火に話しかけられそうにないんか?
>>話せそうだったら向井をセクロスなんてしてないんだぜ?
>>くらい送っておけよ
>>メールの応対内容で鉄火の心境を読めるかも知れないぜ

よし、送ろう。さすが俺のGNドライブ、いい仕事するぜ。
すぐさま携帯を取り出し、試行錯誤した上で鉄火に、その旨を伝えるメールを送った。
返信は昼休みに到着する。

鉄火メール
「はいはい(笑)私に言ってどうしようってのよ?今お昼寝だから勘弁ね」

駄目だ、俺の姉貴によく見られる、「聞く耳持たないモード」だこれは。

>>いやまて、鉄火は、向井との関係が本当にやばくなってる事に気付いたんじゃないか?

>>返信ちゃんと来るんだな
>>完全に無視されてるってわけじゃなくて安心したw

>>まあなんだ、少しは男上げたな凹

>>ところでルート的には鉄火、これでブレは無い訳だな?

そう、今のところ全くのブレ無く、俺は鉄火ルート一直線だ。
そしてもう少しだけ、VIPPERの皆に俺は助けてもらいたいというのが本音だ。
その気持ちにもブレは無い。何しろ俺には相談事の出来る友人がいないのだから。

ここの住人は本当に温もりにあふれている。
今、向かい風吹き荒れる現状にある俺だが、ここまで俺の環境を充実させてくれたのは他でもない住人様方だ。
闇鍋の事件に関しても、リアルが忙しすぎて報告が遅れがちになっている俺に、「今」行うべきことを住人同士喧々囂々と語ってくれている。
まさに俺の報告投下までの時間つぶしとばかりに。
なかには「俺の意見、戦術指南こそが正しい!!凹は俺の言うことを聞くべき!」と今後のシナリオを力説する住人様、
それに対し、「凹はお前の操り人形じゃない!責任が無いのと無責任は違うぞ」という意見の住人様との喧嘩が始まったりもし始めていた。
また、それらをまとめる様に
「凹に分かり易く、かつ彼の性格を理解したうえで『でき得る』プランを立ててやるのが俺たちGNドライブの役目じゃねえ?」
「これからは長文読めない(スルーする)凹のために三行でレスしてあげようよ、それが凹への優しさだ」
という意見に皆が賛同し始めだした。
ありがとう住人様がた。皆の気持ちが、俺の原動力だ。

>>時間つぶしってなんだよwお前のこと心配してんだろうがww

>>ていうか凹しょっちゅう病院に行ってねえか?
>>お前が病気持ちなの?姉貴が病気なの?

>>あまり聞くまいよ、いつもの凹ならとっくに話してくれてるはずだから。

>>ていうか三行ルールいいな。俺たち自身、操り師の無駄な長文読まなくて済む。

だが、この時点では俺も、GNドライブ自身もまだ気付いていなかった。
彼らの中にとんでもない悪意を秘めた、俺にとってはある意味TIGよりも厄介なウィルスが一人、侵入していたことを。

       

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