Neetel Inside ニートノベル
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女と男・天使と悪魔
夕方と踏みつけ

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周りを囲んでいる女たちの顔を見ると、カイムたちの知っている顔が多かった。あいつも、そいつも、カイムたちと同じクラスの女子生徒だった。
そして、その中でも中心に立っているいかにも周りを統率している感じの女が話しかけてきた。
「ちょっとこっちに来てもらおうか・・・」
「カイム殿・・・・この人は・・・」
春だった。カイムたちもいつか何か仕掛けてくるのはわかっていたが、自己紹介をして宣戦布告してきたその日に仕掛けてくるは思っていなかった。だから焦りに焦った。
「春とかいうひとですよね?カイムさん・・・・」
アスランとモロクは怯えている。カイムは二人を元気付けるために強気になって話しかける。
「春!俺たちに何のようだ?」
すぐに春の足が動いた。
「気安く名前呼んでんじゃねーよ!」
もろにカイムの腹にけりが入る。
「うぇっ!!」
「カイム殿!」
「カイムさん・・大丈夫ですか?」
すぐに二人が駆け寄ろうとするが、大勢の女子に囲まれて踏みつけられ、袋叩きにされているカイムにはまったく近づけない。それどころか、アスラン・モロクまでも、蹴られ、殴られ、踏みつけられている。
「やめてください・・・僕たちは何もしてないじゃないですか・・・」
「そうでござるよ・・・我々はなにもしていないのですよ!」
しかし女たちは手を休めない。
「は!?なにずれたこと言ってんだよ!
 お前らはイギリス行ったら存在だけで犯罪なんだよ!
 早く目の前から消えろよ!このブタがっ!」
なすすべもなく三人は蹴られている。いや、カイムは抵抗できたのだが、あえてしなかった。友達の二人への攻撃の手が強くなる思ったからだ。しかし、そんなことはしてもしなくても大してかわらない。どちらにせよ三人は大勢の女たちに全力で蹴られて踏みつけられる。
ふと、急に思いついたように下品な顔をした女が大声を出して言った。
「おい!こいつら3人を裸にして校舎裏に干すぞ!」
(おいおい・・・・そんなことしてなんになるんだ?
 汚い男の体が見えるだけで何にもすっきりないだろ・・・・
 まぁ、それで退学してくれるならする意味があるか・・・)
春は何もしないで校舎裏方向へ蹴って運ばれていく男どもを眺めていた。
そんな中でもカイムはあまり抵抗せずに耐え続けていた。
(なんで?なんでこいつらはここまでするんだ?
 それほど男が憎いのか?
 わからない・・・俺には理解できない・・・
 咲はそんなやつじゃなかったし、
 中学でも男を嫌うやつはいたがここまでひどいのはいなかった。)
そのとき、カイムは逃げる手立てを考えた。しかし、そうそうそんなものが思いつくはずもない。でも考えた、この状況を脱出してなおかつ、今後このようなことが起こらないような最善の策を。確かにこの場を脱出するだけでいいなら何とかできるだろう。しかし、後のことを考えると、至難の業!まともな考えが思いつかない。
(どうすればいい・・・金を渡せば見逃してくれるか?
 いや、違う!こいつらは金目的じゃない!俺たちに消えてほしいんだ・・・
 なら・・・消えればいい!!消せるようにこちらから譲歩の手を差し伸べればいい!
 そうすれば乗ってくる・・・・間違いなく乗ってくる!)
ついにカイムに巧妙がひらめく!
「・・・・ひきだ・・・」
「あ!?なんかいったかよ!?」
カイムの発言に対し周りが反応する。
「取引だ!」
「は?なにいってんの?そんなの成立するわけないじゃん。」
カイムの言うことを聞かずに蹴ってくる。
「俺たちはこの学校を出る!」
カイムの叫びに周りの女子は驚き、固まった。
「俺たちが賭けに負けたらこの学校を退学する!」
まわりがざわめいた。
「その内容の取引なら成立だな。」
春は取引に応じた。
「カイム殿・・・・」
「カイムさん、そんな約束していいんですか?
 負けたら退学なんていやですよ!」
春の喜びに満ちた顔を見て、アスラン・モロクは焦りと恐れの顔を隠せずにいるが、カイムは自信に満ち溢れた顔をしていた。そして女たちに囲まれた三人は校舎の中へと入っていった。


       

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