Neetel Inside ニートノベル
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「はぁ……」
 これで何度目のため息をこの部屋で吐いただろう。
 ボクの気も知らずにのんきに漫画を読んでいる慶介がうらやましい。
「でさ、どうすんの? 返事」
「!? 知ってたの?」
「まぁな~。てか、アイツの相談をいろいろ受けてたからな」
 ちなみに会軌菜と蓮葉が廊下で会ったのは偶然じゃなくて必然だったから、とまるで恋を楽しむ純粋な少年のように微笑む。
「で、本題だ。どうすんの?」
 漫画を読むのをやめいつもの慶介からは想像もできない真面目な顔になってボクに問いただす。
 ボクは目を逸らしながら
「いや~……はは……実はまだ悩んでてね~。ボクとしては尊敬できる姉ちゃんみたいな存在だったから」
 などと答えるとデコピンされた。
「バァカ。アイツさりげなくアピールしてたの気づかなかったのか?」
「って~……全然気づかないよ」
「やっぱ鈍感か……」
 なんだか酷くバカにされたような気がする。

「なぁ前に蓮葉が派手に会軌菜の前でこけたときあったろ?」
「あぁ、あれね。パンツ丸見えで蓮葉にしてはドジだったね」
 顔に似合わず可愛らしいキャラがプリントされたパンツが見えたのには驚いた。
「あれ、わざとね」
「えぇ!! わざとぉ!?」
「うん。とりあえずアピールをしようということになってベタに会軌菜の欲望を満たしてみようとした結果があれだよ」
 なにを言っているんだろ。っていうかあれが?
 やばい……あの時『蓮葉はドジだね~』って腹筋が壊れるほど笑ったような気がする。
 そういえば半泣きみたいに涙ぐんでたっけ……悪いことしたかな。

     

 そんなふんぎりがつかないボクに慶介は呆れたのかこんな提案をしてくる。
「じゃあさ、お試しみたいに付き合えばいいんじゃないか?」
「お試し?」
「うん。しばらく付き合って気に入らなければ即解消。何の問題もなければそのまま付き合えばいい。どうだ?」
 簡単にいってくれるけどボクはそんなに簡単な問題じゃないと思う。
 蓮葉はどうか知らないがボクにとって『付き合う』というのはお互いのことが好きで両想いに成り立ったことで付き合えるのではないのだろうか?
 そんなのを言っていると、
「考えが戦前で止まってるな……」
 ホントに蓮葉はこいつでよかったのか?と小声で言う。
「いいか? 会軌菜の言うとおりかもしれないが、両想いを知るのにはどうやったらいいんだ?」
「えっと……やっぱり告白?」
「もしオマエみたいに『思い』が『想い』じゃなかったら?」
「断る」
 一拍の間が空く。
「バッカヤロ! 女でも男でも断られたくらいで簡単に割り切れるもんじゃねえんだぞ!」
 頭をしばかれる。仕方ないじゃないか。恋なんてしたことないんだから。
「だから会軌菜はお試しの間に蓮葉のことを好きになればいいじゃないか。それで万事解決!」
 グッとガッツポーズをとる。
 バカみたいな考えとボクは思ったがそれ以外でボクの気持ちが揺らぐことは絶対にない。
 苦い経験も喜ばしい経験も若者のボクにとっては新鮮な経験だ。
 だからその恋愛で何か得られるものがあるのだろうか。
 そしてボクは重い口を開けてその提案にYesと答えた。

       

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